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ソラで思い出して憶える Active Recall

アクティブリコール勉強法とは、「能動的に思い出す」という行動を利用した勉強方法です。たとえば単語を見て意味を思い出したり、土地の面積の計算に必要な公式を自分自身に問い、答えたりするときには「記憶から情報を探し出し、思い出す」というプロセスを踏みます。

「記憶が定着しやすい? アクティブリコール勉強法の魅力」

学習法について聞いた話によると、目の前に並んでいる記号をそのまま何度も反復して読み上げても、字を見ながらだとあまり効果がないそうだ。それよりは「アクティブリコール」と呼ばれる手法で、ソラで(原文から視線をそらして)単語や文のかたまりを思い出そうとしながら読むほうが学習効果はあがるそうである。なぜならば、見ながら読むのと比較して、見ないで思い出す方が負荷があがるからなんだそうである。

確かに、例えば目の前の外国語(目標言語)の単語や単語が並んだ列を読み上げて憶えよう自分のものにしようとしても、目をつむって読もうとすると、自分がたった今眺めていたはずの単語や文をおぼろげに、マダラにしか思い出すことができていないことに気がつく。それで、もう一度目を開いて思い出せなかった単語を確認しては、もう一度目をつむって完全に暗唱しようとする。おそらくこのギャップを感じること、その都度その都度忘れていくけれども、それを前提として今はいったんは一通り暗唱することが重要なのだろう。

したがって、負荷はかかっているし、その負荷を乗り越えてテキストなしでもソラで単語や構文を使いこなせるようになれば、後は他の知識との接続や、とっさに必要な外国語会話のときでも思い出せる reacall ための準備になるというのは、そういう研究結果が出ていることとは別に腑(ふ)に落ちるところがある。

一方、個人的に聞いた話だが、職場で或る人が「一番アタマを使うのは文章を組み立てることだ」と言っていたことがずっと印象に残っている(職場といっても別に編集者などメディアの現場ではないし、大学で教師から指導された助言よりそちらの方が私に印象的だったのも不思議である)。その根拠について本人から明示されることはなかったが、私としては確かに「文章を書き綴る」というのは「文章を読む」というのと同じぐらい悪く言えば曖昧(あいまい)であり、良く言えば知的な能力を総動員する必要のある作業だからだと解釈している。そしてその「総動員」の中にはやはりどうしても既に獲得した知識をどうにかして思い出し、なおかつそれらに意味のあるつながりを発見したり、何とか間に補助線を引いて橋渡しをしようとすることが含まれるし、あるいは含めることが可能であったり、含めざるを得ないといった事情があるだろうと解釈している。

したがって、文章を書くことで「アクティブリコール」も含めた能動的な活動で負荷がかかり、それによって、さらに様々なことを記憶にキープすることや、様々なことの接続や発想を記憶にキープすることができるようになると考えている。

もし目標が記憶によって例えば資格試験などを突破することであれば、「アクティブリコール」は主に問題演習によってなされるべきであろうが、私の場合は敢えて「アクティブリコール」も含んだかたちで文章を書いていくことに大きな意味があると考えている。なぜならば、私は最終目的ももっと長い文章の執筆だからである。

つまり、(1)まずは敢えて参考資料を見ずに自分の書きたいことをソラで思い出しながら書いてみて、(2)次に、重要な部分については信頼できる外部のソースをみて確認したり、既に書いたことに誤りがあったとしたら、それによって「バックミラー」で(=事後的に)確認して訂正していくということである。というのも、残念ながら最初から完璧なソースとの照合を目指して書こうとしてしまっては萎縮してなかなか書き進めることはできないからである。したがって、まずは資料を見ずに走ってしまうか、今は走り抜けるモードなのだと割り切って、それから次の段階としてもう一度走り直しつつバックミラーで自分自身の文章のキズを証拠や適切な理由と照らし合わせて修正していくのが理想的な文章の仕上げ方だということになるだろう。

(1,725字、2024.04.10)

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