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小説、SSなど

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思いつきで書いたSS置き場です。
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2022年5月の記事一覧

ジェノス猫

ジェノス猫

俺、サイタマがアパートに帰るとジェノスの様子がおかしかった。
帰宅した時の第一声が
「にゃーーーん!」だった。

そして何故か四本足で歩き、俺の足元にまとわりつく。立ちあがって前足(?)を差し出す。
抱っこしてくれと言うことらしい。

仕方なく抱っこしてやると俺の鼻をペロペロ舐める。
なんだこりゃ。クセーノ博士に連絡したほうがいいのか?

俺の布団の上で香箱座りをしているジェノスを横目で見つつ、ク

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日常 その2

日常 その2

サイタマ先生がまた夢で闘っているらしく脂汗を流して眉間に皺を寄せている。
夢の中までは俺も加勢に行けない。

汗を拭くためのタオルを絞っておく。

強すぎる先生のジレンマが夢になっているのだろう。
俺が見る夢はサイタマ先生に助けられているか甘えさせてもらっているものばかりだ。

自分の不甲斐なさに悔やみつつ先生の目覚めを待つ。

ん、目を覚ましたようだ。

「ジェノス〜、うどんバケツ一杯なんて食い

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サイボーグ・バード 3

サイボーグ・バード 3

小型ジェットを背負って俺は縦横無尽に飛んだ。
久々の感覚だ。

ソーラー式で燃料がいらないのは都合がいい。
故郷の島へ向かう?まだだ。

食い物がない。俺は頭だけは生身なんだ。
街へ戻ると生き物を売る屋台へ向かった。
トカゲ、カエル、蛇、サソリ。
大物はないが一通り揃っている。
これらは飼ってもいいし調理してもいいらしい。

「よぉ、買いたいものがあるんだ」
主人が驚愕の眼差しで俺を見る。
「てめ

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仲のいい夢

仲のいい夢

ジェノスがすっかり寝入った頃、夢が訪れた。
隣のサイタマ先生が転がってきて抱きついてくる。
寝ぼけているようだ。

「ジェノスー…」

寝言は夢の中でも聞こえる。
ジェノスが恐る恐る抱き返すとますます強く抱きしめてくる。

しあわせな感覚に酔いしれていると何故か先生が服を脱がし始めたので動揺する。
「あっつい」

そう言えば先生はパジャマのズボンしか履いてない。
「あつい…な。ジェノス」

途中で

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日常

日常

サイタマは難しい顔をしてジェノスが取っている新聞を見ていた。
その時間があまりにも長いので気にかかるジェノス。
声をかけていいものか?

「先生?新聞に気になる記事でも?」
控えめに声をかけるとサイタマは
「なぁジェノス。ここわかるか?」
「クロスワードですか」
「ここだけわからないのに二重マスまであるんだよ」
さすがはクロスワード制作のプロ。
厄介な位置に答えを仕込んでいる。
「カギは?」
「里

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ジェノスとポスター

ジェノスとポスター

ジェノスは突然思い立った!
敬愛するサイタマ先生のポスターを作ろうと。
ラミ加工すれば何度でも貼れる。

クセーノ博士の機器を借りてあっという間にポスターを仕上げたジェノスは意気揚々と帰宅した。

そして壁の目立つところに貼る。
無表情で眺めていたが内心コアが音を立てそうなほど嬉しい。

ガチャリ
サイタマが帰宅した。

「ジェノス、ただいまー」
「先生!これをご覧ください」
「うわああ」
これで

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ジェノスと櫛

ジェノスと櫛

先生の私物を整理している時、引き出しの奥の方に古びた櫛が見つかった。

「先生、失礼ですがこの櫛は?」
「あー、まだ髪があった頃使ってたやつだ」
「捨てま…いや、要りますよね?」
「まー買い直すだろうけどな」

先生はまだ髪が生える可能性を捨てていない。
だがこの櫛は確かに古すぎる。

「捨てていいよ。ジェノス」
「おれがもらっていいですか?」

先生にもまだ弱い時期があったのだと感銘を受けた俺は

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ジェノスと昆布

ジェノスと昆布

時間が合わない先生のためにセールに来たジェノス。
予定していたものをすべてカゴに入れ、レジへ向かおうとすると
「利尻産、昆布 7割引 タイムセール」
と言うポップを見てしまった。
「先生は海藻の効果を頑なに信じているが迷信だ。しかし先生の喜ぶ顔が見たい」
ジェノスはふたつだけカゴに入れた。

