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【福岡未踏】 課題解決型プログラムSolveのテーマについて(統括PMの目線でコメント)
福岡県の未踏的な人材を発掘・育成している #福岡未踏 ですが、2年目となる2024年はSolve(ソルブ)というプログラムに力を入れています。統括PMの目線で、Solveテーマを1つずつ紹介していきたいと思います。
Solve(ソルブ)って何?
企業や自治体がまさに取り組みたい課題を提示してもらい、それに対する解決案の提案と開発を行うプログラムです。5ヶ月間50万円の長期インターンに近いですが、どんな方法で解決するか、どんなシステム・アプリを作るかはクリエータ次第です。そして、他の採択メンバーと合宿にいったり発表したり、切磋琢磨しながら、プログラミングスキルや発表スキルなどを鍛えていきます。
詳しくは、以前のノートに書いてありますので、ぜひ読んでみてください。
Solveテーマについて紹介
7/13の説明会時点で、11つのテーマが掲載されています。すでにチェックしている人もいると思いますが、説明会に参加できなかった人もいると思うので、統括PM目線で、サマリーをまとめたいと思います。以下は、HP掲載順で書いていきます。リンク先には、説明会の動画も貼ってあるので、メンターによる詳細な内容はジャンプして確認してください。
女性の食事や運動習慣の改善を図るための仕組み 【福岡市福祉局】
福岡市・福祉局からは、昨年に引き続き2年目もSolveテーマを提供いただきました。今年のテーマは、女性の健康課題を解決する仕組み!女性は寿命が長いのですが、現在の10-30代は痩せている人が多い状況で、将来的にロコモと呼ばれる状態になり、寝たきり状態になる人が増える可能性があるそうです。そこで、10-30代の女性に対して適切な食事や運動を推薦し、健康のための正しい知識を提供可能な仕組みを考えてほしいとのことです。
加えて、昨年から引き続き、高齢者の健康についてもアイデアを募集したいとのこと。昨年は、高校生チームが早歩きアプリを開発してくれました。今回は、高齢者が運動や社会参加、栄養摂取などの記録を管理できて、モチベーションの維持と習慣化に繋がるもの。何だか、次に紹介する帝人の日記アプリに近いものがありますね!
日記の自動生成システム 【帝人株式会社】
大手総合化学メーカーの帝人では、ヘルスケア事業の一環で、PHR(Personal Health Record)に関するSolveテーマを提供いただきました。PHRとは、医療データを個人が管理し、活用していくという医療業界の大きな潮流で、今後、病院内の情報だけではなく、日常生活の記録も含まれていくと言われていることから、帝人もすでにライフログアプリを提供中とのこと。しかし、数値とグラフだけだとちょっと味気ない(笑)。そこで、長期的に愛着を持ってライフログアプリを使ってもらう仕組みとして、そうした記録データから、日記(文章)を生成するシステムを開発して欲しいとのこと。iPhoneでも昨年くらいからジャーナルというアプリが配布されていて簡単に日記がかけるようになってますが、私は全然継続できませんので、それを超えるような仕掛けもセットで考えて欲しいですね。
あと、具体的になんというライフログアプリで、どんなデータが活用できるのか、追加情報が欲しいところですね!
CO2削減を目的とした公共交通利用促進の為のアプリ/Webアプリ 【株式会社ヴァル研究所】
ヴァル研究所と言えば、駅すぱあと、そう、あの乗換案内アプリ(日本で最初に発売された経路検索ソフト)で有名な会社です。私がメインで使っているYahoo!乗換案内やサブで使っているJR東日本の乗換アプリもエンジンはヴァル研究所製とのこと。ほぼ毎日お世話になってますね。
今回いただいたSolveテーマは、CO2削減を目的とした公共交通利用促進のためのアプリ!です。公共交通を使えばCO2を削減できることがわかっていても、課題が連鎖していて、結局、車が便利になってしまう状況だそうです。その上、移動によって排出されるCO2は、全体のCO2から見ると割合が小さく、企業としても取り組む利点が少ないそうです。なるほど。さらに、CO2の効率を追求すると、バスをギューギュー詰めにして台数を減らしたほうがいいという事になってしまい、社会受容性が低くなってしまう。本当に難しいですね。
キーワードは、「個人の意識を高められること」。個人のモチベーションをあげる仕組みと、それを持続する仕組みを含んだサービスデザイン。固定観念にとらわれず、若者ならではの視点で考えるのが良いと思いました!
誰もがデータを活用して栽培を改善できるサービス 【株式会社セラク】
さまざまなITソリューションを展開するセラクの事業の1つとして、みどりクラウドと言われる農業向けサービスがあります。圃場にセンサを設置し、手軽に、遠隔から見守ることができるというものですが、今回のSolveは、そうしたセンサから吸い上げられるデータを活用し、可視化の域を超えた農業支援を行うというものです!農業のデータは多い、農業従事者は時間がない、農地の環境は常に変わる、といった課題に対処可能なサービスをぜひ考えて欲しいとのことです。
ちなみに、セラクの持田さんは、業務の一環で、天ぷらのアプリ「天ぷら侍」というゲームアプリを作ったら、App Store 1位になったいうエピソードを紹介されていて、自由な会社だなと思いました(笑)若手クリエータの皆様も、自由な発想で、農業を楽しく、面白くするサービスを考えられるといいですね!
