美味しそうな匂いだったかな? カモミールの甘い香り
寝たきりで会話によるコミュニケーションが難しい男性を、月に一度訪問させてもらっていました。
毎回、ハンドトリートメントを受けてくださいます。
ある時、ハチミツのような香りがするカモミールとオレンジの精油をブレンドしたオイルでマッサージ。
片手が終わると、男性はその手をおもむろに顔に近づけました。
顔が痒いのかな?
そのしぐさを何度も繰り返しますが、どうも痒いわけではなさそうです。
そこにスタッフさんがやって来ました。
「あら~、アロマしてもらってるの!いいわねー。」
スタッフさんにしぐさの事を話すと意外な答えが返ってきました。
「美味しそうな匂いだったのかな。胃ろうだと食べ物の匂いを嗅ぐことないものね。」
「なるほど、そうか!」と心から納得しました。
食べることは人間にとって大きな楽しみ。
口から食事を摂ることができない方が、香りを感じることで少しでも心を満たせるのだとしたら…。
『香り』が持つ力を強く感じられたケースでした。
まだまだマイナーな職業です。ご支援いただけましたら嬉しく思います。なお、いただきました御厚意は今後の活動資金に充てさせていただきます。