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どんなアロマを選ぶ? 介護施設の場合

今日はいつもと趣向を変えたエントリー。
介護施設やご自宅でアロマを使う時の参考になれば…と思います。

高齢者施設でおこなうアロマセラピー

お客様の心身の状態に合う精油を選ぶのがアロマセラピーの本来の形。

ですが、施設訪問では限られた時間の中で次々に施術をおこなうため、ひとり一人に合う精油を選ぶ余裕がない場合がほとんどです。
したがって、多くの方に受け入れられそうな香りで安全性の高い精油ををあらかじめ用意することになります。

しかし、アロマセラピーは多くの高齢者にとって未知の物。精油の香りが彼らにとって「いい匂い」とは限らないのです。

例えば、ラベンダーやティートリー。アロマセラピーの代表格、世界で愛される香りで初心者にも使いやすいのですが、日本の高齢者にはほとんど馴染みのない香り。「クサい!」「トイレの芳香剤みたい」と言われてしまうことも…。

でも、アロマは採り入れたい…
そんな方のために、私が現場で実践している工夫の一部をご紹介します。

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馴染みのある香りを使う① フルーティー

オレンジスイート、マンダリン、ユズ、ライム、パルマローザ(レモン様の香り)、カモミールローマン(リンゴ様の香り)など

私は毎回必ずフルーツの香りを持参します。フルーツの香りが嫌いな人は滅多にいないため、芳香浴にトリートメントに大活躍です。特にマンダリンはミカンに近い香りで皮膚刺激も少なく、重宝する精油です。

馴染みのある香りを使う② ウッディ

サイプレス、パイン、ヒノキなど

杉、松、ひのきなど、身近にある木の香りは比較的男性に好まれると思います。

季節を感じさせる香りを使う

例えば、初夏にはバラに似た香りのゼラニウム、夏には清涼感のあるスペアミントやユーカリラジアタ、冬至の頃にはユズ、真冬は温かみのあるマジョラムスイートなど

真夏に甘ったるい香りは暑苦しく感じるものです。逆に真冬にヒンヤリ感じる香りは気持ちまで冷え冷えします。
季節の空気感に合う香りを選びます。

冬至のユズなど、その季節の行事にちなんだ香りや旬の植物の香りは、会話のネタになるので私は好んで使います。

香りの強い精油は低濃度にするか、他精油とブレンドする

ゼラニウムやカモミール、イランイランなど香りの強い精油を使いたい時は、普段より濃度を下げます。
 トリートメント:通常1%→0.25%~0.5%
 芳香浴:通常使用量から半減もしくは倍量のエタノールで希釈

もしくは、ベルガモットやホーリーフ(ラヴィンツァラ)など穏やかな香りの精油とブレンドし、マイルドな香りに整えます。

嫌いな香りはムリに使わない

自分の好きな香りが、他人も好きだとは限りません。
使う前に必ず相手に確認しましょう。少しでも不快なそぶりを見せたなら、別の香りに変えます。

香りそのものが苦手な人もいます。
そういう方には「無香」のオイルでトリートメントします。

決して無理強いしないこと。
香りと感情は直結しています。
嫌いな香りでトリートメントされても、全然気持ち良くなりません。それどころか悪い印象が残り、もう二度と受けてくれなくなるかもしれません。

トリートメントも芳香浴も、まずは相手が心地よく感じてくれるか気を配ることを忘れずに。

アロマに慣れてきたら種類を増やす

何回かアロマを体験し精油の香りに慣れてきたら、徐々に新しい精油にチャレンジします。

周りにも配慮を

アロマセラピーを実施する時は、十分に換気をおこないます。
香りは周囲に広がります。また、数時間~半日程度香りが残ります。
周りの人の気分を害したり、生活(特に食事)や職員さんの仕事の邪魔になったりしないよう配慮も大切です。

私のセットリスト

ちなみに私が施設訪問する時の香りラインナップを紹介すると…

〔施術用ブレンドオイル〕
フルーティー、フローラルorハーブ、季節ものorウッディ、ベースオイル(無香)の4種
〔芳香浴用精油〕
 オレンジスイートorマンダリン、ラヴィンツァラorユーカリラジアタ、ラベンダートゥルーなど2,3種

トリートメント用は、あらかじめ香りの系統別に2,3の精油をブレンドしたオイルを持参し、お客様ごとに選んでいただいています。

芳香浴用は、上記の精油を持参し、会場を確認してから使う精油を選びます。
例えば、ダイニングルームなら柑橘系を選び、香りが残っても食事の邪魔にならないよう配慮します。反対に個室でサロンルームっぽくできるなら、ほのかなラベンダーの香りで雰囲気を演出します。

訪問を重ねて、施設全体の様子やお客様の好みや禁忌を把握できたら、お客様にフィットする精油を使うようにしています。

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ちょっと長い記事になりましたね…
アロマを使うヒントになりましたでしょうか。
アロマを身近に感じ、楽しんでいただけたら、うれしく思います。

まだまだマイナーな職業です。ご支援いただけましたら嬉しく思います。なお、いただきました御厚意は今後の活動資金に充てさせていただきます。