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キャリア支援者の私が、終焉して考えたこと・本まとめ〜30代のキャリアプラン〜

私は少し前まで「働く」ことについて考えていた。というのも、これまで新卒から今まで「仕事第一優先」で約10年ほど生きてきた人生だったが、少しずつ違和感を感じ始めていたからだ。このままでは低空飛行で走れるけれど、きっといつか急に崩れてしまいそうだと思い、しっかりと考え直すことにした。

その過程で実際に動いたこと、考えたこと、読んだ本を記してみようと思うので、もし他の方が同じことに陥ったときのヒントになればと思う。


終焉したけど、これは「転機(トランジション)」だ

キャリアコンサルタントの勉強をされた方ならわかると思うが、これはキャリア理論でブリッジスの唱える「転機(トランジション)」なのだと思う。

画像引用:https://www.insource.co.jp/contents/column_transition_step.html

トランジション理論の説明は以下に預けるが、「これまでの働き方」について違和感を感じ、いわゆる第一段階の「終焉…自分自身の何かが終える感覚」に突入後、第二段階の中立圏にいた。

10年間、ずっと仕事を頑張ってきた理由

そもそも私は新卒から今まで「仕事第一優先」だったが、何でこんなに仕事を頑張ってきたか?

それはポジティブ・ネガティブな要因はあれど、本質的には「自分の存在価値を感じるため」、もう少し厳密にいうと「仕事で価値を出すことで、自分がこの世界に存在しても良いと自他共に納得してもらうため」だったのではないかと思う。

これは成人発達理論でいう「裏の目標」「強力な固定観念」に当てはめられる。

・「裏の目標」=「仕事で成果を出せば必要とされる。成果が出ずとも頑張っていれば認められて居場所ができる。それがなければ私には価値がなく、居場所がなくなるのではないか…だから認めてもらわないといけない。」

「強力な固定観念」=「周りに認めてもらわないと居場所がなくなる」

成人発達理論参照
https://www.earthship-c.com/leadership/adult-development-theory

私の心の声

要するに、恐怖心が根本だったのだと思う。

そのため、1社目のWEBマーケターの時は全力で数字を追っていたし、それに加え2~3社目のキャリア支援でも目の前にいる求職者やキャリアに悩んでいる人を全力でサポートすること、そして社内の一緒に働く仲間にも貢献したいという気持ちで業務改善などを頑張っていた。

※この辺の葛藤は仕事において悪影響を及ぼすこともあるので、興味があればストーリーでわかる下記本も読まれるのがおすすめ(あと嫌われる勇気も)

そんな私が今回終焉したきっかけ

そんな思いを持ちながら働いていたが、違和感を感じて終焉した。その理由は2つあると考えている。

①一緒に生涯を共にするパートナーとの結婚

別の記事で書いたのだが、実は結婚をした。元々は結婚願望はなく自分に結婚する未来があるのかと思っていた人間だったが、京都に一人で移住して価値観が変わり、出会って半年のスピードで今のパートナーと結婚した。

良かったらこの記事もどうぞ↓

結婚をし、パートナーと毎日他愛のないことを話したり、一緒に出かけたり、親友のように生活する中で、元々の自分のルーツ・性格を思い出すようになった。

私は親が共働きの1人っ子で、小学校低学年の頃から中学までずっと、夜20時すぎまで1人で留守番をしているような幼少期だった。一方で、高校からは寮生活で楽しく一緒に暮らしていたし、大学の時も友達数人と集まって常に誰かと生活を共にしていた。

おそらく幼少期の寂しいという感情の反動から、私は1人よりも仲の良い人たちと暮らす方が、はるかに幸せだったということに気がついた

仕事内容もお客さんも会社の仲間も好きで充実感を感じている一方で、パートナーとの生活リズムが合わなかったり、仕事で疲れて話す時間が少なくなることが多いと、「それって私にとって幸せなのか?」と思い始めた。

そのため改めて4L理論で割合を見直したときに、以前独り身だった時と比べて「love(人間関係)」を大事にしたいという欲求があることに気がついた。

4L理論はこちら↓

②自分の存在価値が認められるようになったこと

もう1つの理由は「自分の存在価値が認められるようになったこと」だ。前述の通り、私は幼少期から「自分の存在価値はない」という認知の歪みが根強かった。だけど心理学を知り、幼少期の経験がルーツとなっていたということや、捉え方を変えるような客観視ができるようになった。

また客観視することと加えて、自分の強みを認識できたことも大きい。

存在価値をを認めてもらうためには、できないことがあることは許されないと思っていたため、苦手でも鍛錬して強化された強みが結構あった。

例えば昔はのんびりしてぼーっとしている子だったが、社会人になってマーケティングという仕事に食らいつくために、分析力や目的意識が磨かれた。そうやって培われてきた武器を認識でき、自分のことを受け入れられるようになった。

また20代までは苦手を補う思考だったが、30代になり自分の武器・強みが発揮できる仕事の割合を増やしてもらう戦略を身に着けたことで、より価値発揮を実感でき自信を持てるようになった。

