覚悟しろよ!に開き直ったおかげで公然の仲のお付き合いができた馴れ初め話。
いよいよ馴れ初め話の最終話ですので、最後までお付き合いくださればうれしいです。
この馴れ初め話は第1話からこの最終話まで、4話の続きものになっていますので、できましたら先に下記の①の話から順番に読んでいただくと嬉しいです。
もうすでに先の3話までをお読みの方は、このままどうぞ最後までお付き合いくださいね。
これまでの馴れ初め話はこちらから。
第1話
「僕は君のことが好きだけど君は僕を別に好きじゃないみたいから始まる馴れ初め話。」
第2話
「お友達でいましょうね!で始まりいつの間にかお付き合いに変わる馴れ初め話。」
第3話
「おまえ覚えておけよ!と恫喝されて暗雲立ちこめるお付き合いの馴れ初め話。」
さて、先の第3話で乱暴者の上級生からの「オレの片思いの人だということを、ちゃんと覚えておけよ!」という恫喝ではなかったかと、不安にかられながらもそうであればあったで、腹をくくるしか無いと覚悟を決めました。
覚悟は決めたものの、とりあえず何事も無く日々が過ぎていくうちに、気持ちにも余裕もでてき少し少し落ち着きを取り戻した高校生活でしたが、私たちが付き合っていることを、多くの在校生が知ることになったんですね。
そのきっかけとなったのが、ある噂が広がっていったからなんですが、その噂によって私たちの付合いは、誰もが知る公然のお付き合いとして知れ渡ることになったのです。
そのビックリの噂というのが、例の乱暴者の上級生が、私たちの付き合っていることを知って黙っているはずがないと、もうすぐアイツはボコボコにされるぞ、と、まぁそんな噂で持ちきりだったようなんですね。😨
私も生意気盛りでしたから、1年生の時から上級生たちに目をつけられていたんですが、やられたらやり返すという方針を徹底していたことで、家まで付き合わされた時を除くと、直接呼び出されたのは3回だけで済みました。
それも呼びつけられたのは1年生の時が2回に、2年生になってからの1回だけで、その3回目が2年生になってから、とうとうやって来たんですよ。
その胸が高鳴るような呼び出しが、ついにやって来たんですよ。
嬉々として呼び出しの伝言を伝えにきたのが、ふだんから睨み付けてくるだけで、手も出せないような使いっ走りの3年生でしたが、そのあとについて行くと、連れ込まれた先はプールの更衣室。
その更衣室の真ん中にある、着替え用の服を置くための大きなテーブルに寝転がって、横向きの肘枕姿で出迎えたのが、例の乱暴者の上級生です。
私を連れて行くとすぐに「お前は出て行け!」そう言われた案内役がいなくなると、むっくりテーブルの上に起き上がった上級生は、ジッと無言で睨みつけてくるのです。
・・・・・・😱
その沈黙に、たまらなくなった私がとうとう「何か用ですか・・・」と少しうわずった声で尋ねると・・・
「おまえたちの噂を聞いた・・・おまえ、付き合ってるのか?」
「はい・・・友達からで・・・今は、たぶん付き合っているんだと思います・・・」
「・・・おまえに、オレの写真を見せたよな?」
「はい、見せて・・・もらいました・・・」
「なら、なんで、オレの顔に泥を塗るのよ・・・」
「いや・・・泥を塗るなんて・・・そんな・・・塗ってないです、違ってます・・・」
「オレに、断りも無しに・・・べたべたくっつきやがって!」
「いえ、ベタベタしてませんから、それに友達から・・・でしたから・・・」
「それでも今まで、付き合いを止めんかったのは、覚悟があるだろな!」
き、き、来たぁぁ~~~ッ!
ついに、ボコボコにされる日が、やって来たぁぁ~~~ッ!
背中は汗でシャツがくっついてるわ、脇汗も流れるわ、手の平にもじっとりと汗が・・・とりあえず、謝っとけ、そう思って両手をズボンにこすり付けながら、頭を深々と下げたままで口走りました。
「こ、ことわりが遅れて・・・すいませんでしたぁッ!」
「・・・・・・おまえ、今、話を通したつもりか・・・?」
「はい、断り無しですいませんでした!忘れていました・・・」
「おい、それで済むと思ってんのか!」
「はい、いや、こうやって話を通せば、こんなことで、怒るような・・・」
「ふざけるなよ、コケにするのも、いい加減にせんか!」
そんなやり取りの中で、いつ鉄拳か蹴りが飛んでくるかと、腹筋に力を入れているせいで、やや前屈みの姿勢のまま、上目遣いで申し訳ないという表情を作っていたんです。
そしてボソッと「こんなことで怒るようなSさんじゃないと、思ってましたから・・・断りが遅れました・・・」というダメ押しのお詫びを伝えたんですよ。
「おまえは、呼び出されて・・・覚悟してきたか?」
「はい・・・覚悟してきました・・・だいじょうぶです・・・」
しばらく黙って睨み付けていたSさんは、私をボコボコにすることを後回しにして、こう聞いてきました。
「あの人も・・・おまえを、好きなのか?」
「・・・はい、たぶん、好きでいてくれると・・・思います」
「ウソを言うな!おまえの片思いだろが・・・」
「え、はい、片思い・・・だと思います・・・」
「よっしゃ!・・・片思いなら、ライバルやね、潰さんといかんな!」
「いえ、片思いじゃ無くって、両思いです・・・絶対に両思いです!」
「・・・両思いか? そんなら、焼き餅でおまえを叩くわけか・・・」
「・・・・・・?」
それから、少し考えている風だった先輩は、ぼそりと言いました。
「いい加減なことして泣かしたなら、承知せん・・・覚悟しとけよな・・・」
「はい!泣かすことは、絶対、絶対ありませんから・・・絶対」
私の哀願とも言えるような表情で、言うことだけは自信たっぷりの宣言を聞くと、そのまま、またごろりと横になって、肘枕のままで目を閉じると、もう行けという片手で追い払う仕草をしたんです。
もう、このまま無事で帰れると、早々に立ち去らなきゃと焦る気持ちで済みませんでしたと、声を掛けて帰ろうとすると、いきなりガバッと起き上がるやいなや
「おいこらッ!すみませんッちゅうのは、なんだこらぁ~~ッ!」
そう、いきり立っているじゃありませんか!
