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ショートシュート

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2024年2月の記事一覧

レトルト三角関係(400字の小説)

レトルト三角関係(400字の小説)

ある男からレトルトカレーを三角形にする案が、提案された。
従来の四角形では、インパクトが無いと云う理由からであるが、
男以外、誰も賛成はしなかった。
その男が云う。

「従来の四角形に比べて素材の使用量が少無くてすむ。
また、パッケージの形状が斬新でインパクトがある。
必ず売れるはずだ。
我が社これで推すべきだ」
と、強く主張する。
その甲斐あって、男の意見は採用された。
だが、売れ行きはさっぱり

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暦に想う(400字のエッセイ)

暦に想う(400字のエッセイ)

閏年。
私の人生に於いてさほど意味を為さない。
四年に一度、一日増えても私には何も変わらない。

ただ、地球に於いては意味がある。
四年に一度の閏年が無ければ、
長い年月が経つと季節が暦と合わなくなってしまう。

私はいつも想う。
暦は、誰がどの様に作ったのだろうかと。

昔からある暦。
天体観測しながら作ったのであろうか?
望遠鏡もない時代にどの様に観測していたのだろう。
昔の人は目が良かったの

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昴(谷村新司)(ナイツ風ツッコミ)

昴(谷村新司)(ナイツ風ツッコミ)

🎵目を閉じて何も見えず

「当たり前だろう。見えたら怖いわ。」

🎵悲しくて目を開ければ

「目を開けるのに何で悲しんだよ!」

🎵荒野に向かう道より、他に見える物は無し

「おまえ、目を閉じたまま、
どの様にして此処に来たんだよ?
誰かに拉致されてきたのかよ!」

🎵嗚呼砕け散る定めの星達よ
せめて密やかにこの身を照らせよ

「何?
訳の解らない話を、この状況下でするの?
今、拉致されて

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春めく季節に浮かされて(400字の小説)

春めく季節に浮かされて(400字の小説)

春めく陽気に誘われて、一匹のカエルが目を覚ます。
でも、もう一匹は目覚めない。
「おい、もう春みたいだよ。起きろよ!」
と、揺り起こしを試みる。
だが、全く目覚めない。
「仕方ないな〜、僕だけ外に出てみるか?」
と、土の布団から顔を出す。
「暖かいな〜。やっぱり外は気持ちが良い。
土の中に潜っていても、楽しくないよ」
嬉しそうに、ぴょんぴょんぴょんと、
跳ねながら土手を行くカエルが舞踊る。

「何

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鳥 (300字のエッセイ)

鳥 (300字のエッセイ)

ヒッチコックの映画で以前「鳥」と言うのがありました。

鳥達が人間を襲う。
こんな事が現実にあったならば、人間は怖くて街にも行けない。
外にも出れない
空から突然襲って来る鳥を、人間は防ぎ様が無い。
自然の摂理で、鳥が襲って来ない様になっているのかも知れない。

カラスが酷い迷惑を掛けていますが、
ゴミを散らかすだけなので
まだ我慢出来ます。
あのカラスを阻害して恨まれたら、
カラスは利功な鳥だか

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鳥の歌の歌詞に想う(370字のエッセイ)

鳥の歌の歌詞に想う(370字のエッセイ)

以前、「池中元太80kg」というテレビドラマの挿入歌に
「鳥の歌」がありました。
杉田かおるの歌です。
この歌は、一見すると、鳥の事を歌っているのかと思いますが、
これは、別れの歌なのですね。

🎵あなたがいた頃は、笑いさざめき・・・
と、あります。
三番の歌詞に
🎵あなたはいつの日か、巣立つ私を、静かな微笑みで見つめてくれる。

ドラマでは、この三番だけを歌っていたので、
親子の関係の歌かと

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梅の花達の話合い(420字の小説)

梅の花達の話合い(420字の小説)