だから「そんなに擦り切れるまで頑張りすぎなくてもよく、自分の培った強みをより強化していければ良いのではないか」と思えるようになった。

考えた末に辿り着いた、これから私の人生の大枠

第一段階の終焉を経て、第二段階の中立圏(ニュートラルゾーン)に入った際、色々な本を読み、再度診断ツールなども受け直して「どんな人生にしたいか」を改めて考えてみた。結果、下記となった。

◎Before
・「自分の存在価値を自他ともに認められる」ことを重要視(他人軸)
・仕事においては「成果や誠実さで周りから必要とされる」を重きを置いていた
・4LでいうとLaborの仕事の部分が80%を占め、仕事中心の人生だった
・また仕事で成果を出すことで、ドーパミン的な刺激のある幸せの中毒になっていた

◎After
・「自己実現をしながらも、バランスを崩さず生きる」を重要視(自分軸)
・仕事においては「仕事以外の生活とバランスを保ちながらも、自分の能力・リソースで関わる人に本質的に貢献する
・4LでいうとLaborの仕事だけではなく、Love・Learning・Lesuireもバランス良く時間をかけたい
・ドーパミンはLabor・Learningで程よく満たしつつ、家族・友人との時間を大事にするオキシトシン(愛情)、1人で内省したり自然を散歩するなどセロトニン(健康・健やか)的な幸せの比重もあげていく

※幸せの種類(ドーパミン・オキシトシン・セロトニン)については下記参照
https://r25.jp/article/944787037635059211

変化しているポイントとしては「他人軸ではなく自分軸で生きる」「仕事だけに極端に比重を上げず、プライベートにもしっかり比重を割いて生きていきたい」ということだ。

ただそうなると、シンプルに「仕事の割合を減らすで良いのか?」という話となる。でもしっくりこなかったので「仕事をなぜやるのか?なんのために働くのか?」、を考えるために、価値観や個人のMVVをまとめてみることにした。

この人生の中で「何のために働くのか?」の整理

何のために働くのか?の整理のために、

1)人生に求める価値観整理のための「パーソナルバリューリスト」
2)仕事に求める価値観整理のため「14の労働価値」「キャリアアンカー」
3)改めて個人のMVVのうち「ミッション(存在意義)」

を使って言語化をしてみた。

1)パーソナルバリューリスト(価値観リスト)

現時点で自身の人生の価値観として何を大事にしているかを考える際に、パーソナルバリューリスト(価値観リスト)で考えてみることにした。詳細は下記。

その中で上位10位は下記。

情熱:なんらかの発想、活動、人々に深い感情を抱く
創造:新しくて斬新なアイデアを生む
適度:過剰を避けてほどよいところを探す
家族:幸福で愛に満ちた家庭を作る
美的:身のまわりの美しいものを味わう
友情:親密で助け合える友人を作る
快適:喜びに満ちた快適な人生を送る
達成:なにか重要なことを達成する
知識:価値ある知識を学ぶ、または生み出す
受容:ありのままの自分を受け入れてもらう

2)仕事に求める価値観整理のため「14の労働価値」「キャリアアンカー」

いずれも仕事やキャリアを選択していく上での価値観を考えるために有用な理論。各々で大切になりそうな価値観をピックアップしてみた。

<14の労働価値>
能力の活用:
自分の能力を発揮できること
美的追求:美しいものを創りだせること(新しいものや考え方を創りだせることの創造性とも近い)
達成:良い結果が生まれたという実感
ライフスタイル:自分の望むペース、生活ができること

提唱者:ドナルド・E・スーパー「14の労働価値」
記事参考:「14の労働価値」という理論について
https://logmi.jp/business/articles/322749

<キャリアアンカー>
専門能力・職人:
「専門家」としての能力を発揮したい
自律と独立:「自分のペースやスタイル」を守って仕事を進めたい「研究職」
生活様式:仕事とプライベート、企業人と一個人などどちらも大切に考え、両者との「ベストバランス」を常に考えている

提唱者:シャイン「キャリアアンカー」
記事参考:キャリアアンカーの「8つの分類」とは?
https://biz.tunag.jp/article/3602

◎1)2)から価値観のまとめ
「情熱・創造・達成などエネルギーが必要なこと」「家族・友人・受容などの人間関係」「美しいものに触れる」を自分のペースや裁量でバランスをとりながらで分散させて求めているのでは…と思う。

3)自分のlaborにおけるミッション(存在意義)

自身が体現した経験をもとに、自分の理想の人生を掴む力を持つ人を増やす。

そのために、まずは自身が人生で欲しいものを掴み取り、理想を叶え続ける。
自身の経験で得た理想を掴むための考え方や選択肢を提供・発信して、自分の理想の人生を掴む人を増やす。

これにした背景はポジウィルに入社し、心理学を学び自分にも応用して乗り越えたり、会社に交渉して自分が理想の人生を掴んだ経験があったことで「自分の人生、能動的に掴んでいける!」と確信したこと。

それまでの私は失敗や否定されることを恐れて「うまく行きそうなことだけに挑戦する」というような人間。ただ心理学を通して、なぜそんなに恐れがあるのか・どう捉えれば良いのかを知り実践することで、失敗や他者からの否定への恐れがあまり気にならなくなってきた。

