Yuko Mizutani | 訪問アロマセラピスト

アウトリーチ(訪問)アロマセラピスト。 介護施設など、高齢者のもとを訪れトリートメント…

Yuko Mizutani | 訪問アロマセラピスト

アウトリーチ(訪問)アロマセラピスト。 介護施設など、高齢者のもとを訪れトリートメントを提供し、介護をアシストします。 「この方が今日一日幸せな気持ちで心が満たされますように」 ここではずっと胸の内にしまっていた小さな物語を皆さんにおすそ分け。

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はじめてのアロマハンド ひとこと感想集

介護施設訪問で最もご依頼が多いのがハンドトリートメント(マッサージ)です。 ハンドトリートメントは、指先から手首もしくはヒジまでを、精油入りのオイルでじっくり10分~20分かけて施術します。 柔らかな力加減で、オイルを肌になじませるようにさすります。 手の甲や腕は手で包み込むように、指は1本1本爪の先まで、心をこめて。 最後のオイル拭き取りまで丁寧におこないます。 上の写真は、私が施術しているところを撮影したものです。 施術中の写真をもう一枚。 なんとなく、様子を分か

    • 遠距離&ダブルケア 孤立する家族に寄り添いたい

      介護家族のケアについて殊に意識するようになったのは、 この女性との出会いがあったからでした。 老人ホームのロビーで月に2回、 フットリフレクソロジーを提供していた時の話です。 ある日、ひとりの女性が館内を歩いていました。 歳は30代くらい。見かけたことのない人でした。 「あの… 私も受けられますか?」 ためらいがちにこちらにやって来ました。 「もちろんです!どなたでも大丈夫ですよ」 と席へ迎え入れました。 座席に座った女性の足はとても緊張していました。 「今日は面

      • ひとりきりで過ごす日々

        この日は、認知症がかなり進行した女性のお部屋を訪ねました。 広い部屋の真ん中にベッドが1台。 ベッドの向かいに大きなテレビ。 部屋の隅にタンスが1つ。 イスもテーブルもなく、ガランとした部屋。 電気もついていない薄暗い部屋で、 その女性はベッドに横たわっていました。 「〇〇さん、こんにちは。」 「……。」 「アロマのマッサージに来ましたよ。」 「手をマッサージしてもいいですか?」 「……。」 そっと手を取り、抵抗がないことを確かめたら、 やさしく手の甲をさすります。

        • 休憩中のストレス発散 スタッフ向けのケア

          とある高齢者施設のロビーに、小さなカフェがありました。 その一角で私はハンドとフットのミニアロマサロンを開かせてもらっていました。 ある日、ひとりの女性がサロンにやって来ました。 「はぁー、やっと休める~。」 イスに腰かけると、大きく息をつきました。 彼女はこの施設の介護スタッフです。 「今日も忙しすぎ!もうホントに!! 朝から大変だったんだから―」 今日の出来事。イライラしたこと。職場の不満。身体の不調。 彼女の話は施術の間、止まることなく続きます。 幸いサロン

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        はじめてのアロマハンド ひとこと感想集

          アロマは苦手なのに、毎回楽しみにしてくれる

          毎月の訪問を楽しみにしてくれていた男性がいました。 でも、彼はアロマトリートメント(オイルマッサージ)が苦手です。 では、なぜ毎月楽しみにしてくれているのでしょう。 それは、おしゃべりができるから。 私が訪問するホームのスタッフの皆さんは本当に多忙で、気持ちはあっても入居者ひとり一人とゆっくりお話ししている時間が取れないようでした。 アロマの訪問はひとり20分~30分。その間は気兼ねなくおしゃべりを楽しむことができます。 トリートメントが苦手だからと何もしない訳にはい

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          美味しそうな匂いだったかな? カモミールの甘い香り

          寝たきりで会話によるコミュニケーションが難しい男性を、月に一度訪問させてもらっていました。 毎回、ハンドトリートメントを受けてくださいます。 ある時、ハチミツのような香りがするカモミールとオレンジの精油をブレンドしたオイルでマッサージ。 片手が終わると、男性はその手をおもむろに顔に近づけました。 顔が痒いのかな? そのしぐさを何度も繰り返しますが、どうも痒いわけではなさそうです。 そこにスタッフさんがやって来ました。 「あら~、アロマしてもらってるの!いいわねー。」

          美味しそうな匂いだったかな? カモミールの甘い香り

          「こんなこと、誰もしてくれない」 ショートステイでのひととき

          私が通う施設では数日間だけ入居する「ショートステイ」の受け入れをしていました。 この日は、そのショートステイ利用のお客さまを訪ねます。 慣れない場所、周りは見知らぬ人ばかり、食事や入浴以外はひとり個室で時間を持て余す… この施設のショートステイのお客さまは、そんな環境で緊張や不安な気持ちを抱えていることが多いです。 施設スタッフさんと一緒にお部屋を訪問すると、女性がベッドで横になっていました。 「今日はアロマの日なんですよ。いい匂いでマッサージしてもらいましょうね。」 ス

