一口に東京と言っても、浅草の浅草寺やその周辺と、渋谷の繁華街、用賀の高級住宅街、ましてや西の奥多摩の方とでは雰囲気は全く異なっている。しかし、こと一般的な住宅…
第67回群像新人文学賞に応募した作品です(結果は一次落ちでした)。 面白いのでぜひご覧ください😆 なお、縦書きでもご覧いただけるように縦書きverのpdfを用意いたしまし…
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小学生くらいの男の子が、母親、というには若いので恐らく歳が離れた姉だと思うのだが、その姉と2人で河川敷を歩いている、そして周囲から孤立して灌木の中をただ一本生…
こんな古ぼけた、陰惨な感じさえする小さな通りに「素敵」で「可愛らしい」と評判の花屋が本当に存在するとも思えなかったが、妻がベリーダンス教室のロゴ入りのペンでメ…
四十歳になった日に書いた遺書を一年が経ってから読み直すと、その字の美しさには我ながら惚れ惚れとさせられる。私は書道は習ったことはなかった。生まれ育った街に、書…
yowl.
2024年8月21日 23:06
一口に東京と言っても、浅草の浅草寺やその周辺と、渋谷の繁華街、用賀の高級住宅街、ましてや西の奥多摩の方とでは雰囲気は全く異なっている。しかし、こと一般的な住宅街、特に一人暮らしの男が暮らすようなアパートがところどころにあるような23区内の住宅街に限定するのであれば、大体どこでも同じような風景であると言っても許されるだろう。そこに暮らしている者は、例えば少し離れたスーパーから総菜コーナーで選んだか
2024年5月27日 21:41
第67回群像新人文学賞に応募した作品です(結果は一次落ちでした)。面白いのでぜひご覧ください😆なお、縦書きでもご覧いただけるように縦書きverのpdfを用意いたしました。よろしければご活用ください。こちらはPart 4(最終回)となります。・Part 1はこちら・Part 2はこちら・Part 3はこちらそれでは以下より本文になります。 御岳山岳救援隊のメンバー、リキ、
2024年5月27日 21:24
第67回群像新人文学賞に応募した作品です(結果は一次落ちでした)。面白いのでぜひご覧ください🙂↕️なお、縦書きでもご覧いただけるように縦書きverのpdfを用意いたしました。よろしければご活用ください。こちらはPart 3となります。・Part 1はこちら・Part 2はこちらそれでは以下よりPart 3本文になります。 爪が割れ、剥がれ落ちるのにも気づかぬままに、男は
2024年5月27日 21:07
第67回群像新人文学賞に応募した作品です(結果は一次落ちでした)。面白いのでぜひご覧ください😉なお、縦書きでもご覧いただけるように縦書きverのpdfを用意いたしました。よろしければご活用ください。こちらはPart2となります。・Part1はこちらそれでは以下よりPart2本文になります。 小坂雄二は私だ。証拠の一つ目は、"身体的特徴"である。少年サッカークラブで地面とぶつ
2024年5月27日 20:56
第67回群像新人文学賞に応募した作品です(結果は一次落ちでした)。面白いのでぜひご覧ください😌なお、縦書きでもご覧いただけるように縦書きverのpdfを用意いたしました。よろしければご活用ください。それでは以下より本文になります。 茶色に枯れていく植物を見て、植物が死ぬ瞬間というのは一体どの瞬間のことなのだろう、と誰かが呟いても答えを得る前に季節は移り、草花が新たな生命の喜びを発
2024年5月23日 00:15
小学生くらいの男の子が、母親、というには若いので恐らく歳が離れた姉だと思うのだが、その姉と2人で河川敷を歩いている、そして周囲から孤立して灌木の中をただ一本生えているシダレヤナギの根元の地面を掘り、何かを穴に入れ、また土を被せて埋めていった。埋めるのに使っていたスコップの青い塗装は剥げていた。2人は黙ったまま、両手を合わせて祈るようなポーズをとると、その場を離れてやってきた道を正確に逆戻りし、や
2024年4月23日 19:37
こんな古ぼけた、陰惨な感じさえする小さな通りに「素敵」で「可愛らしい」と評判の花屋が本当に存在するとも思えなかったが、妻がベリーダンス教室のロゴ入りのペンでメモ用紙に描いた粗雑な地図を頼りに通りを歩くと、まだ昼間だから人の気配のしない紫の看板のスナックやら居酒屋やらに挟まれてちょこんとした店構えの花屋が実際に現れたものだから、妻のことをからかい半分に信じなかった自分を恥じる以上に、この花屋では常
2024年3月6日 19:02
四十歳になった日に書いた遺書を一年が経ってから読み直すと、その字の美しさには我ながら惚れ惚れとさせられる。私は書道は習ったことはなかった。生まれ育った街に、書道教室がなかったためである。一方でその街にはピアノ教室が三軒あった。どのピアノ教室も内装やインテリア、建築的な構造が非常に似通っており、中に入るとほとんど区別できなかった──見学に行き、玄関を開けるとすぐに、壁に取りつけられた鹿の頭部が目に