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Profile / Work

宮谷 行美 (Pikumin) 音楽メディアにてライター/インタビュアーとして経験を重ね、現在はフリーランスで執筆活動を行う。坂本龍一『2020S』オフィシャル・ライターを務めたほか、書籍『シューゲイザー・ディスクガイドrevised edition』への寄稿、Real Sound、日刊サイゾーなどのWebメディアでの執筆、海外アーティストの国内盤CD解説などを担当。 【オフィシャルライター / Official Writer】 坂本龍一(Ryuichi Sakamoto

    • 【備忘録 一頁目】フジロック・コンプレックス打破の夏

      「本日、お荷物をお届けいたします」 先日、配送業者から届いたメール通知を見て、「あぁ、いよいよもうすぐだ、」と実感した。送り元はチケットぴあ。心当たりは一つしかなかった。 今夏、生まれてはじめてフジロックへ行く。 という取るに足らない出来事ですが、私にとっては夏の野外フェスに行くこと、さらにはフジロックというもはや私的音楽の聖地と呼べる場所に行くというのは大きい出来事なので、備忘録として残しておきたいと思う。誰のためでもない自分のためのnoteです。 3月末にチケット

      • 匿名と平等のなかで距離感を選ぶ/体感研究報告書

        スレッズの何気ないポストに、フォロー外の人からリプライが来た。ともにタメ口だった。しかもつい先程まで会話をしていたくらいの自然さで。何度見ようと知らない人だったので、敬語で返信をした。 Xでおすすめタイムラインに流れてくるバズポストには、大概は敬語のないリプライがついている。それらは大抵投稿主の知り合いではなく、週十件、週百件にわたる“知り合いもどき”たちだ。 先に否定しておきたいが、敬語でないことを許せないタイプではない。私も年上の人から敬語で話される方が距離感が掴めず

        • 夜、公園、人間探し/体感研究報告書

          “しゃんとしないから逃げる”という宣言通り、しゃんと更新していない。あれこれ書きたいことはあるけど、リサーチ不足やまとまり不足で公開にまで至らない。日記にしては1日に対して抽象的すぎて、エッセイにしては薄すぎる。とはいえ“体感”を素直に報告したいのがこの報告書の目的でもある。 日記を書き続けている人は、「自分に正直に」をモットーに、書くことがない日も「書くことがない」と書くそうだ。自分に向き合うことと習慣づくことの偉大さを感じざるを得ないとともに、書くことがない、と書くこと

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          しゃんとしないと、から逃げる/体感研究報告書

          「しゃんとしないと、格好つけないと話せないよなぁ」 そんなことを思う時があった。というより、1年また1年と、どんどん話がしづらくなった。別に誰かに怒られたわけでも冷たい目を向けられたわけでもないんだけど、ただ自分が言葉を出す時に選んだり考えたりする時間が増えた。そのおかげで旧ツイート現ポストも減っては、その反動で対面や電話になると意味も深みのない話をべらべらと話す習慣がついてしまった。 今年になってそんな気持ちがまた一段と湧き上がる中で、いろんな人の日記やエッセイを読みな

          しゃんとしないと、から逃げる/体感研究報告書

          週間手帖 十三頁目

          2023.12.12 秋がゆらめいた。息を吸い込んだら肺がひんやりと冷えて、すぐに熱を補おうと心臓が忙しく呼吸をしだす。生きようとしてるんだ、と思った。これがいつ絶えてしまうかなんて、知る由もない。きっと自分が死ぬという感覚は、死ぬ直前にしかわからない。 2023.12.03 人が変わる瞬間を見た。瞳の中には青い炎が静かに煌めいて、堂々たる出で立ちで、自信という言葉じゃ安いほど、自信に満ち溢れていた。そして、至って冷静だった。変わる日を重ねて、新しい君になっていく。私の知ら

          週間手帖 十三頁目

          PLAYLIST SERIES

          NIGHT WAVE RADIO(不定期更新) ”LOVE COLLECTIONS” SERIESLOVE COLLECTIONS VOL.1:Mitski LOVE COLLECTIONS VOL.2:Cocteau Twins LOVE COLLECTIONS VOL.3:RYUICHI SAKAMOTO LOVE COLLECTIONS VOL.4:ART-SCHOOL LOVE COLLECTIONS VOL.5:YMO

          PLAYLIST SERIES

          週間手帖 十二頁目

          2023.02.18 酸いも甘いもまごうことなき人生の得。錆び付いた特異体質も、磨けば天性の輝きを取り戻す。御託を並べるよりも己に従え。人生はすべて選択につき。 2023.02.19 かなしみに出会うのはいつだってすべてが通り過ぎたあとだ。震えるほど眩しい残像を撫でて、忘れないようにいつも手繰り寄せてばかり。届かない言葉ばかりを並べるどころか、ひとつも紡ぐことすらできていない。それでも言えることはひとつ。きっと終わりはしない、ぼくらの愛だけは。 2023.02.20 しな