          「こんなこと、誰もしてくれない」 ショートステイでのひととき

          はじめてのフェイシャル体験

          今日は女性のお客さま。毎月訪問させてもらう常連のお客さまです。 この女性は足がむくみがちで、いつもフットトリートメントをリクエストなさいます。 そう分かっていても、施術前には毎回必ず体調を確認し、その場で施術の内容を決めます。 この日、お客さまは目がとても疲れるとおっしゃいました。 「それならば、フェイシャルはいかがでしょう?」とご提案します。 「うーん、顔なんて、お化粧もしないし…」とあまりピンとこないご様子。 それでも「目の周りの筋肉をほぐせば、きっとラクになりますよ

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          どんなアロマを選ぶ? 介護施設の場合

          今日はいつもと趣向を変えたエントリー。 介護施設やご自宅でアロマを使う時の参考になれば…と思います。 高齢者施設でおこなうアロマセラピーお客様の心身の状態に合う精油を選ぶのがアロマセラピーの本来の形。 ですが、施設訪問では限られた時間の中で次々に施術をおこなうため、ひとり一人に合う精油を選ぶ余裕がない場合がほとんどです。 したがって、多くの方に受け入れられそうな香りで安全性の高い精油ををあらかじめ用意することになります。 しかし、アロマセラピーは多くの高齢者にとって未知

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          訪問サービスのご依頼について

          [2023.10 一部変更] --- ■アウトリーチ(訪問) アロマトリートメント・セミナー ご自宅、集会所、事業所などを訪問し、アロマのトリートメントやセミナーを提供いたします 自宅でくつろぎたい、友達と気軽に楽しく過ごしたい、社員の福利厚生に… ご要望に応じて柔軟に対応いたします トリートメントは個室や専用ベッドなど、特別な用意はいりません その場にあるテーブルやイス等を利用し、施術スペースを作ります <介護アロマ> ご高齢者、ご家族の介護をしている方に対して ご

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          自分の時間を持つのも大事ね

          セラピスト仲間とともに障害者の交流サロンでリフレクソロジー(足裏マッサージ)を提供した時のこと。 ひと組のご夫婦がやって来きました。 夫婦とも50歳前後、旦那さまに障害があり、奥さまが介助をなさっています。 お二人同時に施術を受けることになり、ご夫婦隣同士の席にご案内。 奥さまは、旦那さまの靴下を外すのも手伝ってくださるほど、旦那さまのことが気になって仕方がないご様子。 その後も視線はずっと旦那さまに向けられていて、話の内容も旦那さまのことばかり。 一方、旦那さまは素知

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          「お父さん、いい顔してる!」

          「ぜひこの方にアロマをやってほしいんです」 常勤看護師さんに連れられて、とあるお部屋を訪問。 70代くらいの男性がひとりベッドに横たわっていました。 細い管がベッドの傍にある機械から男性の喉元につながっています。 その管をいじらないように、男性の両手にはミトン(手袋)が装着されています。 看護師さんにミトンのはずし方を教えてもらい、ハンドトリートメントを開始します。 男性は少し戸惑った様子だったけれど、いつのまにか眠っていました。 施術が終わり退室しようとしていたところ

          「お父さん、いい顔してる!」

          アロマのあしあと

          訪問先の施設内を移動する時、香りを連れて歩きます。 と言っても、精油を1,2滴染み込ませたコサージュをバッグに付けて歩くだけですが。 通路、エレベーターの中。 私が通ったところは、ほんのり香りが残ります。 「いいにおい~」 「これだけでも癒される~」 通りすがりのスタッフさんや来館者が深呼吸していきます。 アロマがお好きな方のお部屋には、くずかごに精油をつけたティッシュを入れておきます。 次の日ゴミが回収されるまでの間、お部屋の中で香りを楽しむことができるはず。 ト

          顔のお手入れがしたかったの

          この日のお客さまは70代の女性。 半身麻痺で、日中は車イスで生活しています。 それまでにも何度かハンドマッサージをさせてもらったけれど、あまり好まないご様子。 麻痺側の手を触られるのが嫌なのかな…。 思い切ってフェイシャルを提案すると、意外にもOKのお返事をもらえました。 マッサージの合間には 「これはどこの化粧品?」「あなたは化粧品会社の人?」 ハンドの時より話が弾みます。 お化粧に対する関心が高いみたいです。 それもそのはず。 この女性はとてもおしゃれ。 髪を淡

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          あったかい…

          今日は寒さがぶり返してきたので、ほっこりあったかエピソードを。 この日のお客様は、認知症の女性。 言葉を発しにくくなってきていて、会話のキャッチボールが難しい、そんな方でした。 細身でおとなしい印象。 アロマを受けるために個室に連れてこられ、知らない私と2人きり。 なんだか不安そう。 ご挨拶の後、これからすることをゆっくり丁寧に説明します。 声掛けを絶やさず、やさしくやさしくハンドマッサージ。 華奢な手から、力みがだんだんとれていくのが分かります。 マッサージが終わり

          自己紹介

          こんにちは。 ご訪問ありがとうございます。 アロマセラピストのミズタニと申します。 お客様に合わせて精油を調合しトリートメント(いわゆるオイルマッサージ)をするのがお仕事です。 介護施設や家庭を訪問し、主に高齢の方にトリートメントをお届けしています。 自粛の波の中でこの記事を書いているのは2020年4月初旬です。 世界中が新型コロナウイルスの脅威にさらされています。 直接お客様の身体に触れるこの仕事。どんなに対策をしても感染の可能性は0%にはならないでしょう。 そういう