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好きな曲は好き~壁/サカナクション~



はじめに


今日はサカナクションの『』という曲についてお話しします。

この曲は受験期の私にとって、とても印象深い曲になりました。


私が覚悟を決めたのは、


静かに語りだすように、思い出をつぶやくように歌い始まります。

僕が覚悟を決めたのは
庭の花が咲く頃
君に話したらちょっぴり
淋しがってくれたね
今ひとつ心配な事
それは家の猫のこと
いつも僕が餌をあげていたから

https://note.com/vast_plover335/n/n6e81dd477448#1dfa2ef3-732f-4030-97c5-483569f4fe87

でもお話ししたように、私は地元から約100 km離れた高校に進学しました。
中学までは、ほぼ生まれた時からずっと一緒の幼馴染たちと育ちました。


このような環境に居た私にとって、地元を離れることはとても大きな決断でした
たとえ両親がいつか戻ってきてくれると信じていても、私にとっては重要な人生の分岐点でした。

中学校に入学してから両親と私は漠然とそして何も考えることなく、遠くの高校への進学を目標にしていました。
私たち家族にとって、遠くの高校に進学することが普通でした。
私も両親もそれが必然だとわかっていながらも、一番寂しがっていたのは父でした。
中学3年生の秋ごろ、私は改めて父に覚悟を問われました。

「本当に遠くの高校へ行くのか」

ほんの少し父が寂しそうに、でも仕方のないことだからほぼ諦めたように、私に問うてきました。

私だって不安はたくさんありました。
実家を離れなければならないこと、簡単に地元の幼馴染には会えなくなってしまうこと、体調が悪くなっていた大好きな犬のことも心配でした。
それでも、行くという選択肢を選ばないと私の人生は開かれないこともなんとなく理解していました。

「行くよ」

と返事をしたのは良いものの、父の目を見て言えませんでした。
今思うと、父の寂しさと諦念感と希望を直視することはできなかったからでしょうか。
そのため、私は自分の部屋から見える、隣人の庭を見ながら言いました
秋になりたてで植生が変化する時期。
隣人の庭には名前も知らない白い花がぽつんと咲いていました
「白い花だな」と思いました。
これが私の覚悟を決めた時のお話です。

幼馴染のほとんどが、なんとなく私が遠くの高校へ行くことはわかっていました。
特に、仲良くしていた子は3年生になって進路をよく聞いてくるようになりました。
クラスメイトのほとんどが近くの高校へ進学する中、私は少し浮いていました。
そのため、私は大きな声で遠くの高校へ行くと明言することはできていませんでした。
そんな心情を察していてくれていたのが、その子でした。

その子は私が遠くの高校へ進学するとわかりつつ、ときどき「一緒の高校が良いなー」と冗談交じりに言ってくれていました。
そのたびに、何度もはぐらかしていました。
私は近くの高校へ進学する気はなかったのです。
ずっと同じ人間関係、閉塞的な環境、数十年同じ環境に嫌気がさしていたからです。
そのため、この曲を聞く度に
君に話したらちょっぴり 淋しがってくれたね』という歌詞が私に響きます。


冷たい日に君が際立つ


次の歌詞です。

冷たい風が吹く夜
いつも僕は塞ぎがちになる
冷たい雨が降る夜
いつも君がそばにいて見ててくれた気がしたんだ

高校受験は完全に孤独でした。
勿論、邦ロックを教えてくれた個人塾の先生はいてくれたものの、学校では孤独でした。
はっきりと遠くの高校へ行くと、近くの高校にするとも明言もできない、多くの生徒向けの授業の合間に目立たないように自習をする。
友人と思い出作りをするわけでもなく、ただひたすら遠くの高校を目指して、孤独に勉強をしていました。

特に夜はつらかったです。
ラジオと邦ロック、小説、そしてアイドルが私の癒しでした。

冬の寒い日、受験直前、この曲『』は私にとってラジオと音楽でした。
いつでも私のそばにいてくれました。
今でもそばにいてくれます。


私は机

サビです。

僕は壁さ
立ち向かう事すら出来ぬ壁さ
隣の家の窓から見える温かそうなシチュー

この、『僕は壁さ』という歌詞が、印象的でした。
一瞬、どっしりとして、誰かを支え、大きく、強い印象でした。
しかし、『立ち向かう事すら出来ぬ壁さ』という歌詞が続き、印象が一変しました。

サカナクションは北海道から東京へ進出してきたバンドであり、それは挑戦だと思いました。
この曲はその大きな決断を迷っている時期の曲なのでしょうか。
全然壁なんかじゃない。
そう思いました。

しかし、『隣の家の窓から見える温かそうなシチュー』という歌詞が、壁視点であることを強調していました。
あえてデメリットを言うのであれば、壁は立ち止まったまま何もできないものの比喩なのでしょうね。

中学生の私にとって、『温かそうなシチュー』は、
近くの高校に進学するからそんなに勉強に力を入れることなく、思い出作りに勤しむ同級生でした。
当時は羨ましいと感じてはいませんでしたが、あまりにも友人と遊ぶことがなかった中学生の思い出がないことは少し悔やまれます。
ほんの少しです。
遠くの高校へ進学できたことは私の人生にとって大きな成功であったと思っているからです。

いつも僕が一人で食べる夕食の味は
孤独の味がした気がするんだ

いつも私が一人で机に向かっているとき、学校で自習をしているとき、私は孤独でした。

僕は壁さ
僕は壁さ
僕が覚悟を決めたのは庭の花が咲く頃

さいごに

この曲の『僕が覚悟を決めたのは庭の花が咲く頃』が、何度も何度も聴く度に覚悟を問われたあの部屋と名前を知らない白い花を思い出させます。
きっと一生です。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
♡励みになりますありがとうございます。

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