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そのまんまねこの記事

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そのまんまねこについて/そのまんまねこ

そのまんまねこについて/そのまんまねこ

こんにちは。「そのまんまねこ」と申します。Wordの自動添削機能をオンにしていると、なぜか「そ」とか「こ」の下に誤りの可能性を示す赤い波線が出てくることがありますが、これが正しい表記です。

ねこ、という猫を飼っていました。その一般名詞の響きの柔らかさに平仮名をブレンドして固有名詞にスライドしただけですが、彼女にぴったりの名前だと思っています。いわゆる茶トラで、短いカギ尻尾が特徴です。庭に来る鳥の

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『461個のおべんとう』/そのまんまねこ

『461個のおべんとう』/そのまんまねこ

弁当というのは、いざ毎日作ってみようとするとすごく根気の要るものだと分かる。好きなおかずばかり入れるとなんだか全体的に茶色で染まってくるし、栄養を意識して野菜を入れようと試みれば、出来合いの惣菜を買うよりもかえって高くなってしまうこともある。気温が高くなる夏場は食中毒にも気を付けなければいけない。前日の弁当箱を洗い忘れた朝は悲惨なもので、こびり付いた汚れを浮かすところから始めなければならない。等々

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予備校で見えない花火の音を聞く/そのまんまねこ

予備校で見えない花火の音を聞く/そのまんまねこ

覚えている限りで最後に親を泣かせたのは、大学受験で最後の1校まで合格が出なかったときの、居間での家族会議だった。やや閉鎖的な田舎で慢心していた僕の、最低で最悪な挫折だった。僕は寮付きの予備校に通うために、地元を遠く離れ、東京都の立川市まで父の車で自転車とともに輸送された。

予備校と寮を往復する生活は、1年間で結果を出さなければいけないというプレッシャーこそあれ、次の3月には否応なく終わるという点

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『シッダールタ』/そのまんまねこ

『シッダールタ』/そのまんまねこ

先に公開されたnoteにて「待読」という一個の読書のスタイルが紹介されていたが、僕のそれは彼のものとは少し異なるようだ。すなわち、本を買うなり借りるなりしたとき、あるいはその前段におけるまだ小さな衝動が消えないうちに最後まで読み切ってしまう、というのが僕のスタイルだ。ただ、本に限らず長い付き合いになる存在との「出会い」に関しては記憶に残りづらい性質のようで、解散の報に涙したバンドも、枕元に置いてあ

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