見出し画像

百獣の王の証(600字の小説)

私は「百獣の王」ライオン様だ!
だが、実は名前ほど強くは無い。

この前、キリンにノックアウトされた。
キリンの首を目掛けて喰いちぎろうとジャンプした時、
前足でキックされた。
見事なキリンのカウンターキック。

僕は哀れにも失心KO負け
幸いな事にキリンは草食動物だから、
喰われずにすんだ。
「お腹が空いたよ」と本音を暴露。
今日で三日も食っていない。

狩に行っても獲物を追える力も無い。
ふらふらと草原を歩いていると、ハイエナが
狩をしたのか、美味そうに肉を頬張ってる。
…やった!奴を脅して肉を奪い取ろう!…
と、いつもの卑しい根性が顔をだす。

俺様は威厳を持ってハイエナに近づく。
きっとハイエナは逃げて行くはずだ。
だが、ハイエナは逃げない!
いつもと違うハイエナ。
何故だ!

「おい、お前。俺様を誰だと想っているのだ!
『百獣の王』ライオン様だぞ。
その獲物を置いて立ち去れ!」
と、命令したが、ハイエナは無視して
肉を食べている。

「おい、お前聞いてないのか!」
と、脅し大声を出す。

「お前知らないのか?今の『百獣の王』はキリン様だよ。
お前はキリン様にノックアウト負けしたそうだな。
国中では知らない獣はいないぞ」
と、言い返された。

俺は不審に思い、ハイエナを連れてキリンを探し出す。

「おい、ハイエナ。お前嘘をついたな。
『百獣の王』の証である[王冠]をキリンは被っていないぞ!」

「だって、あのキリンの頭に[王冠]を被せる動物は
何処にもいないよ!」


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?