【ショートショート】#135 ドッペルゲンガー

最近、私を〜で見たという身に覚えのない場所での

目撃証言を知り合いからよく聞く。


私に身長も格好も服装もそっくりらしく

双子がいるのではないかと疑われるくらいだ。

でも、私は一人っ子だし、

生き別れた兄弟などもいない。


そのいわゆるドッペルゲンガーの特徴を

目撃したという知り合いからよく聞くと

どうやらそいつは左利きらしい。


全く一緒なわけではないのか。

他に違う部分はあるのか?

聞けば聞くほど会ってみたいと思うが

接触するとお互いの存在が消えてしまうというので

合ってみたくない気持ちもある。


そしてついにその日が来てしまった。

最寄駅へと向かう階段を登り終わったところで

私にそっくりな人物を見つけた。


声をかけるとそいつは何故だか逃げようとする。

なぜだ。急いで追いかけて捕まえたが

その手を振り解こうとするので揉み合いになり

階段から2人で転げ落ちてしまった。


身体中が痛いがドッペルゲンガーは

まだ逃げようとしている。

急いで追いかけないと。

近くに転がっていた私のカバンを

左手で拾い上げ、追いかけ始めた。

物書きになりたいという夢を叶えます