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連れて行ってもらう女、自力で行く女

今年の夏、ヨーロッパのある都市で、ある人と会う約束をした。
世の状況にもよるけど、おそらく実際に会うことになると思う。

私は駐在中の古い客にチケットもホテルも手配してもらって現地入りするわけだが、彼女はEU圏内でビザも職も得ているので自力でやってくる。

そう。
タイトルの「連れて行ってもらう女」とは私のことで、「自力で行く女」とは彼女のことだ。

***


彼女とはとても長い仲になる。
別にそれほど気が合うわけでもないのだが、謎に長く続いている。多分これからも続くのだろう。

彼女は金のために男と付き合うのが大嫌い。
かたや私は金のために男(お客たち)と付き合ってばかりだった。

そんなわけで、私たちは数え切れないほど衝突したし、彼女は長いこと私を軽蔑していたと思う。
「あんたのやってること意味わかんない」「気持ち悪い」と直球をぶつけてきたこともあったし、かと思うと私の客と3人で会ってちゃっかり高級フレンチをご馳走になることもあった(しかもプレゼント付き)。

とにかく思い出したくないほど不愉快なことも色々あったのだが、私たちはまだ繋がっている。

現代日本の風潮は「自分を不快にする人とは付き合うな」だが、私は誰かに傷つけられるよりも「自分だけが正しいと信じて疑わない、視野の狭い人」になることの方が怖い。自分を律するために、価値観の違う人、自分を叱ってくれる人をそばに置いておくのを好む。彼女も私にとってはピリリと辛い唐辛子みたいな存在だ。人生にスパイスと示唆をくれる。客観的な視点をくれる。

私たちは互いに歳をとって丸くなり、今ではそれぞれの考え方や生き方を尊重しあえている… かどうかは大いに疑問だが、彼女からは「ま、別にいいんじゃない?」と思ってもらえているようだ。

私の方はというと、彼女のことを正しいと思うし、尊敬している。友人として誇りに思っていると言ってもいいくらいだ。

男にエスコートしてもらうことでしかアッパーな世界を見れない私に対して、
彼女は自力で海外に職を得、十分な給料をもらい、自分のお金で堂々と人生を謳歌している。
誰にも媚びへつらう必要はないし、不快な相手に時間を搾取されることもない。女を売りにする必要もない。彼女はビジネスマンとしてのスキルだけを武器に世界で戦えるのだ。

かっこいいじゃないか。

彼女の生き方を割と近くで見てきて、【男に頼らず自力で生きる女性】の成功例だと思っている。

今回は、彼女の話をしたい。彼女と私の、凸凹の話を。

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