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【シリーズ4】なぜワーママや主婦は”起業・独立”に憧れるの?キラキラ起業家になったA先輩を覗き見して考えたこと

ワーママや専業主婦が、起業やフリーランスに憧れる理由を考えるシリーズ④です。前回の記事では、A先輩がワーママや専業主婦をターゲットにしてネットワークビジネスを展開し、真面目な元同僚女性もそのビジネスにどっぷりハマってしまった話を紹介しました。

今回は思い切って、私が自己実現系セミナーに参加した経験についてお話しします…!

自由な時間で、自由な場所で、
私らしく、楽しく稼ぐ?

ワーママと専業主婦が陥るSNSの甘い罠

世の中にはA先輩のような人だけでなく、ワーママや専業主婦に「自分らしく働く」ために起業を勧める人たちがたくさんいます。特にSNSの世界では、「自由な働き方を手に入れよう」「自分の魅力を活かして稼ごう」と声高に主張する起業家が山のようにいます。そしてその一部が、高額な起業塾やセミナーを主催してるのです。

A先輩のビジネスと同様、私は正直「その金額の価値があるのか?」と疑っていました。

なぜなら、高額起業塾やセミナー講師のSNSには、成功例やポジティブなメッセージばかりが強調され、デメリットや失敗についてはほとんど触れられていないからです。他にもモヤっとする点がチラホラ。例えば、「人生を成功させるには思い切りが大事!」と高額な自己投資が不可欠だというメッセージを強調する感じや、「自分もできたのだから、アナタもできる!」という成功体験の押し付けです。

しかし疑っていた私も、実は高額なセミナーを受講したことがあるのです…。セミナーの詳細は伏せますが、「自己実現系セミナー」とお伝えしておきます。なぜ受講したのか?それは一言でいうなら、会社員であることに対しての行き詰まり感でした…。

焦りと迷いがあった、復職後の両立生活

今思い返すと、高額セミナーを受講するまでにはいくつかのステップがありました(当時は気付いていない)。ステップ1は出産です。慣れない子育てにストレスがかかり、育休から復職した後は、ワークライフバランスがどうにもならなくなりました。「早く仕事を終えなければ!」と焦るあまりミスを連発。育児も中途半端。常にヘトヘト。

拘束時間が長い会社員をしながら子育てするのがとてつもなく厳しく感じ、途方に暮れ、「このままだと退職するしかないかも」と真剣に思い詰めるようになりました。

ステップ2は音声配信サービスとの出会いです。両立生活がどうにもならなくって、社内の先輩ワーママに泣きついた時、「Voicy」という音声配信サービスを教えてもらいました。「この人の配信を聞いてみて」と教えてもらったのは、私と同世代のワーママ配信者。彼女は両立を乗り切る考え方やコツを話していました。芸能人でもインフルエンサーでもない一般企業に勤める人が話す内容だからこそ、新鮮で親近感が湧き、同志がいるような気分になり嬉しかったのを覚えています。

ある日、そのワーママ配信者が、会社を辞めると発表しました。まだ小さい子供がいるのに凄い…。彼女と私では才能や環境が全く違うと理解はしつつも、「羨ましい」という気持ちが湧き上がってきたのです。

そう思い始めると、「会社員を辞めること」が頻繁に脳裏に浮かぶようになりました。すると、SNSのアルゴリズムも手伝って、「女性の起業」を語る媒体に触れる機会が増え、「会社員をやめて良かった!」「自分らしく生きよう!」と話す女性たちの話が大量に耳に入ってくるようになりました。

特に響いたのは「会社員を辞めたら、子供を急かさなくなった。子供と笑顔で過ごす時間が増えた」というフレーズです。常に子供を急かし、イライラしている自分に罪悪感を感じる毎日だったからです。子供が風邪を引いたとき、瞬時に仕事の心配をしてしまう自分にもウンザリしていたので、その言葉に本心を掴まれた感じがしました。

会社員やめたら、罪悪感の日々から解放されるのかも
と思ってました

自己実現系セミナーへの誘い

そんなとき、インスタで自己実現系セミナーの広告が流れてきました。毎日21時から3日間、無料のインスタライブを配信するとのこと。セミナーに申し込む見込み客を集めるためだと分かっていたけれど、その広告に吸い寄せられる私。そして、3日間のインスタライブを聞き続けているうちに、まんまとそのセミナーに参加したくなってしまったのです。

講師は子供がいて会社員との両立経験がありました。「会社員をしていた頃、上はオジサンばかりで両立の苦労を分かってくれなかった。世の中が変わるのを待つより独立したほうが後悔しないと思って思い切った!」という話が心に刺さり…。「会社員という雇われ人の自分だけではダメだ!」と、自己実現セミナーに申し込んだのです。この頃にはすっかり、A先輩に関わる一連の出来事を忘れていました。

A先輩の周りにいた、失敗してきた女性たちを見てきたのに

自己実現系セミナーの参加者は約30人。ほぼ全員がワーママです。なぜか高学歴、大手企業や公務員などいわゆる「ちゃんとしたところ」で働いている人が多く、夫婦関係も大きな問題があるようには見えませんでした。一見、順調な人生を歩んでいるような女性たちばかりです。そんな人たちが自己実現系セミナーに参加し、半年間も学ぶことが不思議というか、心に引っかかるものがありました(次回に考えをまとめます)。

ある日、講義中に受講生が「自分のビジネスアイデアが全然浮かばないんです。どうしたらいいですか?」と質問しました。講師は「自分の強みをもっと掘り下げてみて」「過去の自分にサービスを提供するつもりで考えて」と答えましたが、ボヤっとした回答にあまりピンとこない私たち。また、別の受講生が「SNSのフォロワーが全然増えません。どうすればいいですか?」と聞いたところ、講師は「とにかく続けることが大事。文句言わずに続けて」と言うだけで、具体的なアドバイスはありませんでした。その瞬間、私たちは本当にこのセミナーに価値があるのか疑念を抱き始めたのです。

ある日、講義の後に受講生たちとのミーティングをする中で、お互いの進捗状況を共有しました。その中で、一人の参加者が「このセミナー、本当に価値があるのかな?」と漏らしたことで、セミナーへの不信感が確信に。徐々に失望感が強くなり、最終的には「このセミナーに支払ったお金は無駄だったのではないか」と感じるようになりました。だけど途中でやめるわけにもいかず、最後まで続けるしかないという状況に追い込まれたのです。

私は元同僚と同じ道を辿っていた

受講したことがムダだったか?と聞かれたら全くムダだったとは思いません。そこで仲良くなった人達もいます。セミナーを機に、起業家としてスタートした受講生もいます。だけど私がもし戻れるなら、その講座には参加しなかったかな…。

元同僚がA先輩のネットワークビジネスに巻き込まれていくのを見て、遠くから「やめておけばいいのに」と思っていた私。だけど、いざ自分が今の生活に悩み解決の糸口が見えなくなると、冷静に「それに価値があるのか」を判断することが出来なくなったということです。

そして気づかぬうちに、「自由な時間で」「自由な場所で」「すきま時間で」「私らしく」「好きなことで」「我慢せず」そんなキラキラワードに私自身が引き込まれてしまったのです…(次回につづく)。


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