EMIRI/師岡絵美里

師岡絵美里 インド思想研究家・ヨーガ哲学講師・ダンサー・イラストレーター [EMIR…

EMIRI/師岡絵美里

師岡絵美里 インド思想研究家・ヨーガ哲学講師・ダンサー・イラストレーター [EMIRI-YOGA HEART MATRIX] https://www.heartmatrix555.com/

マガジン

最近の記事

梅の種に学ぶ

古い思想は賞味期限切れか ー梅の種に学ぶー (2024.6.23メルマガアーカイブ) ■返答していなかった問い 数年前ですが、とある談義番組の企画にゲストとして呼ばれたことがあり、初めてお会いするコメンテーターのみなさんから事前に「こんなテーマで話したい」というリクエストをメールでもらいました。その中から何をメインのテーマにするか決めようという事前打ち合わせ的なやりとりでした。 私はその企画にインド哲学の視点から言えることを添える、という立場で呼ばれていたので、テーマ

    • 斧トレのすすめ

      (2024.6.15メルマガアーカイブ) ブッダって詩人よね。 「人が生まれたときには実に口の中に斧が生じている。 人は悪口を語って、その斧によって自分を斬るのである。」 人を傷つける目的で悪口や嫌味を言ったり、怒りや恨みの感情のままに言葉を放つとそれが自分の心を汚すことになる、というのは納得ですが、それを語るために「口の中に斧が生じて生まれてくる」という表現を使うブッダ、詩人だなあ。 イメージしやすいじゃないですか。口の中で斧が暴れ、口内が血まみれの傷だらけになって

      • 神々と人間の交差点〜エモい古代の意識〜

        (2024.6.13メルマガアーカイブ) いつもコラムを書いていますが、最近よく思うのは、今の世の中って書くべきことがあまりないなって思ってしまうことがあります。 まあ〜〜〜〜とにもかくにも、日々情報が洪水のように溢れでていて、ほとんどのことはもう誰かが言ったり書いたりしている。自分の中で「あ、これ書こうかな」と思ったことなんかもすでに言い尽くされたこと、使い回された表現のフレーム、どこかで聞いたような語り、そんな感じに思えてしまって、なんか勢いを失うことがあります。

        • 美の感覚について

          (2024.6.18メルマガアーカイブ) 言葉って、上がってきた時にキャッチしてあげないと、すぐに空気に混ざるかのように再びは掴めないところに行ってしまいますので、書きたいなと思った時に書ける状況をむりくりでも作れるのなら、記しておくのがいいなと思ってます。 ちょっと日記的に。 3月くらいから忙しくて、ちょっとしたイラストは描いていたんですが、手間のかかる絵はあまり描けていませんでした。その代わりというか、美術館、展覧会、好きな作家の個展などにはわりとフットワークよく、

        マガジン

        • メルマガアーカイブ
          48本
        • 徒然
          5本
        • 読書感想
          3本
        • ラジオヨーガ(音声配信)
          0本
        • 質問に答える記事
          4本
        • 旧ブログの記事をnoteにお引越し
          6本

        記事

          楽観

          (ヨーガクラス後のスモールトーク・アーカイブ 6/10) 私たちはいろんな「フレーム」に入れ込まれた状態で生きていますね。 個人的な考えや行動習慣もそうだし、家族、住んでいる場所の地域性、学校、社会的な機関、国、宗教、経済システム、いろんなフレームの重なりの中に個人としての自分がいます。 フレームの規模が大きくなるほど、個人では動かせない枠組みとその価値観が働いており、自分ではどうにもできないものになっていきます。もちろんそれを見直していったり、参加して変えていこうとす

          祈りとセラピー

          世の中にはたくさんのセラピーがあり、それぞれに良さがあり、何らかの効果を生むものもたくさんあると思います。 そういったセラピーはそれぞれに特性があり、このセッションはこのあたりに向けて行います、というような範囲があります。それぞれの対象ってやつですね。ですので、自分の状態と、セラピーの射程範囲がうまくマッチすれば、効果を発揮するものってたくさんあると思います。 医療の範疇のものあれば、サービスとして行われている施術やセッションもありますし、家族や友達と話したり、一人になっ

          祈りとセラピー

          春と桜

          桜っていいですね。 短い期間に盛大に花を咲かせ、雨や風という自然の変化の中であっという間に散っていきます。その間中私たちは、機を逃すまいと日々のお天気や咲き具合に関心を払い、美しく時を惜しむことを愛します。 清水へ祇園をよぎる桜月夜  こよひ逢う人みなうつくしき 与謝野晶子 和歌は、時間の中のある一瞬をその短い言葉の中に収めますが、それは「言葉の写真」と言ってもいいように思います。そしてその精神の芽吹きを桜が担っているところはとても大きいものです。咲いては散っていくその

          雑記(シヴァ神の瞑想など)

          前回に引き続き、普段何を考えているかの思考モジュール収集をその後も意識してみたんですが、やっぱりあんまり「考えてない時間」多いですね私(笑)。 ついさっきも部屋に置いてある木製の棚の「扉の模様」をただじーーーっと見ていました。わりと長い時間(笑)。 仕事をしているPCのある部屋。窓の外に木があって、その枝にたくさん鳥が来るんですね。昼間はその鳥の声をじーーーーっと聴いている時間がしょっちゅうあります。夕方以降は、今の季節だと秋の虫たちの声がたくさん重なってくるので、それを