来客受付の自動対応システム、他3課題 【株式会社Fusic】
昨年3月に、上場を果たした九大発ベンチャー、株式会社Fusicからは、4テーマも提示いただきました。
1つ目は、自社の来客対応システム。受付にタブレットを置くだけで洗練された来客対応を実現して欲しい!とのこと。
2つ目は、地域情報の収集アプリ。ユーザ参加型センシングってやつですね。自治体職員だけでは集めきれない情報を地域住民で集める。FixMyStreetやちばレポなど有名なものがありますが、そこにどういう課題を見出すか。
3つ目は、IoTデバイスのキッティングシステム。これは製品出荷をしている企業ならではの課題ですね。確かに同じハードウェアを出荷先毎に設定を変えてキッティングする作業は大変。SIMを指したら自動で設定まで終わるようなことってできるのかな〜。
4つ目は、衛星データの分析。生成AIを使って、自然言語で地球を検索できるようにして欲しい!Google Mapsなどの一般的な地図ではなく、衛星データならではの検索(何を探したくなるか)を掘っていくとアイデアが出そう。
観光情報推薦AI ー 短いやりとりでいい感じに観光に役立つ情報を提供してくれるチャットシステム 【株式会社SVI研究所】
株式会社SVI研究所は、社会インフラ整備を行う福山コンサルタントのグループ企業で、新規事業の創出をミッションとしています。今回は、観光ルートや訪問スポットを対話型で推薦するAIの開発をして欲しいとのこと。有名スポットや有名な観光ルートは、地図アプリやネットで探せますが、みんなが同じようなところに集まり混雑を生む結果に。そうした課題に対し、AIを用いて、ユーザと対話し、いい感じのお立ち寄りスポットを推薦して欲しいそうです。
今回は、観光スポットのデータとして、京都府の観光オープンデータを使うそうですが、データを入れ替えてもそのまま動く仕組みが嬉しいですね。また、アプリとしても、LINEアプリでもOkとのこと。観光は、日本の重要産業の1つですし、全国で使えるシステムが作れると良いですね!
次世代のスタートアップ支援施設におけるコワーキングスペースやイベントスペースの価値向上に資するシステムの提案とその実装 【さくらインターネット株式会社】
今回イベントを開催させてもらったFukuoka Growth Next(FGN)の運営者であるさくらインターネット株式会社からは、まさに、このFGNの課題を解決して欲しいというテーマです。私から見ると、円滑に運営されているようで、裏では細々とした調整があり、多数のシステムを使いながら運営されているそうです。コワーキングスペースの管理システム、イベントの管理システム、それらに連動した情報掲示システムや入退室管理システムなど。最近だと個室ブースの予約。確かに考えてみると、1つのコワーキングスペースを運営するとしてもかなり複雑ですね。
新しいシステムで、これらの課題を解決するのも良しですが、今は実現できていない超スマートなコワーキング体験を考えたりも歓迎とのことで、さまざまな期待が込められられた課題と言えます。おそらく、全国、どこのコワーキングスペースも同じような課題を抱えているので、良い成果物は、横展開も期待できそう!
なお、さくらのクラウド、さくらのVPS、さくらのレンタルサーバ等は提供可能とのこと!さすが!
賛否両論AI ~時事に対して多様な意見・視座を与えるAIエージェント~ 【IoTII】
伊都キャンパスから新たなサービスを創出することを目的にさまざまな支援を行っているIoTII(IoT Innovation from Ito)からのSolveテーマです。最近、東京都知事選が話題でしたが、SNSを眺めていると、特定の候補者の情報がよく表示されたり、逆にまったく見えてこない候補者がいたりしますよね。見えてないのと、存在していないのは、区別できないため、もしかしたら存在しない(SNSに投稿していない)のかもしれませんが、少なくとも多数の有権者たちの誰かしらは候補について呟いていそうですよね。
この現象は、フィルターバブルと呼ばれていて、AIが高度に進化し、ユーザが好む情報ばかりを提示するようになったために起こる現象です。これにより、フェイクニュースに騙される事件が増えていたり、選挙への影響が出ていいたりします。その問題に対して、ネット上の人間の意見を見ることを辞め、さまざまな嗜好・思考・思想・哲学でトレーニングされたAIたちの賛否両論を眺めるという世界を作りたいと思っています。
まず、賛否両論が分かれそうなニュースをどう選出するか?次に、どんな思想を持つAIエージェント、どのように作るか。場合によっては、過去に多数の投稿をしている実在の人物をモデルとして学習する事も考えられるし、架空のエージェントを創造してもOK。最後に、それらのAIエージェントたちが議論する場をどのように構築するか。新しいニュースサイトとなるような世界のデザインをお待ちしてます!
