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教育に求められる即興性と「楽しさ」を考える

今日は教育について考えます。
というのも、先ほどまでZoomで1時間半ほど、かぐやくん(@kaguya_daiki)とお話をしていて、今日のテーマを考えていたんです。

1時間半があっという間の楽しい時間でした。
また定期的にお話をする機会を設けたいな、と思える時間で、今後も定期的にお話ししていこうと思っています。

かぐやくんとは、4年前に私が筑波大学の教員だった頃の授業で、先生と学生の関係でした。
今回、4年ぶりに言葉を交わしました。
お互いにSNSでの発信を見ていることもあり、そんなに時間が経っているような感じはしませんでしたが、時の流れのはやさを感じました。

かぐやくんが今、部活動の改革に向けて動いていたり、性教育に対して力を入れている、という話を聞いて。
素晴らしい活動で、自分も力になれることは最大限協力したいし、応援したいという気持ちになりました。

ということで、自分も改めて「教育」に求められるものは何か、を考えてみたというのが今日のお話です。

先日のこの記事▲ともかなり密接に関わるお話しだと思います。

●教育カリキュラムにあっても記憶に定着しないのはなぜか

よく私の大学の担当授業で、健康や体育・スポーツの話題を出すのですが、その中で、
 「初めて学びました」
 「この知識をもっと早く知りたかった」
 「スポーツをやっていた時に活かしたかった」
と言われることがあります。

学生からそう言ってもらえて、嬉しい反面。
授業内容を振り返って、正直に言えば、とても複雑な気持ちなんです。


というのも、私の授業内容は、中学校や高校でのカリキュラムの一部を膨らませたり、その内容を補填しながらおこなっているので、これまでに触れてこなかったわけでも、知る機会がなかったわけでもないんです。

ただ、自分の頭に残っていなかった、あるいは聞いていたこと自体を忘れている、ことが多いのだと思います。

これを大学の学生や、現在の生徒のせい、ましてや中高大の先生のせいにするのではなくて。
なにが根本的な原因なのだろうと考えてみました。
すると、教育カリキュラム上の体育やスポーツ、健康に関する事項の問題点が浮き彫りになる気がしています。

結論から述べてしまえば、それは、

①学習の即興性の少なさ

②自分の身になる「楽しさ」が伴っていない場合が多い

ということだと思います。

学習の即興性とは、一定の学習内容はあるものの、その内容を目の前の相手に対して、「よりわかりやすく」噛み砕いて説明したり、理解してもらえるようにする、いわば【アドリブ】の要素です。
そして、自分の身になる「楽しさ」とは、自分がこれから生きていく上で、あるいはスポーツをおこなっていく上で、【どうやって楽しめるか】を自分ごととして捉えることができるか、という要素です。

いずれも共通して言えることとして、教える側も、教えられる側も、受動的に学習するだけでは獲得できない・感じることもできないこと、だということですね。

記憶に定着しやすいものというのは、「エピソード記憶」という物語性を伴った知識に紐づく事柄が多いです。
そのために、楽しかった思い出や感情がより動いた出来事と紐づいて、記憶や知識が定着して、時間が経った時に思い出しやすくなります。

このように、感情は記憶の質に影響する、ということが言われています。
しかしながら、詰め込み式に知識を入れることに重点を置かれていたり、ただ「こなすこと」が標準となってしまっていると、どうなるか。

結果として、いくら教育カリキュラムに準じて教育が粛々とおこなわれたとしても、学習者側への教育効果は得られることなく終わってしまうのだと思います。

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●「勉強になりました」を引き出してしまわないように

このような「こなすこと」や「詰め込み式」の教育に慣れてしまうとどうなるか。
授業が終わったあと、感想やレポートで、「勉強になりました」だけが言葉として残ってしまうようになります。

この「勉強になりました」が曲者で。
学習した側も、やった時間を自分で評価して、勉強ができた、と振り返る。
教育者側も、自分がおこなった授業に対して、肯定的な意見が出た、と振り返る。

しかしながら、その本質を捉えるように、学習した生徒・学生に話を聞くと、その「言葉を出させてしまった」教育効果の低さを確認することができます。

つまり、「具体的に何が勉強できたのか」「自分のこれからの生活や楽しみにとって何を学べたのか」を自分なりの言葉で話してほしいと切り出すと、言葉に詰まるくらい、何も残っていない場合が多い、ということです。

