渡々

主にショートショートを書いています。 お笑いと星野源さんが好きです。 https:/…

渡々

主にショートショートを書いています。 お笑いと星野源さんが好きです。 https://profu.link/u/wtnbtik0930

マガジン

  • 世にも奇妙な物語風

    世にも奇妙な物語っぽいショートショートを集めました!

最近の記事

  • 固定された記事

【エッセイ】靴、箸、双子。。

2つで1足、2本で1膳。 靴や箸は2つが1セット。 双子も似ています。 2人で1人。 双子は1/2ずつが合わさってやっと1人として機能する。 僕が双子として人生を送ってきた24年間の内、大半はこの感覚でした。 産まれてからずっと、同い年で顔も声も嗜好も思考もほとんど同じ兄弟が一緒にいる。この感覚を双子じゃない人に伝えるのはとても難しいです。 友達と兄弟の間のような感じ。先に産まれた方が兄という不文律によれば僕が弟、もう1人は兄。でも、自分と弟の関係性とは少し違う。1

    • 【エッセイ】「弱み」を見せるって?

      大学を卒業する直前や卒業した後に、「実はあのとき思ってたけど言えなかった事」を発表される時が何度かあった。 「何考えてるか分からなかった。」 「怖い人だと思ってた。」 「素見せてないよね?」 寝耳に水だった。 自分を出せなかった高校時代とは違って、自分らしくいられているなと思っていたからだ。 それらとほぼ同時期、恋愛の終わり際に同じようなことを言われる時があった。 「弱みを見せて欲しかった。」 あれ、そういえば「素」「弱み」ってなんだっけ? それとまた同時期にも

      • 【エッセイ】"普通"のことが"普通"に出来るのも個性

        "普通" この言葉をどう感じますか? ポジティブ?ネガティブ? "多様性"が一人歩きしている今、"普通"は古い価値観/固定概念/バイアスを押し付ける時によく使われる。 「結婚して子どもを作るのが"普通"の幸せ」 「女性が家のことをやるのは"普通"」...etc または、つまらないやつといった意味でも使われる。 特出したところがなく、おしなべてどんなことも下手でも上手くもない。 だから、何か劣っている部分がある方が、その代わりに何か秀でている部分があって、人間的に魅力

        • 【ショートショート】#139 青春

          「今年もう半分過ぎたの?はや!」 毎年恒例のセリフが聞こえてくるようになる6月。木々を照らす太陽と揺らす風が心地よいとはもう言ってらんない。準備運動を始めた夏は、アップでもこのくらいの実力はありますよと余裕をかましてくる。部活の嫌な先輩みたいだ。 汗とシーブリーズを継ぎ足しながら過ごす一年の折り返し地点。学校まで登りの坂道は、朝から私の心を折ってくる。アドバンテージになるはずの愛車が、修学旅行に持って行くバスタオルくらい大荷物になるからより最悪だ。 でもそんな坂道は夕方

        • 固定された記事

        【エッセイ】靴、箸、双子。。

        マガジン

        • 世にも奇妙な物語風
          25本

        記事

          【ショートショート】#138 考えさせられる

          今日、大学で環境問題の授業があった。様々な事由が取り扱われたが、特に私に身近なのはプラスチックの削減だった。あまり良く現状を知らない私は、コーヒーチェーン店のストローが紙になったことに正直少し不満を感じてしまっていた。 でも、プラスチックの原料が石油であるため、焼却処理するとCO2が排出され地球温暖化に繋がること。海に流れたプラスチックゴミを魚が食べて死んでしまうことだけでなく、プラスチックを食べた魚を人間が食べることで有害物質を取り込んでしまうことなど、悪影響が多くあるこ

          【ショートショート】#138 考えさせられる

          【映画感想】誰にでも得られるものが幸せ【怪物】

          ※ネタバレを含みます。鑑賞後にご覧ください。 ただの仲良しな友達同士のケンカ? のように見せかけられたいじめ? を隠蔽しようとしてる最低な教師? に担任をでっち上げようとしてる モンスターペアレント? ある1つの言動や事象、人や物に対する視点は、人の数だけあるけど、じゃあその視点は本当に100%自分の中から生まれた純粋なもの?他人のちょっとした一言や、目に見えている表面上のことだけを見て「推測」してそう思っているだけでは? 直接見て/聞いていないことを 直接見た/聞いた

          【映画感想】誰にでも得られるものが幸せ【怪物】

          【エッセイ】2度と会えなくなる友達が増えていく

          3ヶ月分課金して始め、疲弊しては辞め、疲弊を忘れては始めることを繰り返し、トータル1年ほどマッチングアプリをやっていた。 長く続ければ続けるほど、信用出来ないものってなーんだ。というなぞなぞの答えはマッチングアプリである。 大抵のものは長く続ければ技術が身につき、熟練度が増していくけれど、マッチングアプリは長く続けている=その間恋人が出来ていないことになる。継続は力なりの唯一の例外だ。 疲弊する理由は、初対面の人と関係性を0から作り上げることとか、複数の相手とやりとりを

          【エッセイ】2度と会えなくなる友達が増えていく

          【ショートショート】#137 ペット

          私の人生にはいつもペットがいた。 物心付いた時には実家に犬がいて 人間より先に友達になった。名前はレオだ。 "ペット"という表現自体あまりピンと来なかった。 だって私にとってレオは家族であり、友達だったからだ。 だからレオが死んだ時は、おじいちゃんが亡くなった時と 同じくらい悲しかった。いつ泣き始めていつ泣き止んだかも 覚えていないくらいだ。 そんな私も大学生になり、1人暮らしを始めてからは "家族"を向かい入れることはなかなか難しかったが 社会人になりようやくペット

