見出し画像

水戸ホーリーホック×V・ファーレン長崎戦、レフェリーブリーフィングでの説明に見たJリーグ審判団の進化とファンサポーターも必要なアップデートとは?

「奴隷」という強いワードから、競技規則よりも選手とのコミュニケーション、チームやファンサポーターにストレスを与えない事がレフェリーにとって最重要と変換されたように思う。
もちろん、ポイントではある。
しかし、フットボールは、black or whiteのストライクかボールか。セーフかアウトかの競技ではない。
コンタクトスポーツゆえに、ファールにも見えるし、ノーファウルに見える事が多々起きる。その接触を判断しなければいけないのがレフェリーである。
起きてしまう50-50の判定が不利に傾けば、どんなにコミュニケーションをとっても、受け入れられないだろう。

だからといって、「ルール(競技規則)だから!」だけで良い訳ではない。

現在のフットボールの最先端をいくイングランドプレミアリーグ。
プレミアリーグは、「そこまで厳しくする必要がある?」というジャッジをすることもある。
たとえば、Jリーグでシミュレーションの議論も起きなかったシーンを見た現役プレミアリーグレフェリーは「これはプレミアリーグならシミュレーションでカード」と断言していた。
そこに当該試合での選手とのコミュニケーションやチームの納得感は加味されていない。
あるのは、プレミアリーグ内でのフットボールアンダースタンドやフットボールエクスペクテーションではないだろうか。

このフットボールアンダースタンドやフットボールエクスペクテーションが競技規則に幅を持たせる時代になったように感じている。

レフェリーが判定をする時に必要な事―
それを定義しているのが、DVD『トリオ』だ。
VAR導入後にFIFAワールドカップで多くのトップレフェリーと触れ合った佐藤隆治Jリーグ統括審判マネジャーが「判定」について語っている。

その佐藤マネジャーが求めるレフェリングが、ある意味では『レフェリーブリーフィング』にも表れていた。
物議を醸したJ2リーグ第18節の水戸ホーリーホック×V・ファーレン長崎戦での判定変更時の説明である。
この試合の4thは、コミュニケーションシステムで「ボールに触れていないならPK」と発信していた。
世界的にも4thは積極的に試合に関わっている。
たとえば、ベンチ前でのファウルやボールアウト。事象が見やすい位置にいるのはベンチにいるチームの方々、そして4thである。ベンチ前での事象は、ベンチの温度が上がりやすく、場合によってはゲームに影響する。ゆえに、4thが積極的に事実の情報(ピース)を発信することが求められる。
レフェリーは、情報(ピース)を集めて、競技規則の考慮事項に加え、フットボールアンダースタンドやフットボールエクスペクテーションから最後に全責任を持ってジャッジする。

しかし、「~だろう」「~なら」というサポートは事実ではなく、情報(ピース)にはならない。だからこそ、佐藤マネジャーは当該試合での4thの発信が本当に必要なのか指導をしたのだ。

フットボール界はVAR時代になり、レフェリングも大きく変わっている。教科書的ではなく、エンタメ目線のDVD『トリオ』でアップデートしてみると、試合をストレスなく見る事が出来るかもしれない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?