すかさず、ありがとうございます!に言い換えて、あとも見ずにサッサと更衣室を後にしたんですが、済まないと言う言葉にあれだけ敏感に反応されて、びっくりでした。
まぁ、そんなやり取りがあり、ボコボコにされるだろうという、もっぱらの噂だったのが大方の期待を裏切って、無事に無傷で帰ってきた姿を見て上級生たちもみんな驚いたようなんですね。
なんでアイツは、彼に呼び出されたのに、ボコボコにされなかったんだい?
そういう不可解な状況だったもんだから、私たちの付き合いには上級生も手出しできないという、公然の仲になってしまったんですよ。🤣
それからは、公然の仲どころか、乱暴者の上級生Sさんのお墨付きをもらったようなものなので、誰にもとやかく言われることもなく、公認のお付き合いになったわけですね。🤣
ちなみに、この乱暴者の上級生Sさんは、中学時代は柔道部に所属しており柔道初段、高校に進学する時から町道場に通って空手二段の、突然キレることで有名な危険人物として、周囲から恐れられていました。
私は同門の空手流派ではあるものの、住んでいた別の町道場に通っていて高校2年生の時はまだ初段だったので、仮にSさんと闘ったとしても、まったく歯が立たないという、相手になるようなレベルじゃ無かったんですよ。
なので、熱き思いを秘めたまま、ただひたすら恭順の態度でSさんには向き合い、きちんと挨拶も欠かしませんでした。
そういう背景も影響したとは思うのですが、幸運にも自分の思い通りというか望ましい形で収まったのは、一言で表すなら「覚悟」の気持ちだったと思うんですよ。
腹をくくってなるようにしかならないと、覚悟を決めて向き合ったからこそ望む形ができあがったと受け止めているんですね。
長いこと生きていると、人生すべからく覚悟で決まるんじゃないかと、そう感じています。
どんな小さなことでも覚悟は必要で、その小さな覚悟の積み重ねというか場数を踏むという経験が、少しずつ大きな覚悟も出来るような腹を、しっかり練り上げてくれるんじゃないかと、そう確信しているんですよね。
諦観とか諦めるということと、覚悟を決めることは似ているようで異なるものです。
人生において、困難な出来事にぶつかったときに、諦めてはいけません。
諦めるのじゃなく、覚悟を決めるのです。
覚悟さえ決めれば、あとは何とかなるもんです。
オリンピックの無観客問題にしろ、ワクチン接種の問題にしろ、今の政治家には覚悟が見てとれないのが、なんとも情けない思いですね。
八方美人的な思いなんだろうけど、大事なことを決められず右顧左眄している自分たちの不甲斐なさを、恥ずかしくはないのだろうかという思いが募るばかりです。
選挙対策にうつつを抜かしたり、おのれの派閥主導で政界を牛耳ったり、やっていることが国民のための政治じゃなくて、自分たちの利益のため、権益や利権のための活動に堕している気がしてなりません。
あまりnoteで政治向きのことを書くのは好きじゃありませんが、政党や宗教の主義主張をいったん脇に置いて、まず人としてあるべき姿を目指して欲しいと、切に願うんですよね。
そうでないと、日本は凋落の一途を辿ることになりかねません。
なんだか大上段に振りかぶった話に逸れちゃいましたが、要は覚悟って大事だよねってことなんですよ。
高校生の時に覚悟できたから、今がある。
彼女と仲良く田舎暮らしを楽しめるのも、高校の時の覚悟のおかげなんですよね。(^_^)b
小さな覚悟ではあったけど、それからいくつもの覚悟で人生を渡り年齢なりの経験も積み、それらの多くの覚悟があったことで、ここまで元気にやってこられたことに改めて感謝したいのですね、ホントにありがたいことだ。
そんな出来過ぎた話が、私たち夫婦の馴れ初めなんですが、当時をよく知る同級生や上級生に先生たちまでが、今でも思い出話で酒の肴として話題にしてくれる、なんともありがたい馴れ初め話なんですね。
ってことで、今回で最終話となった
「覚悟しろよ!に開き直ったおかげで公然の仲のお付き合いができた馴れ初め話。」という馴れ初め話の最終話でした。
※見出し画像のイラストは、メイプル楓さんからお借りしました。
では!
馴れ初めに 原点ありき のほほんと
<サブアカの人気記事>
この記事をわざわざ読んでいただいたご縁に感謝します! これからもクリエーター活動にがんばります!サポートを心の支えとクリエーター活動に活かしますので、よろしかったら応援よろしくお願いします。