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中沢新一著『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』などを読む

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中沢新一氏の著作『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』『精霊の王』『アースダイバー神社編』などを読み解きます。
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2021年3月の記事一覧

鼓のリズムから生じる波紋としての意味分節構造 -中沢新一著『精霊の王』を精読する(5)

鼓のリズムから生じる波紋としての意味分節構造 -中沢新一著『精霊の王』を精読する(5)

中沢新一氏の著書『精霊の王』を精読する連続note。その第六章「後戸に立つ食人王」を読む。

(前回はこちらですが、前回を読んでいなくても大丈夫です)

後戸というのは聞き慣れない言葉かもしれない。また食人王、人を食べる王、などというのもどうにも不気味な感じのする言葉である。

こういう謎めいた、時に不気味な言葉で新たな意味分節を試みることが、既成の思考のプロセスを織り成している言葉たちの分節体系

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区別・分節作用それ自体の象徴としての"精霊"へ -中沢新一著『精霊の王』を精読する(4)

区別・分節作用それ自体の象徴としての"精霊"へ -中沢新一著『精霊の王』を精読する(4)

中沢新一氏の著書『精霊の王』を精読する連続note。その第四章「ユーラシア的精霊」と第五章「縁したたる金春禅竹」を読む。

(前回はこちらですが、前回を読んでいなくても大丈夫です)

精霊の王というのはその名の通り「精霊」の「王」である。

精霊には古今東西色々なものが居り、人類によってさまざまな名で呼ばれてきた。精霊は多種多様でさまざまな名を持っている。

しかし、そうした精霊たちの間には、違い

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精霊の王は人界と異界の媒介者である -中沢新一著『精霊の王』を精読する(3)

精霊の王は人界と異界の媒介者である -中沢新一著『精霊の王』を精読する(3)

中沢新一氏の著書『精霊の王』。その第二章「奇跡の書」、第三章「堂々たる胎児」を読んでみる。

第一章「謎の宿神」では、宿神が蹴鞠の精霊、「鞠精」として姿を現した。それが第二章「奇跡の書」では、今度は宿神が能楽の「翁」として姿を現す。

幽玄の世界に入り込むと同時に、それを言葉によって理論化した金春禅竹。その善竹の筆による『明宿集』には「「翁」が宿神であり、宿神とは天体の中心である北極星であり、宇宙

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