またどうしても苦しい時に上司に相談して、より強みが活かせる仕事に挑戦させてもらったり、会社に交渉して関東→京都移住を実現できたりと、自分から能動的に動き行動すれば、掴みたいものを掴める確率やスピードが格段にアップすると思ったので、そういった人生でサポートしていきたいと思っている事に気が付いたことも大きい。

改めて、私は何のために働くか

価値観や個人のMVVを棚卸した上で、何のために働くかをまとめてみた。

<何のために働くか?>
①自分が人生の中で興味を感じることをに対して、自分の裁量で納得いくまで探求し、「その過程の試行錯誤・創造を楽しむ」ため。
②探求する中で得たリソース・スキルを提供・発信することで、「自分の理想の人生を掴む人を増やす」ため。

①がマストで、②はあるとなおGoodという感じだが、まず自分が「(途中の苦しみや成長痛も含めて)過程を楽しむ」が一番の目的。

というのも以前は「昔の自分のように自信がない人が、自分や自分の人生を愛するサポートをしたい」という、どちらかというと自分よりも他の人を幸せにしたいという気持ちが大きかった。

でも今思うと、「過去の自分のような人を救ったり辛かった経験を認めたい・癒したい」という欲求だったのかなと。

またそれ自体は全く悪いこととは思わないし、他の人が同じような思いで働いているのをみると素敵だなと思う。

ただ、今の私はフェーズが変わったのかなと。

もちろん、自分が経験したことで関わる人のサポートができるならしっかりと手を貸したい。だけど以前は自己犠牲的に、相手への貢献>自分の負担というやり方をしていたので自分をすり減らしてまで貢献することを、もうやめようと。そうしないとサステナブルに働き続けることが難しくなるし、結果的に周りに迷惑をかけてしまうことも実感した。

これまで以上に自分を満たし、その上で関わる人に貢献する

シンプルに言うと「自分が良いと思うことを、考え、創造し、自分の望むペースやバランスで納得いくまで探求していく。その上で、関わる人に本質的な貢献をしていく」だ。

そのためまずは自分自身が生涯、理想の人生を掴み続けるために考え、行動し続けていきたい。その上でせっかくなら自分が経験した知識や考え方を関わる人にも伝えて、サポートして自分で人生を掴み取る人を増やしていきたい。

ただこれまでのように自己犠牲をして貢献していくのではなく、自分の人生は大切にしつつもバランス良く貢献していく人生にしていきたいと思い、ここに決意として記しておきたい。

■おまけ

キャリア支援経験やキャリア理論、その他自分が必要と思ったことでカスタマイズしてやったことのまとめ。

参考①:終焉→中立圏を抜けて、始まるまでにやったこと

①4L理論で人生設計のブラッシュアップ
②ストレングスファインダー
仕事の内容・役割、自分のライフスタイルの変化で変わることもあるので再受講。(実際、上位5位のうち2つほど資質が変わっていた。)
③価値観の整理
先述の「価値観リスト(パーソナルバリューリスト)&14の労働価値&キャリアアンカー」にて人生全体・仕事においての価値観の変化を客観視するためにブラッシュアップ
④読書(詳細後述)
人生観や働く価値観、幸福を考える時に影響しそうな本を読み直し。

参考②読んだ本

▪️じぶん時間を生きる TRANSITION
仕事人間だった自分から、プライベートの時間を大切にしていきたい私の変化にもすごく関連。

「『従来型の経済成長モデルが立ち行かなくなっているなか、どうしたら楽しく豊かなライフスタイルを送ることができるか』という問いへの応答。ドーパミンの影響下を抜け、じぶん時間に向き合う一冊」

「代官山 蔦屋書店コンシェルジュが厳選する、2023年上半期ベスト3選
AMAZONの紹介文より引用

▪️MISSION
「何のために働くか?」についてのヒントが書いてある本。若手時代に読んだ時は「ただ仕事としてやるのではなく、何に命を使うか(=使命)」という考え方に感銘を受けました。約10年経った今では、感じ方が違っていたのが新鮮でした。

▪️リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス
「認められるために頑張っていた自分」からの変化を感じたため、成人発達理論で発達段階が変わりつつあるのではないかと思い、再読。ストーリー仕立てで、すごくわかりやすいです。

▪️働き方
「生き方」で有名な京セラの稲盛氏の本です。何のために働くかや、働く心構えを見直すヒントに。

▪️7つの習慣 ティーンズ
有名な7つの習慣のティーン版。人生の方向性を見直すために。学生向けで文体や事例が読みやすいのでおすすめ。

▪️3つの幸福
幸せをドーパミン、セロトニン、オキシトシンなどの3種類に分けて解説した本。今後どんな風に生きていけば幸せなのかの考え方の参考に。

▪️苦しかった時の話をしようか
働くことの本質について書かれた本。マーケターの森岡さんからみた、資本主義社会や仕事の選び方、向き合い方について書かれた本。やりたいことが分からない人におすすめ。