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音楽

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はるか昔、人類が作り出した音の芸術は、今日も民の心を動かし続けている。視覚を必要とせずとも、受け取れる世界観は、受け取り手の経験と知識と想像力によって本当の今で完成する。
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記事一覧

日本のHIPHOPらしさについて。

日本のHIPHOPらしさについて。

HIPHOPの定義なんて、砂の数ほど語られてきたわけで、今さら枠に収めることはできない。MCバトルでも、音源のリリックでも、キャリアでも、多くの人間がHIPHOPを語ってきた。

「これがHIPHOPだ」「お前のはHIPHOPじゃない」

まるで戦場にいるかのように、意見の弾丸が四方八方から流れるこの音楽。

この文化は、リスナーもアーティストも各々「自分なりのHIPHOPの定義」をしっかり持って

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記憶の鍵、音楽。

記憶の鍵、音楽。

AimerのDAWNを聞く。

苦しかった専門学校。切迫した日々。徹夜をして学校に行けなくなった。

いつの間にか、日は上がっていた。そんな記憶をBelieve:Be:Leaveが、綺麗なまま包んでくれている。あのイントロが胸を切るほどに痛く、皮肉のように最も成長した日々を回想させる。

以前のMV撮影に、アシスタントで入ってくれたノエトとの会話を思い出した。音楽の視聴で思い出される記憶、共感覚に

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HIPHOPを振り返る。

HIPHOPを振り返る。

HIPHOP、幼い頃はよく父が流してくれた。USも日本語ラップも。

そんな記憶が眠りながらも、中高時代で自らが好んでいた音楽に、それは居なかった。

高校時代、ぼくのりりっくのぼうよみでラップ調の楽曲にはまり、流行りのレペゼン地球やBAD HOP、JP THE WAVYを少し耳にしていたこと。

この数年、創作の世界に踏み入れたことで、偶然にも魅力的な文化に近づいた。

A-MA君との出会い。

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一番の宝物について語る。

一番の宝物について語る。

アニメAngel Beats!で流れる『一番の宝物』が大好きだ。何度聴いても、切なくて、辛くて、どうしようもない感情になる。

特に好きなのはYui ver.なので、ユイの歌唱パート担当であるLISAさんが歌っている。

Yui final ver.は、歌い出しから、作中で流れる10話を思わせる内容となっている。

日向の言葉で満足して消滅したユイ。現実の世界の彼女は、身体が不自由で病室で暮らす日

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絶望を支えてくれた Dawn / Aimer

絶望を支えてくれた Dawn / Aimer

夜明け。暗い世界が終わる、そんな瞬間に寄り添ってくれるアルバムを問われたら間違いなくAimerのDawnの名を挙げる。

夜明けに導く光に包まれたような曲たちは、私の背中を押してくれた。

1つの物語の終焉と夜明けの新しい物語。

アルバムの深堀は初の文章で、とても楽しみだ。では、本日はDawnを語っていく。

寄り添ってくれた時期2021年。専門学生だった私は、卒業後に個人事業主として生きていけ

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適切なアンビエントミュージックを添えたい

適切なアンビエントミュージックを添えたい

江﨑 文武を知り、WONKを聴くように。そんな彼らのドキュメンタリーを見て、エリック・サティに出会う。

サティの本来の目的や意図は置いといて、彼の『家具の音楽』はアンビエント・ミュージック/環境音楽の歴史の火を灯す。

そして、私が大好きなブライアン・イーノ。

1978年に出したAmbient 1: Music for Airportsは、空港という場所に相応しい優しく、緊張やストレスを緩和す

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東京と曲

東京と曲

くるりの岸田さんは、『忘れてた君に電話をしようか?』という状況を歌う。

あい変わらず。という歌詞の存在が岸田さんの京都での過去を想像させる。

実際にバンドメンバーに起きた思い出も重ねて、リアルに、エモーショナルに、上京を歌う。そこに東京での生活の葛藤や不安、現在と過去の狭間で揺れ、故郷の恋人を想う心が映しだされている。

ノスタルジーに回想する東京。

住んだことはないが、きっと東京は自分の嫌

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音楽という部屋。

音楽という部屋。

優しい世界観、背中を押してくれる世界観、切なく今の心情に寄り添ってくれる世界観、激しく強い自分になれた気にしてくれる世界観。

楽器や声が作り出すメロディーやリズム、そして思想や心情を、直接にも比喩的にも落とし込める歌詞。

それらが作り出す音楽という名の芸術は、いわば世界観。身近にあるもので例えるならば、曲は部屋だと考えている。

我ながら独特な捉え方、同じような人がいればコメントしてもらいたい

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