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大蛇が棲む淵

ーオレとアチキの西方漫遊記(9)

仁淀川の支流、土居川ほとりの老舗宿。お腹が空けば、山海の採れたて食材を生かした料理。癒やしを求めれば、部屋の窓を開けて飛び込んでくる爽やかな風、せせらぎ、眼下を流れる川のブルー。実に居心地が良い。もう出かけずに宿でゴロゴロで良いんじゃないの。そんな思いもチラリと浮かぶ。ただ、今回の旅行は奥さんが主役。気を取り直し、奥さんご推奨の「にこ淵」(高知県いの町)、「水晶淵」(同仁淀川町)にクルマを走らせる。もちろん、川遊びに欠かせない水着とシュノーケリングセットは忘れない。

「オレとアチキの西方漫遊記」シリーズ:「オレとアチキの西方漫遊記(1)ー激走2500km」「オレとアチキの西方漫遊記(2)ー淡路SAと大観覧車」「オレとアチキの西方漫遊記(3)ー四万十川と仁淀川」「オレとアチキの西方漫遊記(4)ー旅行スタイルと下ネタ発言」「オレとアチキの西方漫遊記(5)ー見える風景と見えない力」「オレとアチキの西方漫遊記(6)ーさらば四万十、また会う日まで」「オレとアチキの西方漫遊記(7)ー老舗宿の女将と地場料理」「オレとアチキの西方漫遊記(8)ー推しの宿と癒しの景色

「仁淀ブルー」

「水質日本一」仁淀川は水が青く澄んであまりに美しく、「仁淀ブルー」の呼び名で広く知られつつある。仁淀川の支流にあるにこ淵、水晶淵はともに、それを実感できる景勝地と言える。こんな場所で川遊びできるものなら、それはもう癒やしを得るどころの騒ぎではない。何ものにも代えられない体験だ。否が応でも期待が膨らむ。

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まず、にこ淵に向かう。"グーグル先生"の事前情報によると、にこ淵は水神の化身とされる大蛇が棲む神聖な場所だ。それもあってか、地元の人たちはあまり近づかないらしい。泳ぐことなど、もってのほかという。ただ、実際のところ、遊泳禁止を明確にした規制はなく、若者や外国人観光客の中には、にこ淵で泳ぐ人がちょくちょくいるそうだ。

できるものなら泳ぎたい。そこで、85歳の宿の女将さんに情報の真偽を確かめる。すると、こんな答えが返ってきた:「確かに水神さまである大蛇がにこ淵に棲んでいるという話(言い伝え)は聞いたことあるねえ。よく分からないけど、泳いでもいんじゃないかねえ。 地元の人は、目の前に川があるのに、わざわざあそこ(にこ淵)まで行って泳がないよ」。

"臨戦態勢"

なるほど、その通りだ。女将さんの説明はストンと腑に落ちた。とはいえ、それをにこ淵で泳ぐ"免罪符"とするにはやや弱い。いつまでも迷っていても仕方がないと考え、実際に行って確かめることにした。奥さんもそれで良いという。一応、宿の部屋で水着を着てからズボンを履き、いつでも泳げるよう"臨戦態勢"を整えてクルマに乗り込む。アクセルを踏んだ。

そして、にこ淵への道中、"意味深な出迎え"を受けることになる。(続く)

(写真〈上から順に〉:水神の化身とされる大蛇が棲むというにこ淵=奥さん、透明度抜群のにこ淵の水=奥さん)


俳句TOP005

俳句で"オレアチ漫遊記"(参)

「仁淀ブルー」に飛び込み、はしゃぎたい。でも、地元の人たちが大切にしている神聖な場所を踏み荒らすような真似はしたくない。次の一句は、そんな迷いと葛藤を表現した。俳句修行中の"note仲間"であるやまきちさんに詠んでもらった。

戸惑いの句:

(題材:「オレとアチキの西方漫遊記(9)ー大蛇が棲む淵」)

今回の一句は急きょ、こちらから依頼して読んでもらった。「秋の川」が季語。俳句では、立秋から立冬までを秋という。やまきちさん曰く、満足いかないところもあったらしく、「修行中の身なので許してね」とのこと。この場を借りて、ありがとう。

(写真:りすとやまきちコラボ企画のイメージカット=りす)

題材リンク:

「オレとアチキの西方漫遊記」シリーズ:

「俳句で"オレアチ漫遊記"」シリーズ:

(※「オレとアチキの西方漫遊記(8)ー推しの宿と癒しの景色」に「俳句で"オレアチ漫遊記"」(弐)」を含む)

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