「きみはオフィーリアになれない」 川嶋美禰子 前編 #093
時間をかけて、少しずつ菓子作りに挑戦していると、叔母が色々と料理を教えてくれるようになり、美穪子の生活には張りが出てきた。とてもささやかだが、確かに喜びが感じられる生活だった。いつか瀧本に食べさせてあげることができるかもしれない、と思った。
美穪子はヨロヨロと立ち上がると、買い物に行かなければ、と思った。もう冷蔵庫にほとんど食材は残っていないはずだ。もうこんなに遅い時間になってしまっている。急いで立ち上がると、それだけで少しだけ心持ちが軽くなったような気がした。
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