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1話 最終話 久々に小説を書いてみた。数年前まではわりと活発に執筆活動をしていて、文学新…
1話 前話 「まあ、そんな狐に摘まれたような顔をするな。まだ、少し時間はあるか?」 配送…
1話 前話 スピカが事務所の中に入っていくのを目撃しても、どうすることもできなかった。工…
1話 前話 いつの間にか太陽はとっくに昇り、世界を照らしはじめている。夜中から仕事をして…
1話 前話 スピカはそこから本当に何も話さなくなった。淡々と店舗納品を続け、ついに最後の…
1話 前話 次の店舗も、いつも大量の注文をする店舗だった。住宅街に位置するため、通勤の時…
1話 前話 同期の飲み会も何度か開催されたことがある。しかし、いつもだいたい夜の七時ぐらいからはじまる。普段は寝ている時間だ。少し遅れて参加し、その後は運転だから酒を飲むわけにもいかない。 みんな、表向きは現場で汗を流して働いている自分のことを持ち上げてくれるが、内心ではどう思っているのかわからない。 本社でスーツを着て働いている人とは違って、自分はまだ名刺交換すらしたことはない。社会人としてちゃんとした経験を積んでいないのではないか、というような焦燥感があった。
1話 前話 車内には焼き鳥の匂いが充満していた。結局、スピカはトラックを降りることなく、…
1話 前話 「ここに同乗してるだけでもう迷惑なんですよ」 「騒ぎを大きくしてもいいの?」 …
1話 前話 「カフェイン入りのガムとか、噛んだらいいのに」 「昔は噛んでたけど、とっくに…
1話 前話 結局、配送時間は普段の十五分遅れになった。やっとここまで巻き返したのに、また…
1話 前話 とにかく探さなくては、と思った。もし仮にトラックが盗まれたのだとしても、その…
1話 前話 配送をしていると、午前三時がきてほしくないな、と思うことがある。配送中はずっ…
1話 前話 春からは、まずは配送をやってもらおうと思う。そう告げられたのは、入社まであと少しに迫っていた、去年の二月のことだった。 会社の応接室で、中谷という部長と向かい合わせに座っていた。入社前面談があると言われ、特に服装についての指定はなかったので、スーツを着ていった。中谷はワイシャツにネクタイを締めていたものの、あとは作業着という不思議な格好をしていた。 免許証、見せてくれる? と言われたので、財布から取り出した。中谷は一瞥し、中型免許だな、とつぶやいた。そ