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【映画感想】誰にでも得られるものが幸せ【怪物】

※ネタバレを含みます。鑑賞後にご覧ください。


ただの仲良しな友達同士のケンカ?
のように見せかけられたいじめ?
を隠蔽しようとしてる最低な教師?
に担任をでっち上げようとしてる
モンスターペアレント?

ある1つの言動や事象、人や物に対する視点は、人の数だけあるけど、じゃあその視点は本当に100%自分の中から生まれた純粋なもの?他人のちょっとした一言や、目に見えている表面上のことだけを見て「推測」してそう思っているだけでは?

直接見て/聞いていないことを
直接見た/聞いたように思ったり。
言ってないことを言ったようにしたりされたり。
言ったことを言ってないようにしたりされたり。

自分が他者に持ってる印象って自分が直接感じたもの?第三者から得たものじゃない?

そうした何気ない他者からの一言によって、無意識のうちの自分の中の価値観や常識も形成されて、他人も自分も傷つけているかもしれない。傷つけられた言葉を使って、相手を傷つけたり。


教育関係の仕事に就いていると、子ども達は大人になる過程のどの段階で思想とか価値観とか善悪とか、言葉遣いとかが形成されるんだろうって考える時があります。

テレビとか友達とか親の言葉を、意味も分からず語感だけで真似したりする子が多いけど、そういうただの「文字列」が、その「言葉」が持つ力とか影響とか聴き心地の悪さを感じさせないまま、ちょっとずつ蓄積されて刷り込まれた後、食品添加物みたいに無意識に自分を蝕んで、「意味」が分かるようになった時、それらを他者に向けてしまって、他者を傷つけたり、新しい侵食の始まりになってしまうのかもしれない。

「男らしさ」「男だから。」
「そんなんだと女の子にモテないぞ。」
「ドッキリ」「オネエ」...etc。


エンドロール直前のラストカットは、胸を打たれたような衝撃でした。比喩じゃなく実際に感じました。

生まれ変わりなんてないそのまま。宇宙は風船みたいに膨らんだ爆発した後巻き戻る。フェンスの先に続いていた線路。台風の後そのフェンスは壊れ、線路が続いていく。2人は生まれ変わったんじゃない。そのままの2人で。前までの2人に巻き戻って新しく広がった線路をあの電車で先に進む。

誰かだけが得られるものは幸せじゃない。
誰にでも得られるものが幸せ。

物書きになりたいという夢を叶えます