やましんの巻

公園で遊んでいて ぼくが投げたボールは まだ地面に落ちていない ──ディラン・トマス

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  • いつかどこかで見た映画 まとめ

    劇場公開時に見た映画について、そのときどきに書きつづった映画評というよりも「映画をめぐる雑念」集。段落ごとに1行空けるというネットマナー(?)があまり好きではないので、ダラダラと長いのはご容赦ください。 註・初出は大阪映画サークル紙。本名で掲載されたものに加筆修正しています。

最近の記事

いつかどこかで見た映画 その192 『ぼくは君たちを憎まないことにした』(2022年・ドイツ=フランス=ベルギー)

“Vous n'aurez pas ma haine” 監督・脚本:キリアン・リートホーフ 脚本:ヤン・ブレーラン、マルク・ブルーバウム、ステファニー・カルフォン 原作:アントワーヌ・レリス 撮影:マニュエル・ダコッセ 出演:ピエール・ドゥラドンシャン、カメリア・ジョルダナ、ゾーイ・イオリオ、トマ・ミュスタン、クリスタル・コルニル、アン・アズレイ、ファリダ・ラウアジ、ヤニック・ショワラ  2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して、両国のあいだで現在もなお戦闘が

    • いつかどこかで見た映画 その191 『君が生きた証』(2014年・アメリカ)

      “Rudderless” 監督・脚本:ウィリアム・H・メイシー 脚本:ケイシー・トゥウェンター、ジェフ・ロビソン 撮影:エリック・リン 出演:ビリー・クラダップ、アントン・イェルチン、フェリシティ・ハフマン、ローレンス・フィッシュバーン、セレーナ・ゴメス、マイルズ・ハウザー、ベン・クウェラー、ライアン・ディーン、ピーター・スプリュート、ジェイミー・チャン、ケイト・ミクーチ、ウィリアム・H・メイシー  1本の映画が「面白い/面白くない」のは、映画それ自体というより、たぶんに観

      • いつかどこかで見た映画 その190 『蛇の道(2024)』(2024年・フランス=日本=ベルギー=ルクセンブルク)

        “Le chemin du serpent” 監督・脚本:黒沢清 原案:高橋洋 撮影:アレクシ・カビルシーヌ 出演:柴咲コウ、ダミアン・ボナール、マチュー・アマルリック、グレゴワール・コラン、ヴィマラ・ポンス、スリマヌ・ダジ、靑木崇高、西島秀俊  黒沢清監督が自作を「初のセルフリメイク」したという、柴咲コウ主演のフランス・ベルギー・ルクセンブルクとの合作映画『蛇の道』を見るにあたって、哀川翔と香川照之主演のオリジナル版をひさしぶりに再見した。  黒沢監督の弁によれば、《まず

        • いつかどこかで見た映画 ショートver.『リアル鬼ごっこ』(2007年・日本)

          監督・脚本:柴田一成 原作:山田悠介 撮影:早坂伸 出演:石田卓也、谷村美月、大東駿介、松本莉緒、吹越満、渡辺奈緒子、品川徹、柄本明 (この文章は2008年1月に書かれたものです。)  思うに、映画の見方には「−」型と「+」型という二通りあるんじゃあるまいか。「マイナス/プラス」型でも「引き算/足し算」型でも、読み方はいずれでもけっこうだけれど、「−」型が、作品の欠点やら不満点を差し引いていって、減点がより少ない映画を評価するもの。対して「+」型は、その作品でひとつでも評

        いつかどこかで見た映画 その192 『ぼくは君たちを憎まないことにした』(2022年・ドイツ=フランス=ベルギー)

        • いつかどこかで見た映画 その191 『君が生きた証』(2014年・アメリカ)

        • いつかどこかで見た映画 その190 『蛇の道(2024)』(2024年・フランス=日本=ベルギー=ルクセンブルク)

        • いつかどこかで見た映画 ショートver.『リアル鬼ごっこ』(2007年・日本)

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        • いつかどこかで見た映画 まとめ
          197本

        記事

          いつかどこかで見た映画 その189 『三日月とネコ』(2024年・日本)

          監督・脚本:上村奈帆 原作:ウオズミアミ 撮影:重田純輝 出演:安達祐実、倉科カナ、渡邊圭祐、山中崇、石川瑠華、柾木玲弥、日高七海、小島藤子、川上麻衣子、小林聡美  いきなり個人的な昭和ネタで恐縮なのだけれど、皆川おさむ少年が歌って大ヒットした「黒ネコのタンゴ」は、自分のおこづかいで買った初めてのレコードでもある(たぶん家を探せば、このシングル盤はまだあると思う)。それまで黒ネコといえば、目の前を横ぎれば不幸に見舞われるなどという“迷信”を日本の小学生すらどこかから聞きおよ