AI上司の山田さん ~職場の未来を変えるパートナー~ 【株式会社オプト】
昨年、Solveテーマとして2チームをメンタリングしていただいた、デジタルマーケティングの株式会社オプトから、今年もSolveテーマを提供いただきました。余談ですが、メンターの岩本さんは、私の助教時代の教え子です。
今回は、企業の中で重要になっているマネージャーという職種を支援するAIエージェとを作ってほしいとのこと。その名も、AI上司の山田さん。マネージャーという職種は、仕事の幅が広く、必ずしも専門でないことも調べて勉強して対応していかないと行けないそうです。そんなときに、壁打ち相手になってくれる上司が欲しい!そうです。単に正解を返すだけではなく、ユーザがマネージャーとして成長していくような対話を実現して欲しいという部分がアイデアの出しどころですね空!
キモチつながるSNS【Olive株式会社】
Olive株式会社は、映像脈波解析技術(カメラ映像から脈拍計測)を武器に、教育現場からエンタメまで、さまざまな領域で感情解析を行っている会社です。今回のテーマは、SNSの投稿時にテキストや写真だけではなく、画像やビデオから感情を解析して、そのタグも投稿しちゃおうというものです。メンターのBillyは、イギリス人で、私の教え子・博士1号です。英語とフランス語、日本語なんでもOkなマルチリンガルです。
新しいSNSを開発するのはなかなか難易度が高いかもしれませんが、プラットフォーマーは、BeRealのように後発でも世界中でバズる未来がないとは言えない世界なので、チャレンジは楽しそうです。今回は、映像から感情を認識するという点でも、写真加工ができないBeRealは参考になる気がします。他にも、位置情報を共有するZenlyとかも若者ならではですし、感情を共有するといった新しい世界を作れるともしかしたらがあるかもしれません。Z世代が欲しくなるようなSNSをぜひ考えてみてください!
フィッシングサイト通知アプリケーションの実 【株式会社ラック】
日本国内で最初のサイバーセキュリティサービスを始めた株式会社ラックからのSolveテーマは、フィッシングサイトを通知してくれるアプリケーションです。
フィッシングサイトは多すぎてすべてを補足しきれていない状況とのこと。定期的に判定してもいつも事後対応になってしまう。そんな状況を打破する方法として、そのサイトに対して、ユーザ自身がフィッシングサイトを通報できる仕組みを作って欲しいとのこと。単に通報するだけではなく、通報に協力してくれた人には何らかのインセンティブを与え、どんどんデータが集まるようにして、検出数と精度を高めていく仕組みを構築できるといいですね!
個人的には、アプリで作るよりも、Chrome Extensionで作って、ブラウザからポチッとできるのが良いかなという気がしました。Extensionをいれる人が増えれば増えるほど、データが集まるし、ユーザに対して警告を出すこともできますしね。
Solveへの応募について
説明会の動画を振り返りながら上記を書き出してみましたが、いずれも面白いテーマが並んでますね〜。各テーマについて質問があるかもしれませんが、その場合は以下のフォームから問い合わせをお願いします。
エントリー:https://link.arakawa-lab.com/fm2024-solve
エントリーしたチームに、応募フォームのURLをお送りします。
応募締切:8/4 23:59
質問フォーム:https://forms.gle/JWj1HZQ6aSEr4pW37
Q&A
Q. 昨年度採択者による再応募は可能ですか?
A. 可能
Q. 複数テーマへの応募は可能ですか?
A. 可能、ただし、以下に注意してください。
最終的に、1人が参加できるプロジェクトは1つに限ります。
チームとして複数に応募している場合:
すべての提案書に、同時に申し込んでいるテーマとその優先順位を記載してください。
1人が複数チームに所属する場合:
各チームにおける役割と、同時にメンバーとなっているテーマとその優先順位を記載してください。
優先順位が2位以下のチームは、当該人物がメンバーから外れた場合の提案についても記載してください。
Q. 各テーマの審査方法は?
A. テーマによって異なります。昨年は、アイデアソンをやった結果、参加者全員で1チームとして開発をスタートした例もありました。
Q. 提案書には何を書けば良い?
A. テーマによって指定があるかもしれませんが、少なくとも以下のことを書いておくとよいでしょう!
クリエータに関する説明
これまでの経験やスキル
チームの場合はチームの強みなど
提示された課題に対するソリューション
システム構成図、使用する言語やライブラリ
入力と出力がわかるように
イメージ図があるとなお良い
提案ソリューションの優位性・こだわりポイント・チャレンジポイント
提案の時点では、できるか不安な部分があっても構いません。それが未踏なポイントかもしれないので。
しかし、同じような提案が他のチームから出てきた場合に、ぜひここを読んで、自分たちを採択して〜!という想いで書いておくと良いです。
スケジュール・マイルストーン
9月スタートで、5ヶ月間、何をどういう順序で作っていくのか?
1ヶ月毎のマイルストーン(ここまで作るという目標)
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