フィンガー シークレット «chapter 2»
旧友の白川と疎遠になったのち、律子は2人の女友達に恵まれた。
広い大学、多くの学生、そのなかで無事に類は友を呼んだのだった。自分が心地よく息のできる陣地を確保できた律子は、その後は特に大きな事件もなく卒業を迎える。
問題だったのは就職についてだ。
当時の女子大生の就職は、なかなか大変な時期だった。できたての男女雇用機会均等法に社会はまだ右往左往していて、4年制の大学を卒業する女子を企業側もどう雇えばいいのか迷っているように見えた。
短期大学の女子学生は、従来通りの事務職扱