          いつかどこかで見た映画 その189 『三日月とネコ』(2024年・日本)

          いつかどこかで見た映画 ショートver. ロン・ハワード小論 『ザ・ペーパー』&『アポロ13』

          “The Paper”(1994) 監督:ロン・ハワード 脚本:デイヴィッド・コープ、スティーヴン・コープ 撮影:ジョン・シール 出演:マイケル・キートン、マリサ・トメイ、グレン・クローズ、ランディ・クエイド、ロバート・デュヴァル、ジェイソン・ロバーズ、ジェイソン・アレクサンダー、キャサリン・オハラ、ジル・ヘネシー、クリント・ハワード “Apollo 13”(1995) 監督:ロン・ハワード 脚本:ウィリアム・ブロイルズ Jr.、アル・ライナート 原作:ジム・ラヴェル、ジェ

          いつかどこかで見た映画 ショートver. ロン・ハワード小論 『ザ・ペーパー』&『アポロ13』

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『釣りバカ日誌10』(1998年・日本)

          監督:栗山富夫 脚本:山田洋次、朝間義隆 撮影:花田三史 出演:西田敏行、三國連太郎、浅田美代子、奈良岡朋子、金子賢、宝生舞、中本賢、夏八木勲、加藤武、鶴田忍、竜雷太、小野寺昭、塩谷俊、中村梅雀、谷啓、笹野高史、細川ふみえ、なぎら健壱 (この文章は1998年7月に書かれたものです。)  正直に告白してしまおう。ぼくにとってこの『釣りバカ日誌』シリーズと栗山富夫監督は、つい最近までほとんど関心の外だった。ちゃんとスクリーンで見たのは初期の3作だけで、あとはテレビで放映してい

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『釣りバカ日誌10』(1998年・日本)

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『ダークシティ』(1998年・アメリカ=オーストラリア)

          “Dark City” 製作・監督・脚本:アレックス・プロヤス 脚本:レム・ドブス、デイヴィッド・S・ゴイヤー 撮影:ダリウス・ウォルスキー 出演:ルーファス・シーウェル、ジェニファー・コネリー、キーファー・サザーランド、ウィリアム・ハート、リチャード・オブライエン、イアン・リチャードソン、メリッサ・ジョージ、コリン・フリールズ (この文章は1998年11月に書かれたものです。)  いやー、まいった。久しぶりに心底“アブナい”と思える映画と出会ってしまった。見る前と見た後

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『ダークシティ』(1998年・アメリカ=オーストラリア)

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『グース』(1996年・アメリカ)

          “Fly Away Home” 監督:キャロル・バラード 脚本:ロバート・ロダット、ヴィンス・マッキュイン 撮影:キャレブ・デシャネル 音楽:マーク・アイシャム 出演:アンナ・パキン、ジェフ・ダニエルズ、ダナ・デニー、テリー・キニー、ホルター・グレアム、ジェレミー・ラッチフォード、マイケル・J・レイノルズ、デイヴィッド・ヘンブレン (この文章は1997年3月に書かれたものです。)  キャロル・バラードの映画を見ることは、ぼくにとって何よりもまさる至福のひとときだ。それは純

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『グース』(1996年・アメリカ)

          いつかどこかで見た映画 その188 『スーパーマン リターンズ』(2006年・アメリカ)&『X-MEN ファイナルディシジョン』(2006年・アメリカ)

          “Superman Returns” 監督:ブライアン・シンガー 脚本:マイケル・ドハティ、ダン・ハリス 撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル 出演:ブランドン・マウス、ケイト・ボスワース、ケヴィン・スペイシー、、フランク・ランジェラ、エヴァー・マリ・セイント、ジェームズ・マースデン、トリスタン・レイク・リーブ、パーカー・ポージー、マーロン・ブランド “X-Men: The Last Stand” 監督:ブレット・ラトナー 脚本:ザック・ペン、サイモン・キンバーグ 撮影:

          いつかどこかで見た映画 その188 『スーパーマン リターンズ』(2006年・アメリカ)&『X-MEN ファイナルディシジョン』(2006年・アメリカ)

          いつかどこかで見た映画 その187 『ボーはおそれている』(2023年・アメリカ)