この昆布をどう料理しようかと考えながらアパートへ戻る。

アパートの入り口で偶然サイタマと鉢合わせした。

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ジェノスのつむじ

ジェノスのつむじ

先生が俺の後頭部を黙って凝視している。
「先生?なんですか?俺の頭に何かついてるでしょうか」
先生は目線を変えず
「ジェノスのつむじを探してるんだ」
「乳首の次はつむじですか」

「脳みそは生身なんだろ?つむじを押すと身体がほぐれるらしいぞ」
「しかし、上から人工毛髪を植えているのでつむじは…」

「じゃあ、普通のやつと同じ場所でいいだろ。
押すぞ!」
「先生??!!!!」

ギュッと5回押されて

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あるはずのもの

あるはずのもの

先生とテレビを見ていたとき
「ジェノス」
と聞かれた。
「ジェノス、お前乳首あんの?」
「俺の身体は機械ですから乳首はクセーノ博士が省略しただろうと」
「自分でも探したことがないのか?」
「はい」
「ちょっと上着脱いでみろ」
先生に言われてエプロンを外し上着を脱いだ。
「確かに機械だな、でもどっかに隠れてんじゃないの?」
「俺は無いと思いますが」

しばし探す2人。
しばらくしてサイタマが
「おい

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ジェノスの夢

ジェノスの夢

寝ようとしたらめずらしくジェノスが布団の中から話しかけてきた。

「先生、先生は俺の夢を見たことがありますか?」
「夢?見てるだろうけど忘れちまってるな」

これは嘘だ。
ジェノスとイチャイチャする夢は結構見てる。話したら襲われそうだから内緒だ。

「ジェノスは夢見れんの?」
「先生の夢は残念ながら見たことがありません。悔しいです」
「そういう時は枕の下に名前を書いて敷くといいらしいぞ」
「なるほ

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ジェノスだらけ

ジェノスだらけ

気がついたら俺、サイタマはここにいた。
これが夢だってことはわかってる。

ミラー迷路って奴だな。
その至る所にジェノスが映ってる。
手を伸ばして鏡に触れようとすると
「先生?」
お、ジェノスだ。本物か。
じゃあこっち
「先生!」
これも本物?

どうやらみっしり映り込んでるすべてのジェノスが本物らしい。
普通のパンチで突破口を開こうにも、そんなことをしたらジェノスを壊してしまう。

どうすればい

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サワガニ姫 3

「いくらなんでもそのへんのおばちゃんすぎるな。姫って感じじゃない」
「じゃあ、妖精の格好はどう?」
無邪気な提案に苦笑いしたが、それはいいかもしれない。小さいから目立たないし俺の肩に止まればサマになるんじゃないか?

「妖精結構!ティンカーベルみたいなやつだな」
「ふなっしーじゃないの?」
俺はディズニーのティンカーベルの絵を見せた。
こっちのほうが本物の妖精だ。
「まあ!可愛いわね」そう言うが早

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無題

それは親しい人のはずだった。
彼は私の名前を、顔を忘れていた。

「この人は誰ですか?」
と、そばにいる人に聞いていた。

私はあなたの家族だよ。そう言っても仕方ない。
会話すると話を合わせてくれる。

笑顔には笑顔で応えてくれる。

実は不審に思いよそよそしく思われても。

私はあなたから、離れるわけにはいかないんだよ。

終わり