梅の花達が話している。
「僕達って、桜の花達の人気の陰に隠れて無いか!」

「そうだ!もっとアピールしないといけないよ」

「でも、こっちは季節が悪いよ。
寒いし、桜の咲く頃は春で暖かいよ。」
と、それぞれの意見が重なりあう。

「綺麗さだけなら、桜に引けを取るとは思えないだが」

「桜並木は、多くあるのに、梅並木は数少ないね」

「そうだね、そこも問題だね。」

「こんな事なら、咲いたら直ぐに散

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チョコレート売りの少女(2)(550字の小説)

チョコレート売りの少女(2)(550字の小説)

「チョコレートはいかがですか!美味しいチョコレートは如何ですか。」
粉雪が舞い散る夕方に、少女はチョコレートを売っている。
街行く人は、少女を無視するかの様に、急ぎ足で通り過ぎて行く。
「今日も売れないな〜。また、叔母さんに怒られる」少女は孤児だった。
その少女を預かり酷使する意地悪な叔母さん。少女は、空を見あげている。
その顔に粉雪が、降りかかる。
「帰りたくないな〜」
と、小声で言っても誰も聞

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チョコレートの想い出(300字の小説)

チョコレートの想い出(300字の小説)

チョコレートで思い出すのは、私が小学二年の時、父が東京からのお土産に
買ってきたチョコレートを思い出す。
その頃のチョコレートは、子供にとっては、ご馳走であり贅沢な品物だった。

一粒口に含んだ時の甘い感覚は、僕の今まで感じた事もない喜びであった
僕は、全部食べてしまうのがもったい無くて、
後のチョコレートを残しておいた。
妹も同じチョコレートを父から貰ったが、一度に全てを平らげていた。

次の日

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未来に行ける眠り薬(パート3)(460字の小説)

「お父様、私未来に行ってみたいです
この薬を飲めば三十年後の世界に
行く事ができます」
と、純情可憐なお姫様が、
新薬の眠り薬を王様に差し出しながら
嬉しそうに言う
「三十年後の未来だって⁉️ 何故、未来に行きたいのだ。」
と、訝しい思いで、王様は尋ねる。

「だって、多くの男達が、私をストーカーしてくるの。
私、怖くて街にも一人で行けないの。
未来に行けばもっと安全な世界だわ。」

「でも、その

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行列の出来るリモコン(440字の小説)

行列の出来るリモコン(440字の小説)

年金暮らしの老人には生活の余裕は無い。
今日も無料で食べれる「炊き出し鍋」に来ている

親切なボランティアの団体が
無料で食事を振る舞ってくれ大助かりだ
私と同じ老人達が群れを成す。
行列は毎度の事、無料だから待つ値打ちがある。

街をぶらついていると、長い行列に出くわした。
習性とは恐ろしいもので、行列を見ると、
つい並びたくなる。
何の行列か尋ねてみると、
リモコンを無料でくれるらしい。

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美声の歌姫(720字の小説)

美声の歌姫(720字の小説)

私の耳に心地よい美声が響いてくる。

誰だろう、こんな真夜中に歌を歌っている人は?

朦朧とした意識で考えた。

その歌声は、女性の声でしかも英語だ。

外人女性の歌手が私の家に来たのか?
そんな筈は無いだろう。家には鍵を掛けた筈だ。
私は目を開けようと、試みるが開ける力が無い。
瞼が重い。身体の自由が効かない。
だが、それほどの恐怖は感じてはいない。
女性の優しく美しい声は、私の心を癒してくれる

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百獣の王の証(600字の小説)

百獣の王の証(600字の小説)

私は「百獣の王」ライオン様だ!
だが、実は名前ほど強くは無い。

この前、キリンにノックアウトされた。
キリンの首を目掛けて喰いちぎろうとジャンプした時、
前足でキックされた。
見事なキリンのカウンターキック。

僕は哀れにも失心KO負け
幸いな事にキリンは草食動物だから、
喰われずにすんだ。
「お腹が空いたよ」と本音を暴露。
今日で三日も食っていない。

狩に行っても獲物を追える力も無い。
ふら

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