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高レベル放射能の土からも雑草は平気で生えてくる

春になり、種まきの季節でいろいろ家庭菜園の作業をしている時、雑草を見ながらある事を思い出した。生命、生物のたくましさの話です。

数年前、放射能測定をする仕事をしていた。ゲルマニウム半導体検出装置という物々しい名前の機器を使う。主に放射性セシウムのガンマ線を測定していた。
円筒形の高さ10センチくらいのプラ容器に検体を入れておく。検体の重量で100g程度あれば測定できる。震災当初は1検体あたり、1万円…、分析機関は今のPCR測定同様、ボロ儲けだったようです。最近ではどんどん、価格は下がっているようですが。

汚染土など廃棄物の基準として8000Bq/kg 以下というのがある。8000を超えると指定廃棄物になり簡単に処理できなくなる。この基準の根拠は、年間の被曝量1mSv以下になる周辺環境からきている。とりあえず、8000Bq/kgというのは高濃度の放射線がでていて、危険ですよという事。参考資料貼り付けておきます↓

https://www.env.go.jp/jishin/attach/waste_100-8000.pdf

http://shiteihaiki.env.go.jp/initiatives_other/conference/pdf/conference_09_04.pdf

さまざまな検体を測定していれば、時には8000を超えるヤバい検体がある。だいたい、ホットスポットの農業用ため池の泥や土である。

測定が間に合わず、サンプリングから2日後くらいに測るときがあるが、時たま雑草が発芽しているプラ容器がある。透明なので、発芽の様がよくわかる。8000Bq/kg近い土からである。そもそも、即死になるほどの基準ではなく、安全を見て低めに設定されているということもあるだろう。さらに、放射線に対する抵抗力も個体差があるので、一概には言えないが、一応危険の目安になっている状況でも、植物は発芽する。

原発周辺の避難地域だって、草一本生えない、生物がいない不毛の土地になったわけではない。植物が繁茂し、イノシシなどの野生動物は繁栄している。

人間だけが、避難した。放射線で死んだというより、その避難で環境が変わり健康を害して死んだ人が多い。

放射線は遺伝子の中の電子を弾き飛ばし、本来の機能の欠損、異常な作用や反応を引き起こす。しかし、その異常が起こる一方でそれを修復する機能、バックアップ回路がたくさん持っていて、正常な状態にしようと作用しているようだ。
ある方法が欠落しても、別の方法で補い正常化につなげる。数10通りの相補的な手段をもっているそうだ。遺伝子の発生や分裂複製に限らず、反応、調整、代謝にいたる生体システムにおいてそのようなバックアップ回路、バイパス、抜け道がある。
現在、知られている遺伝子や酵素の働きだけではなく、実は別の部分でも重要な働きをしている可能性がある。わかっていることは、実は少ない。

教科書には何でもわかった事のように書いてあるが、生物や自然のメカニズムはまだまだブラックボックスが多い。わかったような気になっているだけで、僕たちは何も知らない。
下の記事でも似たようなことに触れた↓

学校でも、
「まだわかってない事がたくさんある、だから君たちがその謎を解き明かしてくれないか!」と教えたほうが、興味がわくのではないだろうか。

長期的に見て今後どうなるか、わからない部分はあるが、チェルノブイリ原発周辺でも野生の生命は育まれ、死の土地になったわけではない。

放射能に汚染された土でも、雑草は見事に育つ。

長い長い進化の過程で得られたであろう生物や自然の仕組みには、畏怖の念を抱かずにはいられない。

夏場は、草刈り作業で憎たらしい雑草たちも、この地球にしか存在しない。そう宇宙規模に視点を変えると、雑草だってすごい存在だ。

そもそも、雑草と軽々しく呼んでいるが、私が名前を知らないだけで立派な名前が付けられている。

生物学者でも知られる昭和天皇は、
「雑草ということはない」、「どんな植物でも皆名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草と決め付けてしまうのはいけない。注意するように」と話したそうだ。

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