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気ままな読書日記

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ジャンル関係なく、気ままに本の感想を書いていきます。
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2023年1月の記事一覧

古川雅子『「気づき」のがん患者学  サバイーバーに学ぶ治療と人生の選び方』NHK出版新書

古川雅子『「気づき」のがん患者学  サバイーバーに学ぶ治療と人生の選び方』NHK出版新書

本書の最初に、35歳のときに肺がんにかかり、ステージ4に進行。手術、抗がん剤、放射線治療をしながら、最後に「オプジーボ」による免疫療法を受け、がんの兆候のない状態(寛解)を保って、丸10年となる男性の事例を取り上げている。

がんの治療を受ける中で、脳転移で「がん性髄膜炎」を発症し休職している中、新薬「オプジーボ」が保険適用となり、休職期間を使い果たしたものの、一発発起して社会保険労務士試験に合格

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青木更吉『利根川は東京湾に戻りたがるー埼玉平野の河畔砂丘を歩くー』さきたま出版会

青木更吉『利根川は東京湾に戻りたがるー埼玉平野の河畔砂丘を歩くー』さきたま出版会

少し興味を引く書名である。利根川は、元々、東京湾に注いでいた川である。それを、徳川家康が銚子へ流れを変えた話は有名である。

利根川は、本流の長さ322kmで、信濃川に次いで2位、流域面積は1位の大河である。坂東太郎の愛称で、江戸時代初期までは、東京湾に流れ込んでいた。

徳川家康が、伊奈忠治に命じて「新川通、赤堀川を掘って常陸川へ流す」利根川東遷をしたとされる。伊奈忠治が徳川家康に進言したいう説

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外山滋比古『90歳の人間力』幻冬舎新書

外山滋比古『90歳の人間力』幻冬舎新書

『思考の整理学』などの数々のロングセラーの著書による新刊である。少々失礼かもしれないが、文字が大きくて読みやすい。若い人に読んでもらいたいと思われる節があるが、高齢者向けでもある。

まえがきでは、若い人が自信を失っているという調査結果を引き合いに、若い人だけでなく、大人の社会を反映した結果とも言う。また、日本人は見えるものに心を奪われて、見えないものをバカするところがあるとも言う。

しかし、元

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小澤隆博『DAO(分散型自律組織)の衝撃』明日香出版社

小澤隆博『DAO(分散型自律組織)の衝撃』明日香出版社

Web3が目指す非中央集権が、組織のあり方を変化させているという。それがDAO(Decentralized Autonomous Organization)であるという。

DAOは、参加者全員で運営方針を決め、利益を「分散」する仕組みで、ブロックチェーンにより運営に関する投票や利益に対する分散が管理されるため、これまでより公平に運営できると期待される。

DAOの参加者は、「トークン」と呼ばれる

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各務茂雄『日本流DX 「人」と「ノウハウ」究極のアナログをデジタルにするDX進化論』東洋経済新報社

各務茂雄『日本流DX 「人」と「ノウハウ」究極のアナログをデジタルにするDX進化論』東洋経済新報社

本書は、ドワンゴ、KADOKAWAでDX改革を行ってきた著者が、日本企業がDX経営改革を行うための方法論を解説したものである。DX改革を行うとする人、DX改革につまずいている人にとって役立つと思われる。

残念ながら、デジタル思考に基づいてデジタル技術を駆使する上では、日本的なアナログ思考は相性が悪いと言う。しかし、文化や国民性などに起因する日々の活動の違いが、アメリカ流マネジメントスタイルの持ち

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桑原晃弥『イーロン・マスクとは何者か 世界を救うヒーローかクレイジーな夢追い人か』星雲社(リベラル社)

桑原晃弥『イーロン・マスクとは何者か 世界を救うヒーローかクレイジーな夢追い人か』星雲社(リベラル社)

いま世界で一番注目され、尊敬され、一方で批判の的となっている企業家と言えば、イーロン・マスクの右に出る人はいないであろう。しかし、実際にはどんな人かを知る人はそれほど多くはない。

本書は、書名からしても、イーロン・マスクのことを知るうえためには、うってつけであると言えるかもしれない。

イーロン・マスクの特徴は、「壮大すぎるほどのビジョンを掲げる一方で、緻密なマスタープランに沿ってものごとを取り

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