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コミュニケーションの常套手段 #162 ホウレンソウ

組織とは、「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステムである。」と定義したのは、アメリカの経済学者であるチェスターバーナード氏です。

人は、一人で成せることには限界があります。
そのため目的を共有できる人たちと何らかの組織を形成します。

そして、それぞれの組織は、それぞれ特有の目的を果たすために、社会の中で様々な活動を繰り広げます。
翻せば、その組織の中に、その組織の目的を果たす上で障害になるような存在、あるいは、その存在を容認してしまう組織は、いずれ組織として機能しなくなってしまうといえます。

故に、バナード氏は、組織が、その目的を果たすための三要素を提唱しています。
それは、参画する個々が、①目的を共有していること(組織目的)、その②目的達成に貢献する意欲を持っていること(貢献意欲)、そのために常に適正な③コミュニケーションが取れていること(情報共有)です。

誰もが知っている緑黄色野菜に「ホウレンソウ」があります。
「ホウレンソウ」には、ビタミンAなどの栄養素が豊富に含まれて、成長や皮膚・粘膜の正常保持、視覚の正常化、貧血予防などに役立つ野菜です。
その様な大切な野菜だからこそ、育ち盛りの子供たちには是非とも食べて欲しいものです。

例えば、アニメの主人公である「ポパイ」が「ホウレンソウ」の缶詰を食べると、とたんに強くなる設定になっているのも、その様な想いからのようです。

話しは変わりますが、組織である企業においても「ホウレンソウ」が大切となります。
もちろん、ここでの「ホウレンソウ」は野菜ではありません。
新入社員の頃に誰でも教わったであろうコミュニケーションの基本である「報告」、「連絡」、「相談」のことです。

①報告
指示されたことに対して、経過や結果を「報告」できない人がいます。
本人にしてみたら、指示されたことをやったのだから問題ないと考えているのかもしれません。
しかし、指示した側にとっては、状況が分からず心配で仕方がありません。
また、尋ねられてから答えるのは報告ではありません。
例えば、代表的な日々の活動報告である日報です。
基本は、その日の報告は、その日に行うものです。
何らかの特別な理由で滞ることがあっても、それが常習化してしまえば、報告の体を成しません。

②連絡
個人だけで情報を抱えてしまい、関係者で「連絡」し合うことができない人がいます。
個人の能力だけでは限界だからこその組織です。
にも関わらず、情報を共有しなかったら、組織が組織として機能しません。
また、一方的な情報開示で、相手が理解していないのであれば、共有したことにはなりません。

③相談
期限を守ることが出来ずに、すべきことを後に回したまま放置してしまうケースも少なくありません。
できないならば、「ツケ払い」になってしまう前に、関係者に「相談」して回避策を講じなければなりません。
また、「ツケ払い」をする傾向にある人は、確実に組織内の信用がありません。

組織を構成する一人一人が、同じ目的を共有していても、それを実現させるための方法論は、個人それぞれです。
また、それぞれの能力も均一ではありませんし、それぞれに、長所もあれば、欠点もあります。
その様な状況下にあって、組織は目的を達成しなければなりません。
目的を達成することが組織の存在意義でもあります。

そのための機能がマネジメントです。
マネジメントの提唱者であるピーター・ドラッカー氏は、その著書である「マネジメント 基本と原理」の中で、「マネジメントは、組織に特有の使命、すなわち、それぞれの目的を果たすために存在する。」と示しております。

そして、そのマネジメントを機能させるための常套手段が「ホウレンソウ」です。
仮に、組織の中に適正な「ホウレンソウ」ができないような人材が存在すると、マネジメントが機能しません。
つまり、個人から、組織にした価値が活かせないばかりか、逆効果に成りかねないと言うことです。

極論ですが、組織において成果が実現できないのであれば、組織内で「ホウレンソウ」が習慣化されていない可能性があります。
つまり、コミュニケーション手段として捉えられるケースの多い「ホウレンソウ」ですが、「ポパイ」のような強い組織をつくる上でも重要な要素であるといえます。

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