マガジンのカバー画像

【虹の彼方に】

15
2020年9月25日 最愛の妻が空へ旅立ちました。 出逢って4年弱、入籍して1年と3ヶ月、結婚式を挙げて10ヶ月目のことでした。 一緒に過ごせた時間はとても短いものだったけ…
運営しているクリエイター

#闘病

#13. 九月 【虹の彼方に】

#13. 九月 【虹の彼方に】

9月1日 「抗がん剤治療」の2クール目に突入した。

1クール目の抗がん剤が効いていたのか、3〜4倍のスピードで成長していた腫瘍の成長をどうにか食い止めることができていたように思う。

腫瘍自体の大きさは現状維持か、ほんの気持ちだけ小さくなっていたようにも見えた。

2クール目の抗がん剤は1クール目よりも内容がより強力になったため、副作用が強く、身の置き所がないようなしんどさが続いた。

あまりに

もっとみる
#11. 入院 【虹の彼方に】

#11. 入院 【虹の彼方に】

 ついに妻が倒れてしまった。

肝臓に転移した4.5cmの腫瘍が、最愛の妻の生命を直ちに脅かしていた。

すぐにでも抗がん剤治療をしなければいけない状態だったのだが、横行結腸にある10cmの腫瘍が腸壁をほとんど塞いでしまい、食事ができないので栄養も摂れず、妻の体力は日に日に衰えていった。

この時点でボク達夫婦には、選択肢がほとんど残されていなかった。

とにかく食事を摂って体力を回復するようにし

もっとみる
#10. 発覚 【虹の彼方に】

#10. 発覚 【虹の彼方に】

 彼女の体調が日に日に悪くなっていった。

タイミングが悪く、首にできた帯状疱疹の激痛によって、お腹の痛みはかき消されていた。

しかし夜になると高熱が出たり、妊婦さんのようにお腹が張ったりして、あきらかに異常だった。

それでも仕事を休まず、持ち前の根性でマッサージの仕事を続ける彼女が、ボクは心配でならなかった。

やがて1人のマッサージのお客さんの施術に対し、施術後は2〜3時間ぶっ倒れた状態で

もっとみる