          週間手帖 十二頁目

          週間手帖 十一頁目

          2022.08.01 五線譜をはみ出した激情に、50音でまとまらないこころ。そこに溢れるものを知りたくて、見せたくて、分かり合いたくて、出会うそのときを待ってる。ひとときだけ同じひとになれるような、魔法の時間を待って奇をてらう。君のなかから絶え間なく音が鳴っていて、柔らかい音色がぼくらを誘うんだ。不器用に言葉を交わそう、不確かな未来をつなげよう。 2022.08.02 “暴力性”は魅惑にも嫌悪にも転じるような複雑な性質で、心底厄介だと思う。例えば床にビール瓶を投げつけて

          週間手帖 十一頁目

          週間手帖 十頁目

          2022.05.15 頼りない便りに立つ弁もなく、言葉は騒々しいだけで想像力は皆無。荒々しくて仰々しいそれ。傲慢に張り付く期待も、呆れた末に死体。たかが一筆、されど逸品。そんな大それた出会いもなければ、面と向かう気合もない。ありふれた文句はインクが滲んでおざなりってね。足元を見た議論ではなく目を見て異論を唱えてみなさい。世界はまた一周、君の知らないところでぐるりと回る。 2022.05.16 爪弾くギターに合わせて、意気揚々と歌ってマイボーイ。「しゃらくさいわ」はお決ま

          週間手帖 十頁目

          週間手帖 九頁目

          2022.03.01 垂れ流す甘い血と錆びた舌。赤い嘘で塗り潰した夜もやがて白んで、あなたも私も知らん振り。あの日の奇妙な約束に絆され、おぞましい呪縛となって傷を残した。太陽に永遠が溶けた頃、またここで会いましょう、なんて約束もきっと日の目に当たることなく、くたびれて土に還るさ。 2022.03.02 可憐なあの子にありったけの喜びと悲しみを注ぎ込み、井戸の深くに突き落とす。大海を知らない蛙のように、ただひとつを知り、ひとつを求めればいい。何重にも塗り重ねる真っ白な背徳

          週間手帖 九頁目

          週間手帖 八頁目

          2021.12.20 師走のお知らせはとうの昔に遠ざかり、駆ける毎日にも追い付けないまま橋を架けろとせかされる。大人になるにつれて鼓動の高鳴りに疎くなり、心臓は鉛のように重くなっては、息を吸うたびに身体がキリキリと悲鳴を上げた。どこで何を間違ったのかなんて、自分だってわからない。ただ幼き頃は有り余るほど抱えていた、無数のきらめきと愛おしさを見失ってしまっただけ。数多のイルミネーションに目を輝かせて雪道を駆ける少年少女たち。途方のない憧れのようなものが、胸の内でむくむくと黒い

          週間手帖 八頁目

          週間手帖 七頁目

          2021.12.01 いつだって、誰だってヒーローになれるんだって。街中の喧騒だって、僕を掻き立てる最良のBGMになるんだって。優しくなれない私に、優しくない君から届いたのは、痛くて熱くて、痺れてやまないほどの激励。希望を射止めて、花咲け薔薇色の人生。 2021.12.02 道徳に背けば悪人同様、狼狽えるな愚か者よ。ところでその道徳、誰が為のものよ。疑いを忘れた羊に実りの草は得られない。正気を失うまでの喜劇と悲劇を添えて。もはや常識を砕くことにしか興味がないのだ。 2

          週間手帖 七頁目

          週間手帖 六頁目

          2021.11.13 ゆらゆらと赤い季節が蘇る。スーパーカーに乗って一年前の八月に帰り、桃色の駆け引きも知らないあの夏に溶けよう。透明な心を涙に変えて、夢の先で会おうねラッキーガール。 2021.11.14 電子的海に漂流する数多の不安と不幸とくだらない承認欲求。プラスチックのように消化されることなく蓄積され続けるそれは、黒い渦を伝染させてゆく。正体が見えなければノーリスク。それこそがハイリスク。すべての申し出は、ここへ来て、目を見てどうぞ。安直な泥濘に足を取られて

          週間手帖 六頁目

          週間手帖 五頁目

          2021.10.20 LOST CITIES / AM4:44 / LIBERALISM / PHASE 999 / LEAVE ME LONELY 2021.10.21 何度目かの合図も当たり前のように夜に放り投げて、耳から甘いノイズを垂れ流した。曖昧な吐息も些細な布の擦れも、余すことなく再現するけれど、どれもこれも偽物ばかり。似ているだけじゃ、もう満足できないみたい。寝返りを打ってとろけた君は、いよいよ深淵に落ちてゆく。電気仕掛けの赤い糸も解けて、明日には忘れて

          週間手帖 五頁目

          週間手帖 四頁目

          2021.09.04 心拍数、急上昇。息を呑んで身を潜めて、自分を忘れる5秒前。恐怖に宿る美は真実を物語るのだと、怯えるその目が教えてくれる。畏怖はいつでも君の傍にあるから、息を止めてあなたの過ちを数えて。一瞬の気の緩みで私たちはいつでも真っ逆さまに落ちてゆく。 2021.09.05 雨が降るから急ごう、と駆け足になるも、薄暗くなる空のスピードには勝てなかった。水滴よりも軽いような重いような、真っ白なそれを掌で受け止め、顔を合わせてわかりやすく驚き合った。季節外れの雪は

          週間手帖 四頁目