          雑記(シヴァ神の瞑想など)

          思考いろいろ(雑記です)

          対面の講座によく参加してくださる方に、メルマガ記事の内容で何かリクエストある?って聞いてみたら「普段考えていることを聞きたい」と。インド哲学的な内容とかもおもしろいけど、日常生活の中で思ったこととか、出来事にまつわるエッセイみたいなものも聞きたいです、と。 そっかあと思って、「日常の中で思っていること」で何か記事にできそうなことあるかな〜、普段何考えてるかな〜、って思ったのですが、あんまり考えてないですね!!(笑) いやいや、もちろん思考はするんですけど、読んでもらうに値

          思考いろいろ(雑記です)

          ユガと神話と光る星

          (2023.9..7メルマガアーカイブ) インドには「ユガ」という時間の尺度があります。 ユガは「時代」という意味で、途方もなく長い何百万年というサイクルを延々と繰り返す宇宙的な時間を俯瞰した、インドの壮大な神話的時間観念と言えるものです。 今日はざっくりとですが、「今どんな時代か」というところと、私が思うことをお話しようかなと思います。 今日の話題に絞った範囲にはなりますが、まず基本知識を押さえてみてください。 基本① ユガというのはヒンドゥー教における「神々の時

          ユガと神話と光る星

          夏休み日記ー母に会うの巻

          年明けに母(70代前半)と電話で話した時に、体調不良で入院をしていたということを「事後報告」で聞き、その後の経過の心配もあったのですが、こっちはこっちで受験生の最もナーバスな時期に突入し、身動きとれずな日々でした。 春は春で娘の卒業、入学、新たな生活への順応で、集団生活があまり得意でなく新しいことに慣れるのにもちょっと時間のかかる性格の娘のケアも必要になっていました。ケアとも言って能動的なものではなく、とにかく日々の生活を穏やかに保って、親の私が安定していて、規則正しく落ち

          夏休み日記ー母に会うの巻

          知ればイケる古代人

          (2023.7.4 メルマガアーカイブ) 現在「問いかけのインド哲学」というオンラインでの講座をやっているんですが、これが自分で言うのもなんだがめちゃくちゃ面白い。いろいろあるインド哲学の中から回ごとにテーマを絞って紹介しつつ、その内容から「問い」を立てて考察をしてみよう、という内容になっています。「問いを立てること」自体は他の講座でも織り交ぜてきたエッセンスなんですが、この講座は最初からそこにベクトルを合わせて解説を組んでいます。 「問う」ということに私がいつもこだわっ

          知ればイケる古代人

          Mちゃんの冒険〜入眠ハンター編〜

          何年も前のことですが、ヨーガ仲間であり職場では後輩に当たる存在、友人Mちゃんが、 『えみりさん、わたし、睡眠に入る瞬間を捕まえたんです!』 と嬉しそうに言っていました。唐突な話ですが。 「起きてる」から「寝てる」の境界は、ふつう、まどろみの中で通り過ぎてしまうものだとは思いますが、Mちゃんは、 『はい、ここからが眠りです』 という瞬間を自覚的に捉える事に挑んでいたようで、それが "マイブーム"だった時期があったようです。 その時、確か数年ぶりに会ってお茶をしてた時

          Mちゃんの冒険〜入眠ハンター編〜

          好きの土左衛門〜情報まみれより本物まみれがいい〜

          2023.5.11メルマガアーカイブ 自分のことがよくわからなくなる時代なのかもしれない。 というのも、私たちが日常的に利用することの多いインターネット、SNSでもwebサイトでも、自分の「好き」あるいは「興味を示したもの」に関連するものがどんどん画面上に上がってくる。 過去に興味を示したものを元に、自分の趣味嗜好の傾向をAIに分析され、「こんなんもありますよ〜」「これも好きでっしゃろ〜〜」とオススメにあがってきますよね。 「ああ、これも好きかも」とか眺めていると、

          好きの土左衛門〜情報まみれより本物まみれがいい〜

          首吊り縄の抒情について(読書感想文)

          2023.4.13メルマガアーカイブ 読書フレンドのおすすめで、山本文緒さんの『自転しながら公転する』という小説を読みました。 久しぶりに現代の小説を読み、最近読了するのに時間のかかる書物が多かったので、小説って読みやす〜〜〜♪と思いました(笑) 技巧的なライト 『自転しながら公転する』は、30代の女性が主人公で、彼女の恋愛や仕事のうえでの出来事や葛藤が描かれつつ、主人公のお母さんの視点も混ざり合い、更年期障害を超えていく過程、というところがクロスしながらお話が進みま

          首吊り縄の抒情について(読書感想文)

          労働vs余暇についての考察

          2023.4.5 メルマガアーカイブ あらかじめお断りしておきます。非常に長いです!(笑) ■「労働VS余暇を超えて」 先月くらいからゆっくり読んでいる書籍があります。 「誰のための仕事~労働VS余暇を超えて~」という本です。 そんなに厚い本でもなく、1週間くらいでいけるかな〜と思っていたのですが、予想に反して「読みにくい」本でした(笑)。 読みにくさは単に相性の話で、筆者の文体が自分の読書脳にちょっと合っていないみたいです。一段落読むのだけでも入ってこないところ

          労働vs余暇についての考察