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週間手帖 十二頁目

2023.02.18
酸いも甘いもまごうことなき人生の得。錆び付いた特異体質も、磨けば天性の輝きを取り戻す。御託を並べるよりも己に従え。人生はすべて選択につき。

2023.02.19
かなしみに出会うのはいつだってすべてが通り過ぎたあとだ。震えるほど眩しい残像を撫でて、忘れないようにいつも手繰り寄せてばかり。届かない言葉ばかりを並べるどころか、ひとつも紡ぐことすらできていない。それでも言えることはひとつ。きっと終わりはしない、ぼくらの愛だけは。

2023.02.20
しなやかな声で空気を震わせて、瞬く間に世界を彩る。強気な指先が指す方向はいつもきらきらと輝いている。繊細なきみを隠して、でも研いだ爪はきちんと忍ばせて。ここではないどこかを引きずり出そうと、潤う瞳に炎を映してぶち壊して。間違いには間違いを連ねて、成功には成功を塗り重ねて、泥臭く人生を謳歌。その因果が惑星と惑星を引き寄せて新しい住処を作り出すかも、なんていつまでもきみに夢を見ていたいんだ。

2023.02.21
一間の稲妻、熱い血潮。丸い二重、マイノリティ、甘くない唇。燻れ、怠惰の化身、似合わない骨。世界を挑発、夢破り、歪な新世紀。生意気な魔法使い、前のめりのトレーナー、愛国心のカードマスター。柔らかな耳、可愛い皮を被った野獣、音に溢れた人生。きみに会えたら、何から話そうか。

2023.02.22
ある晴れた日に空を眺めて
ある雨の日に土のにおいを嗅いだ
ある晴れた日に旅に出て
ある雨の日に生まれを懐かしんだ
ある晴れの日に目を閉じて
ある雨の日にまた目を閉じた
ある晴れの日に喉から出かけたものを
ある雨の日にそっと転がしてみた
ある晴れの日に窓辺に花を添えて
ある雨の日に香りをくぐらせた
ある晴れの日に久しぶりに会って
ある雨の日に苦手な紅茶を買った
ある晴れの日に挨拶をして
ある雨の日に挨拶をした
ある晴れの日に、ある雨の日に


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