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学校教育での部活動の位置づけ

どうも。藁科侑希(わらしなゆうき)です。
普段は大学教員やスポーツ現場でコーチやトレーナーをしております。
今日が357日目のnote投稿です。

今日は部活動のお話。

●文武両道か "文武不岐"か

私はあまり「文武両道」という言葉がしっくりきていなくて。
以前に記事にしたように『文武不岐』をモットーにしたりしています。

『文武不岐』
"文"と"武"それぞれが、互いに影響しあうもの。
人が成長するためには、どちらも欠かせない、切り離せない。

この考えのような討論も動画中にもあったのですが。
どちらかの道を選んで、もう一方の道"も"がんばりましょう。
というのが文武両道のメッセージのような気がしていて、私としてはしっくりこないのだろうなと思っています。

結局やることはどちらでもいいし、本来どちらかだけでもいいのですが。
一番大切なことは、自分自身を成長させるために、"文"も"武"も分け隔てなくやりながら進んでいくことなのだと思います。

人は自分がやることをカテゴリ化したり、分類してどちらかに傾倒する傾向があるのかもしれません。
しかし、文か武かという2択の選択をするよりも、自身の成長や学びのために何を選択するか、という複数の選択肢の中から選ぶような考え方になる方がより健全なのではないかと思います。

文の中にも、いわゆる"武"の要素はあります。
武の中にも、"文"の要素があります。
それらを分けることなく、自分の中に引き入れて邁進することが求められるのだと感じています。

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●部活動が「人間形成の場」なのか

【学習指導要領内の部活動の記述】
生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,地域や学校の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすること。
(学習指導要領「生きる力」第1章 総則|第4 2. (13)より)

アベプラ動画内からの意見▼

(賛成派)
・スポーツに頭の良さは必要だし勉強するのも体力必要!
・勉強を頑張ることが部活での成長に繋がり部活を頑張ることが学力の成長にも繋がる

(否定派)
・文武両道っていう価値観が古い
・何でも満遍なくやって中途半端になるぐらいなら一点に集中したほうがいい

私はどちらかといえば、賛成派の立場なんですが、否定派の方々の意見もわからないでもなくて。
その人の集中ができるやり方は人それぞれで、マルチタスク的にやるほうが効率がいい人も、一点集中でやるほうがのめり込める、という人も確かに存在するからです。

ただ、これはいわゆる成人や社会人になって、自分のやり方はこうなんだ・これがしっくりくるな、と思っている人からの意見なのではないかなと思ったりもします。

そもそも、義務教育課程での段階では、「自分のしっくりくる時間の使い方や一番効率のいいやり方」はほとんどと言っていいほど確立していないのだと思います。

スポーツで言えば、ほとんど初心者の状態です。
そんな中で、自分がやりやすいように選択をしてもいいよ、自由だよ、と言われても持ち合わせている選択肢がないから、結局自由という名の半強制感を持ちながらも部活動を行なっている、ということになっているのだと感じています。

ティーチングとコーチングのお話がとても当てはまると思いますが、学習やスポーツ指導の初期には必ず、「教える」場面がないと始まりません。
そして、自分に何があっているのかに触れる・判断するのためには、自分が選択した機会だけではなく、周囲や環境の影響で出会ったものが必要になるんです。

こうして考えると、ある程度の強制力は個人の成長や成長機会の担保の面で必要なのかもしれません。
それと同時に考えなければいけないのは、その実態(教諭の完全担当性や無給ブラック体制など)で、この部分は改善が必須なのだろうと思っています。

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●部活動は「制度化された逸脱」の構造を提供しているのかもしれない

動画内でのこのフレーズで一瞬止まりました。
なるほど、かなりの確信をついている気がする、と思いました。

学校側のマネジメントとして、学年別に分かれている学校教育の中で、唯一と言っていいほど、「縦割り」の構造を持っている組織形態が部活動という位置付けになります。

普段は学年別・クラス別で生活や行動をともにする生徒たちにとって、学校でのコミュニティはその中に限定されていきます。
しかし、部活動があることによって、その固着化する組織の概念を崩す意味でも、制度として視野を広げるようなコミュニティを設定しておくことで、いわゆる「互助」が働きやすくなる、ということなのかもしれません。

学校側も、制度を作る文部科学省側も、このような側面や教育上のメリットがある、ということで部活動を強制ではないにしろ、必要な要素としているのだと感じます。

一方で、スポーツ庁が運動部活動に関するガイドラインを出しましたが、こちらは「部活動に打ち込みたい」と思っている生徒への足枷になることは間違い無いのだと思います。

いわばリスクを軽減させるために、制限時間を作る、というようなものですね。
その中の外部指導員の任用や委託は歓迎されるべきものと思いますが、それ以上に、学校のルールとしてこれらを遵守するとなると、日本独自に築いてきたスポーツ選手育成のピラミッド構造が崩れるのだとも感じました。

途中ひろゆきさんもおっしゃっていましたが、海外の事例だと「やりたい人がやればいい」という考えで、クラブチームへ行ったり、専門の指導者の元に師事をします。あるいは自分たちで問題解決をしようとするように動くことも。
しかし、日本でそれをやれるような文化はほとんどなく、その指導者の確保もできていないため、そのような生徒主導でのスポーツ文化が醸成されていない中では、立ち行かなくなる問題なのだとも思います。

また、自主的に活動しようとすると、必ず「リスクマネジメント」や「学校側の管理責任」を問われてしまう、という風潮もこれらに対しての風当たりを強くしてしまっているのかもしれません。

一概にどちらがいい、と結論づけることができるような答えを自分が持ち合わせているわけではないですが。
少なくとも、多種のコミュニティのなかで自分がどのように振る舞うのか、あるいは自分と異なる属性の人とどう関わるのか、という社会に出てから触れる「人との関わり」の訓練の場としては、意義あるものなのではないでしょうか。

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今日はここまで。357日目おわり。
最後までお読みいただきありがとうございました!

それではまた明日。

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【保有資格】
 博士(スポーツ医学 筑波大学)
 日本スポーツ協会公認バドミントンコーチ3
 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツコーチ
 日本障がい者スポーツ協会公認中級障がい者スポーツ指導員
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツトレーナー
 NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
 NSCA認定パーソナルトレーナー
 高等学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 中学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 赤十字救急法救急員

【現在の大学担当授業】於:東京経済大学・千葉大学・東洋大学
 <体育実技>
  ●バドミントン ●卓球 ●バレーボール ●トレーニング理論実習 ●フィットネス
 <ワークショップ科目>
  ●テーピング・マッサージ実習 ●スポーツ医学理論実践
 <講義科目>
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