          【ショートショート】#137 ペット

          【ショートショート】#136 K-1グランプリ

          甲子園に出場するために野球部に入った。 甲子園で優勝出来たら野球を辞めてもいい。 そのくらいの覚悟だ。 毎日キツい練習をしてきた。 僕達の野球を見てくれる人に笑ってほしい。 特に僕は3年生なのでラストイヤーだ。燃える。 全国で予選を行い、マネージャーと共に頑張ってきた。 サイレンを出囃子にして入場して挨拶するのが夢だ。 本番だけでなく試合後のインタビューで いかに結果残すかも大事だ。 アナウンサーとのやりとり次第で テレビに出られるかどうか決まる。 優

          【ショートショート】#136 K-1グランプリ

          【ショートショート】#135 ドッペルゲンガー

          最近、私を〜で見たという身に覚えのない場所での 目撃証言を知り合いからよく聞く。 私に身長も格好も服装もそっくりらしく 双子がいるのではないかと疑われるくらいだ。 でも、私は一人っ子だし、 生き別れた兄弟などもいない。 そのいわゆるドッペルゲンガーの特徴を 目撃したという知り合いからよく聞くと どうやらそいつは左利きらしい。 全く一緒なわけではないのか。 他に違う部分はあるのか? 聞けば聞くほど会ってみたいと思うが 接触するとお互いの存在が消えてしまう

          【ショートショート】#135 ドッペルゲンガー

          【ショートショート】#134 モーニングルーティーン

          私の日課は、寝る前にYouTubeを見ることだ。 お気に入りのYouTuberがアップしている動画を 一通り見ていくのが1日の楽しみになっている。 特に、最近ハマっているのが 「モーニングルーティーン」と呼ばれる動画だ。 朝起きてから家を出る前までの支度の様子を 撮影しているもので、まるで他人の生活を 覗き見しているかのような感覚になり、 なんだか癖になる。 いつものように動画を見ていると、 見知らぬYouTuberのモーニングルーティーンの動画が おす

          【ショートショート】#134 モーニングルーティーン

          【ショートショート】#133 紫が灯る

          「やっぱ向いてないのかなぁ。」 今日も一つも契約を取れないまま会社へ戻る。 信号待ちをしていると、隣に2年前に別れた彼女が 立っていた。いや"元"彼女か。 あの時と全然変わってない。 向こうもまた僕に気づいたようで話しかけてきた。 「変わんないね。」 「君もね。」 「いや、信号が。」 「あ、そっちか...。」 「…変わったよ。」 「え?まだ赤だよ?」 「いや、私は。」 信号が青に変わり、僕たちは歩き出した。 「そうかなぁ。全然変わってない気がするけど

          【ショートショート】#133 紫が灯る

          【ショートショート】#132 青春

          彼女と出会ったのは3年生になってすぐの ゼミの歓迎会だった。 元々、大人数での飲み会が苦手なのだが、歓迎会という スタートダッシュに響くイベントを欠席するほど 僕は周りの目を気にしない人間ではなかった。 1時間ほど経ち、やはりノリについていけず トイレに行くふりをして少し休憩しようと 店の外へ出ると先客がいた。それが彼女だった。 飲み会を2人で抜け出し、公園のベンチで飲み直した。 好きな歌手も映画も同じ。こんなに話が合う人は 同棲の友達でもいなかった。

          【ショートショート】#132 青春

          【ショートショート】#131 不審な死

          私が今回担当している事件には 不審な点がいくつかある。 30代の男性が職場のビルの屋上から転落死した。 本部としては自殺として処理する方針なのだが いくつか引っかかる点がある。 他殺の線はないだろうか。 まず亡くなった男性は靴を履いていたのだ。 自殺する際は大体靴を脱ぐことが多い。 しかしこれだけで他殺を疑うのはまだ早い。 私が引っかかっているのは男性のスマホの アプリゲームについてだ。 現在そのゲームではリリース5周年記念の 感謝祭が行われている。

          【ショートショート】#131 不審な死

          【ショートショート】#130 慣用句

          ずっと夢だった料理人になる夢を叶え ついに自分の店を持つことができた。 開店してすぐはあまり客足は多くなかったが 口コミで評判が広がり、 毎日行列の絶えない店になった。 そんなある日、いつものように厨房に立っていると ホールの店員が慌てて話しかけてきた。 「シェフ、お客さまのほっぺたが落ちたそうです…!」 「それはなによりだね!」 「いやあの、例えとかではなく、本当にです…。」 意味が分からなかったが、とりあえずホールへ向かうと 人だかりができていた。中

          【ショートショート】#130 慣用句

          【ショートショート】#129 効果音

          大学のレポートの締め切りが近いので 図書館にカンヅメになることにした。 楽しみにしていた飲み会があったのだが 学業を優先しなければ。 トホホ…。 でも仕方ない。自分で蒔いた種だ。 出来るだけ早く書いて、遅れてでもいいから参加しよう。 シーン! やはり図書館は勉強や調べ物をしている生徒が多く 静まり返っている。静かすぎると集中出来ないな...。 ピーン! 閃いた!この流れなら分量が書けそうだ。 飲み会にも間に合いそうだぞ! ワクワク! 早速書き始める

          【ショートショート】#129 効果音