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福岡で食べた「ごぼ天うどん」(旅行記・食エッセイ)

2023年1月
私たち夫婦は、サイコロ切符という新幹線の博多行き切符が当選し、関西から1人往復5,000円という破格の価格で福岡に行くこととなった。

母の実家が福岡だったため、小さい頃よく行っていた。
そんな私は大人になり、もう何年も福岡へは行っていない。

今回の博多旅は1泊2日だ。新幹線と言えども、関西を早くに出ても、到着はお昼近くになる。事前に、私が行きたいところを決め、夫が食べたい物を決めるグルメ担当だった。

無事に博多駅まで到着した私たちは、なにやら、博多駅の近くに「大地のうどん」という有名なごぼ天うどんのお店があるらしい。ということで行くことにした。

開店したばかりのお店に着くと、既に階段の上まで列が出来ていた。「こりゃ~すげ~。」田舎から出てきたもので、博多が都会だと思わされる。

長い列かと思いきや、思いのほか早く店内に入ることが出来た。
店内は、うどんを茹でる釜の熱気と沢山の人で溢れていた。
食券機で、ごぼ天うどんを買い、席に着いた。

店員さんが、目の前に、とんでもない大きさの「ごぼ天」を乗せたうどんを持ってきてくれた。
ごぼ天が、うどん椀の縁に円を描いて置かれている。
うどんのお店と言うことで、うどんがメインと思いきや、これは絶対にごぼ天がメインだと思った。それほど想像を絶する「ごぼ天」の大きさに圧倒された。

それでは、早速いただきますと、ひとくちパクリ。
その瞬間、私の中に衝撃が走った。それは、ただただ美味しいでは片付けられない味だった。

絶対に昔食べたことがある、懐かしい味だ。

しかし、大地のうどんに来たのは初めてなのだ。それなのに、何度食べても懐かしいと感じた。


そう、それは、亡き母の味だった。


小さい頃、母はよく、家で天ぷらを作ってくれた。私は芋天が大好きで、芋天ばかりつまみ食いしていたのだ。もしかしたら、母はごぼ天を作ってくれていたのかもしれない。

私の住む地域では、スーパーに「ごぼ天」は売られていない。
「味付けごぼう」というような、甘辛く味付けしたごぼうの揚げた物なら売られているが、これとは全く違う味だ。

調べたところ、福岡では「ごぼ天うどん」は普通なのだそう。
ごぼ天うどんは、なんと福岡のソウルフードだったのだ。

きっと、福岡育ちの母だから作ってくれていたのだろう。

母を看取った私は主婦になり、料理をするようになった。しかし、なかなか母の味を再現できないでいる。母が亡くなって12年経つが、母の味をどうしても思い出せない。こんなことなら、ちゃんと料理を教えてもらえば良かった。と思う日々だった。

そんな中、サイコロ切符で当選確率の少ない、博多が当たり、夫が「大地のうどん」を選び、私は何かに導かれるように、ごぼ天うどんを食べたのだ。

ようやく、母の味を口にすることが出来た。

私は、亡き母の存在を感じずにはいられなかった。

圧倒的な大きさの「ごぼ天!」

この後、この旅では、不思議な体験をすることとなる。

「なんだか、母に導かれた。」そんな気がする旅であった。



あとがき

ずっと書きたかった、旅行記が、ようやく書けました~!

旅好きなので、旅行に行ってはメモを取っていたのですが、なかなかnoteに投稿できないでいました。
今は、去年の手帳を見ながら、当時の記録や、記憶を思い出しながら書いています。いや~懐かしかった!
なかなか、同時進行は難しいもので、いつかはいつかはと思いながら、ようやく出来ました!
また、旅行記を掘り起こして、ぽつぽつ書いていくと思います。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!

しじみ


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