これは現代の教育現場でとても問題になっている部分でもあり、受験をゴールとする教育が抱える課題としての、「学びの楽しさ」の犠牲を表しているのかもしれません。

知識を詰め込むのであれば、授業はオンラインの録画を繰り返し流すことでも、教科書の〇〇ページから〇〇ページを読むという課題を出すだけで事足ります。
そんな中での、我々教育者、教師と呼ばれる先生が必要とされる要素とは何か

それが、先にもあげたような「即興性」のある授業と、エンターテインメント性を兼ね備えた「楽しさ」を提供できること、なのだと思います。

これらについては、現在の教員免許取得のカリキュラムにはありませんし、ましてやエンターテインメント的に楽しませること、という要素は現在の教育課程の中では重要視されていません。

ですが、教育の現場で小中高の生徒や大学の学生が何を求めているかと言えば、『授業カリキュラムに則っていることを前提に、「自分にとって」ためになる・役に立つ授業で、かつそれが楽しみや喜びを生み出してくれるもの』なのだと思います。

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●相対することで交わされる情報量の多さに目を向ける

そのためにも、対面式での授業が求められているのだと思っていて。
自分が担当する体育・スポーツの授業でも、この「即興性」と「楽しさ」の要素を担保しづらいがために、一刻も早く対面式での授業をできる体制を整えようと叫ばれているのだと思っています。

やり方によっては、オンライン授業でもこの即興性や楽しさを取り入れることは可能です。

以前にオンラインの「体育」授業の可能性や、このように捉えることで「自分にとって」価値ある時間にできるということを記事にまとめたこともあります。以下は参照までに。

しかし、オンライン授業のような形態は誰もがこれまで経験もしてこなければ、対面と非対面をどのように組み合わせればいいのか、のような概念をもったこともないことでした。
そのために教育者側、生徒・学生側の両者にとって、この課題を解決するには材料が少なすぎるのだとも思います。

幸い、メディアリテラシーの高い先生方や海外からのツール・方法論の導入で、それらに対して理解が深い学校や教育形態もあります。
しかし、それが大多数かといえばそうではありません。
その導入に対しても、新たなことに取り組む前向きなエネルギーと資金源が必要にもなってきます。

また、そのような新しい取り組みには、必ずと言っていいほど、反対意見の波が押し寄せます。
必要に迫られて新たな道を模索する現場の意見と、学校を運営する立場や資金繰りをする管理側の立場の対立が色濃く出でしまうんです。

このような現状から、残念ながら、日本でのオンライン授業改革やハイブリッド型の「新たな教育形態」はすぐには生まれないのだと思っています。

だからこそ、我々現場の教育者ができることとしては、とてもシンプルだと思っていて。

目の前の学生・生徒にまっすぐ向き合って、即興性・エンタメ性を担保しながら、学びを提供すること。

これに尽きるのだと思っています。

言葉にすると、当たり前のことだと揶揄されるかもしれませんが。
相対することで、自身に入ってくる情報量の多さは、オンラインや電話の比ではありません。

顔の表情や目の開き方、声色や声の大きさをはじめとして、オンラインでも電話でもわかることはあります。
しかし、面と向かって感じる空気感や雰囲気、立ち方や姿勢の変化、「目の輝き方」など、その場に一緒にいなければ感じられない、言語化もできないような情報を交わし合うこともあるんです。

その情報感度を高く持って、学生に相対すること。
そして、情報処理と並行しての即興のアレンジを加え、相手が楽しく授業を受けられること。
このような教育が、SNSやオンラインの情報が溢れた現代だからこそ、より求められるのだと思っています。

今後も自分なりに教育と向き合い、学生にとって楽しい授業を、そして自分にとっても楽しい時間を過ごせるようにしていこうと考えています。

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今日はここまで。308日目おわり。
それではまた明日。

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【保有資格】
 博士(スポーツ医学 筑波大学)
 日本スポーツ協会公認バドミントンコーチ3
 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツコーチ
 日本障がい者スポーツ協会公認中級障がい者スポーツ指導員
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツトレーナー
 NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
 NSCA認定パーソナルトレーナー
 高等学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 中学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 赤十字救急法救急員

【現在の大学担当授業】於:東京経済大学・千葉大学・東洋大学
 <体育実技>
  ●バドミントン ●卓球 ●バレーボール ●トレーニング理論実習
 <ワークショップ科目>
  ●テーピング・マッサージ実習 ●スポーツ医学理論実践
 <講義科目>
  ●健康の科学a ●健康の科学b ●スポーツとの出逢い


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