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【詩】ぐるぐるぐる


 
ぐるぐるぐる 
ことばがうまれ 獣がうなり
灯台が点滅する
 
ぐるぐるぐる
こどもたちは 衝動でうごき
記憶喪失の患者のように波紋がひろがる

水晶体に 飴色の水が映っている
湖は 静かに横たわり
苦しそうに 荒く呼吸していた
 
水は ふるえていた 
流れる場所を探していた
雨は 支えていた
感情がさらに水かさを増した
 
あの土の壁に 
ただ一点の急所があれば
今すぐおれが土砂を穿つのに
雨はひっそりと反乱をねらっていた

ぐるぐるぐる
うずのように なる うむ つくる
ねんどのように こわれて 
つぶして またくっつく の くりかえし
 
運動する天体が 僕の存在を認めたら
胸につかえる迷いが 晴れるだろうか

湖で育った魚が ミミズを捕まえたら
来世では きみに会えるだろうか

ねえ 
ぼくもきみも その運動の一部だよ
意味も溶かして くりかえす
うずのように ぐるぐるぐる



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