【シリーズ7】なぜワーママや主婦は”起業・独立”に憧れるの?キラキラ起業家になったA先輩を覗き見して考えたこと
ワーママや専業主婦が、起業やフリーランスに憧れる理由を考えるシリーズの第7弾です。前回の記事では、なぜ自己実現系セミナーには優等生が多いのか?の考察を書きました。
さて、今回はどうしてもnoteに整理して残しておきたいことがあります。それは私が約15年間見てきた「女性起業界隈の歴史」です。
あくまで私が見てきた一面にすぎませんが、一度振り返ってみたいと思います。もしかするとアラフォー世代の方々には、懐かしく思えることがあるかもしれません。
【2008年頃】スピリチュアルブームと「自分ビジネス」の台頭
私はこの頃、のちにサロン業とネットワークビジネスで起業し大成功するA先輩(詳細はシリーズ1, 2, 3を参照)と出会いました。それが私の「起業女子」への関心の始まりです。
当時、起業といえば趣味や習い事をベースにした小規模ビジネスやサロン経営が主流でした。A先輩の弟子もサロン経営をしていたし、他には手芸やフラワーアレンジメントなどの教室を開いている人もいました。そして宣伝の主戦場は「アメブロ」です。
と同時に、スピリチュアルが一般女性にも浸透し、身近な存在になってきた時期でもあると考えています。
ある日のこと。大学の後輩から「子宮委員長はるって知ってますか?」と聞かれました。「え、誰それ?」とぽかーん。興味が湧いて調べてみてビックリ。彼女は子宮委員長はるを尊敬しており、アメブロを通じて熱心に「子宮の声を聴くと人生が変わる!子宮を通じて感情やエネルギーを解放し、自分らしさを取り戻すことができる!」と力説していたんです。
なんで彼女が子宮系女子に???の謎は今でも解けていませんが「子宮系女子」という概念は、自己啓発の一環として話題になりました。(ちなみに、子宮委員長はるは、現在名前を変えて「億女大学」という女性向けビジネス講座を展開しているようです)
考えてみるとこの時代に、「女性が独立して稼ぐこと」と「自分に正直に生きる」を結びつけた「自分ビジネス」が誕生したように思います。そして、今の「自分をブランド化する」というビジネススタイルのベースができたのではないでしょうか?
余談ですが、スピリチュアルといえば、happyちゃん(竹腰紗智)が提唱しているハッピー理論も熱狂的ファンがいます。この界隈と起業女性の一部は強い繋がりがあるようです。
【2014年頃】注目される女性起業家たち 「スピリチュアルからコンサルへ」
時代が進むにつれ、起業のスタイルは「がっつり稼ぐコンサル系」にシフトしていきました。特に注目を集めたのが、小田桐あさぎさんや鈴木実歩さんといったコンサル起業家の登場です。「女性が自立して稼ぐ」ことを強く訴え、今でもコンサルビジネスを中心にかなりのファンを獲得していそうです。
私は勝手に彼女たちを「ド根性系・ゴージャス起業女子」と呼んでいます(すみません)。小田桐あさぎさんは20代で8回転職、月収14万円、婚活も失敗というどん底から這い上がって起業。鈴木実歩さんは「金なし、夢なし、彼氏なし」の30歳のとき、星渉氏に弟子入りし、奮闘の末に起業を成功させます。
さて、ここで白状します。この頃、私は鈴木実歩さんのメルマガ(起業を目指す女性に向けたアドバイスが書かれていた)を読んでいました。そして、小田桐あさぎさんの著書発売を記念してのサイン会にも足を運びました…。
A先輩を追いかけているうちにいつの間に2人に興味が湧いたのです。ただ、当時の私は「起業したい!こんな生活がしたい!」と思っていたわけではなく、自分の住んでる世界以外のことを覗き見したいという好奇心からでした。
サイン会の会場は、小田桐あさぎさんに熱い目線を向ける女性が沢山。そんな人たちを横目で見ながら「芸能人みたいだな…」と不思議に思いながらも、私自身も妙にテンションが上がってしまっていたのを覚えています(笑)。
【2017年頃】インスタ映えが大流行!キラキラ起業女子が大量生産
そして2017年、「インスタ映え」という言葉が流行語大賞を受賞しました。これにあやかるように、女性起業家のインスタでの猛アピール合戦が始まります。「キラキラ起業女子」という言葉が誕生して、テレビ番組『スッキリ』でも特集されるほどでした。(ただし、内容は肝心の事業内容ではなく、インスタ映えする自撮り方法だっと記憶…)
ちょうどその頃、私も出産してインスタを頻繁に見るようになりました。目に飛び込んでくるのは、まぶしすぎるキラキラ女子たちの生活ぶりと、超絶オシャレなママたち(本当にその恰好で育児してるの?)。そんな投稿を見て、夜泣きや授乳で疲れ切ったボロボロの自分とのギャップに何度も溜息をついたものです。
間違いなくインスタを通じて、隣の芝生が青く見える症候群にハマったり、自己肯定感が下がったりした女性は増えたはず。
【2019年頃】音声配信アプリとワーママたちの憧れ
そして忘れもしない2020年、コロナ禍の始まりで私たちの生活は大きく変わりました。外出自粛が続く中、音声配信アプリが一部の層に流行しはじめます。
私もその流れに乗って音声配信を日課にしました(シリーズ4で詳しく書いています)。最初は「参考になる〜」くらいの気持ちで聞いていたのに、気軽に毎日聞いているうちに、少しずつ配信者の考えに洗脳されていきます。そして、起業話を聞いているうちに、「会社員以外の働き方が私にもできるかも?」なんて錯覚がうまれてしまうのです。
この音声配信の「手軽さ」というメリットが曲者だと思うのです。
それまでは起業セミナーといえば対面参加が主流で、わざわざ時間を作って会場に行く必要がありました。しかし、音声配信のおかげで、起業への明確な目標や強い意志がなくても、成功話を聞くことで「私にもできる!」という感覚に引き込まれてしまうのです。
特に、会社で疲れた帰り道や昼休みに、何気なく聞いていると、次第に起業への夢に吸い寄せられるような気持ちになり、どんどんその世界にのめり込んでいきます。
音声は、話し手の声のトーンや感情が伝わりやすく、親しみやすさを感じさせます。配信者が「私も最初はただの主婦だった」「特別なスキルがあったわけじゃない」と語ると、それが自分にも当てはまるように感じられ、自分も同じ成功を手に入れられると思ってしまうのです。
しかし、その結果、現実の厳しさがぼやけ、夢だけが際立ってしまうのです。(次回につづく)
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