          “Beau Is Afraid” 製作・監督・脚本:アリ・アスター 撮影:パヴェウ・ポゴジェルスキ 劇中アニメーション制作:ホアキン・コシーニャ、クリストヴァル・レオン 出演:ホアキン・フェニックス、ネイサン・レイン、エイミー・ライアン、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、パティ・ルボーン、カイリー・ロジャース、パーカー・ポージー、アルメン・ナハペシャン、ゾーイ・・リスター=ジョーンズ、ドゥニ・メノーシェ、ヘイリー・スクワイアーズ、マイケル・ガンドルフィーニ  いきな

          いつかどこかで見た映画 その187 『ボーはおそれている』(2023年・アメリカ)

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『ウォーターワールド』(1995年・アメリカ)

          “Waterworld” 監督:ケヴィン・レイノルズ 製作・出演:ケヴィン・コスナー 脚本:ピーター・レイダー、デイヴィッド・トゥーヒー 撮影:ディーン・セムラー 出演:デニス・ホッパー、ジーン・トリプルホーン、ティナ・マジョリーノ、マイケル・ジェッター、ジェラード・ マーフィー、R・D・コール、キム・コーツ、ジョン・フレック、ロバート・ジョイ、ジャック・ブラック、ジョン・トールス=ベイ、 ジットー・カザン、ゼイクス・モカエ、サブ・シモノ  ときとして、時代錯誤は美しい。あ

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『ウォーターワールド』(1995年・アメリカ)

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『ターミナル・ベロシティ』(1995年・アメリカ) & 『ドロップ・ゾーン』(1995年・アメリカ)

          『ドロップ・ゾーン』“Drop Zone” 監督:ジョン・バダム 脚本:ピーター・バルソチニーニ、ジョン・ビショップ 撮影:ロイ・H・ワグナー 音楽:ハンス・ジマー  出演:ウェズリー・スナイプス、ゲイリー・ビジー、ヤンシー・バトラー、マイケル・ジェッター、コリン・ネメック 『ターミナル・ベロシティ』“Terminal Velocity” 監督:デラン・サラフィアン 脚本:デイヴィッド・トゥーヒー 撮影:オリヴァー・ウッド 出演:チャーリー・シーン、ナスターシャ・キンスキー

          いつかどこかで見た映画 ショートver. 『ターミナル・ベロシティ』(1995年・アメリカ) & 『ドロップ・ゾーン』(1995年・アメリカ)

          いつかどこかで見た映画 その186 『ビヨンド・ユートピア 脱北』(2023年・アメリカ)

          “Beyond Utopia” 監督・編集:マドレーヌ・ギャビン 撮影:キム・ヒョンソク   いやはや、新年早々とてつもなく“強烈”な映画と出会ってしまった(註・この文章は今年の1月に書いたものです)。ここ最近で見たなかでもその緊迫感では群を抜いた手に汗にぎるスリリングな展開と、どこまでも鮮烈かつ印象的な人物像[キャラクター]。そして見終わった後、感動というよりその「メッセージ」の“重さ”に思わず茫然自失してしまうーーというか、とてつもなく「面白い」のに、どうしても安易に

          いつかどこかで見た映画 その186 『ビヨンド・ユートピア 脱北』(2023年・アメリカ)

          いつかどこかで見た映画 その185 『最悪な子どもたち』(2022年・フランス)

          “Les Pires(The Worst Ones)” 監督・脚本:マロリー・ワネック、ロマーヌ・ゲレ 脚本:エレオノール・ガレー 撮影:エリック・デュモン 出演:マロリー・ワネック、ティメオ・マオー、ヨハン・ヘンデルベルグ、ロイック・ペッシュ、メリーナ・ファルデンブランケ、アンジェリク・ジェルネ、マティアス・ジャカン  フランソワ・トリュフォー監督が撮った『トリュフォーの思春期』は、《子供たちを「演出」することは不可能なので、いろいろな「状況」だけを設定して子供たちの「あ

          いつかどこかで見た映画 その185 『最悪な子どもたち』(2022年・フランス)

          いつかどこかで見た映画 その184 『博士の愛した数式』(2006年・日本)

          監督・脚本:小泉堯史 原作:小川洋子 撮影:上田正治、北澤弘之 音楽:加古隆 出演:寺尾聰、深津絵里、吉岡秀隆、浅丘ルリ子、齋藤隆成、井川比佐志、頭師佳孝、茅島成美、観世銕之丞 (この文章は、2006年1月に書かれたものです。)  小泉堯史の映画は、美しい。そしてその「美しさ」は、これまでぼくたちが見てきた映画のなかでも、ほとんど“稀有”なものだと思う。  それは何かを声高に主張したり、訴えようとしない。自分の「美しさ」を誇ったり表現しようとすらしない。他の映画や監督たち

          いつかどこかで見た映画 その184 『博士の愛した数式』(2006年・日本)