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【サピエンス全史】人類進化の真実と3つの革命!〜農業革命編〜

こんばんは。
りんです。

前回は『サピエンス全史』について私の衝撃ポイントと、著者のユヴァル・ノア・ハラリ氏が提唱する人類発展の3つの革命の内、認知革命について紹介してきました。

認知革命によって集団・組織としてホモ・サピエンスが生存に打ち勝ったこそが証明されましたが、次の「農業革命」は彼らにとてつもないものをもたらしました。
私にとってはの業革命こそ、ハラリ氏の考察が最も色濃く現れた部分だと思っています。

ということ今回は農業革命ついて紹介していきます。

狩猟採集民族は豊かだった

農業革命によってもたらされたものは、「小麦」です。
歴史の授業でも教わった方がほとんどだと思いますが、私たちの認識では農業革命はホモ・サピエンスを豊かな生活にしたはずです。

ところが、ハラリ氏は全く別の見解を示します。
農業革命以前の所謂、狩猟採集民族たちは豊かだったのです。

なぜならバランスの良い食事を今よりも多種類食べられたからです。
また、常に獲物を追いかけたり、気づかれないように近づいたりする為、彼等の運動神経や身のこなしも非常に優れており、健康的でした。

彼等は動植物の生態、季節、気候、治療技術、道具作り等の幅広く豊富な知識を生活の中で身につけていました。
現代とは生活環境のレベルが全く異なる為、彼等が生き抜く上で気候や動植物に対して無知なはずありませんね。

そんな前提の上で、本書では農業革命は「人類史上最大の詐欺」と称されています。
なぜなら、農業によって食糧の総量は増えても、より良い生活や長い余暇には繋がらなかったからです。

寧ろ、農業革命によって人口の爆発と飽食のエリート層が生じました。
それは、人数が増えたことで食糧をどう分け合うかで揉めて、結局合意が得られなかったからです。

人類史上最大の詐欺の犯人は「小麦」

ハラリ氏は農業革命の詐欺の犯人は「小麦」だと述べています。
それは農業革命で最大の恩恵を享受したのが、ホモ・サピエンスではなく小麦だったからです。

もうこの時点でとてもインパクトがありますよね笑

小麦は、1万年前はただの草でしかなかったのですが、数千年間の内に急激に繁栄して、植物界の中でも指折りの成功を収めました。
穿った見方をすれば、ホモ・サピエンスが小麦を栽培したのではなく、小麦が彼等を家畜化して繁栄の手助けをさせたのです。

彼等は小麦を栽培する為に以下の3つのリスクを負いました。

①農業の時間に支配される
②食糧が安定しない生活
③定住を強いられ、外敵の襲撃からも逃げられない

①農業の時間に支配される

小麦の栽培は非常に手がかかるので、人々は朝から晩まで働いて栽培に尽力します。
それは狩猟採集の時間を奪い、小麦に拘束された生活スタイルに変えざるを得なかったのです。

狩猟採集民たちは、獲物や木の実が手に入りさえすれば、少量採集は1日の内数時間で活動を終えることができます。
そんな彼等にとって、長時間労働を強いる農業に適応するのは大変なことです。

彼等は小麦を世話する為に、小麦を好んで食す害虫に一日中目を光らせ、大量の水分を欲する小麦の為に川や湖から水を運び、石や岩を畑から取り除き、小麦以外の雑草を炎天下の中草むしる。
本書の中で、古代の人類の骨を調べると椎間板ヘルニアや関節炎が発症していたことが紹介されています。

狩猟採集民だった彼等が慣れない姿勢を長時間、長期間行えばそうなってもおかしくはありません。
古代の人にどこまでに医学的知識があったかは分かりませんが、具体的な解決策や治療法が確立されていなかった以上、満足な治療もできないまま農業の継続を余儀なくされたのかもしれません。

もしそうなら、身体的に相当辛かったでしょう。

②食糧確保と栄養バランスが安定しない生活

狩猟採集民は多種類の穀物を食して、気候的に困難な年も乗り越えました。
なぜなら、獲物や穀物がある場所に移動さえすれば狩猟採集を継続できたからです。

しかし、小麦やジャガイモなど、単一の主食に依存した農耕民は気候や害虫等の影響によって食糧難に遭っていました。
また、狩猟採集の時代であればたくさんの穀物にありつけた為、豊富なビタミンやミネラルを取り入れることができました。

ところが、ただでさえ食糧難に見舞われる中、栄養が偏ることで当時は数千〜数百万単位で命を落としたそうです。

余談ですが、現代の日本人は縄文時代のDNAを引き継いでいる為、米や小麦は本来体に合わないとされる説があるそうです。(※)
真偽の程は定かではありませんが、単一の主食に限定するよりは多種類の穀物を食べた方が栄養バランス的に良いのは確かですね。

※参考:医者が教える食事術 最強の教科書: 20万人

③定住を強いられ、外敵の襲撃からも逃げられない

小麦を栽培する以上、定住を余儀なくされた農耕民ですが、安定した生活とは程遠かったそうです。
なぜなら、小麦を栽培する為の広大な土地が必要で、近隣の住民から土地を奪わざるを得なかったからです。

狩猟採集民であれば、他の住民から襲撃を受けても最悪移動すれば、別の土地で狩猟採集を行って生き長らえることができました。
しかし、農耕民が土地を失うと、保存した穀物を失い、飢え死にするしかありませんでした。

以上の3つのリスクを負って、全くメリットがない農業革命ですが、数千年の月日が流れて、もはやホモ・サピエンスは狩猟採集の生活へは引き返せなかったのです。

農業革命がもたらしたものは「DNAの複製」

ここまで農業革命の特徴について記載してきましたが、良いところが全くないにも関わらず、なぜ人類の発展に貢献したと言えるのでしょうか?
それはミクロ経済としての話だったからです。

個々人の生活ベースで見たときに、農業革命は何も恩恵をもたらしていません。
しかし、マクロ経済ではどうだったのか?

農業革命が、というよりは小麦がホモ・サピエンスにもたらしたものは「DNAの複製」です。
農業革命によって、ホモ・サピエンスは指数関数的に人口を増やしていきました。

企業の経済的成功は、従業員の幸福度よりも銀行の預金残高に左右されるように、種の進化の成功は、DNAの複製によって決まったのです。
預金残高が底を尽きると倒産するように、種の絶滅もDNAの数で決まります。

この観点から、人口の増加が最大の恩恵だったのです

農業革命の話を知った時に最初に感じたのは、環境に適応するのは容易ではないということです。
そして、それでも種全体の利を取るならば、苦労してでも農業に移行して良かったのだと思います。

これは収入に置き換えると分かりやすいです。
収入はフロー収入とストック収入に分かれます。

フロー収入は狩猟採集型で、その日暮らし、働いた分だけお金が発生する会社員やフリーランスの収入の取り方です。
一方でストック収入は濃厚型と呼ばれ、最初は全く利益がありませんが、長期的に広い視野で見れば、自分がいなくてもお金が発生する仕組みを作ることができる、ビジネスオーナーや投資家の収入の取り方です。

時間的、経済的に豊かになりたい人や、組織を拡張したいリーダーは、農業革命のようなリスクと苦労を背負ってでも、その先を見て立ち上げの努力するしかないのだと改めて気付かされました。

いかがでしょう?
視点を変えると農業革命の勝者は小麦だったとも言えますが、長期的に見ると人類の繁栄に間違いなく貢献したこともまた事実です。

仕事やビジネスに置き換えて考えると、教訓となることだらけですね。

今日はここまで。
ありがとうございました。

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