uuu

97’社会人▽東北勤務▽メディア系▽好きな作家:森見登美彦、夏川草介、西加奈子、赤川次…

uuu

97’社会人▽東北勤務▽メディア系▽好きな作家:森見登美彦、夏川草介、西加奈子、赤川次郎▽SONYα6000

最近の記事

桃源郷は福島にあるってみんな言ってた。

桃源郷は福島にあった。 思わずそんな言葉が頭に浮かんだ。 福島市の花見山である。 22年に転勤で東北に来るまで一度も聞いたことがなかった。写真を見たこともなかった。 この間、いつもの美容室に行ったら、担当の兄さんが「あそこ(花見山)は散歩しているだけで気持ちいいっすよ」と教えてくれた。 話を聞いた時は、地元のおっちゃんたちがランニングしているような場所かなと思った。ただ、兄さんは転勤後にできた数少ない地元の友達のような人で、色々と親切にしてもらっている。割とはっきりもの

    • 「何もない」と言わないために

      とある居酒屋の壁に貼られた1枚のポスターは、真っ白な冬山を背景に雪国への来訪を誘うコピーが付けられていた。下段の隅には小さく「撮影地:大内宿(福島県)」と書かれていた。 「ここの雪景色は絶景なんだ」 ポスターを見ながら、昔そんな事を誰かに言われたのを思い出した。そうだ、一度行ってみたいと思っていたんだーーー。 ハイボールを口に運びながら、僕はそんな物思いに耽っていた。           ◇ 昨年末、池袋で高校の同窓会があった。居酒屋で軽く飲む程度だったが、卒業式以来

      • 金魚に魅せられたある夏の日

        本を読むのは好きなのだけど、新しい本を次々に読み進められるタイプの人間ではないと最近わかった。好きな作家やお気に入りの物語を何度も読み返す方が好きらしい。その世界に入り込んでいたいだけなのかもしれない。現実的すぎる話よりも、どこかSFっぽさやファンタジーさのある話の方が良い。学生時代、森見登美彦の作品に没頭したのは一種の現実逃避だったような気もする。 繰り返し読んだ森見作品の1つに、『宵山万華鏡』という連作短編小説がある。京都の夏を彩る祇園祭の先祭、宵山を舞台にした話が6話

        • 雨上がりの公園に、紫陽花とカエルなんてベタすぎる

          降り続いていた雨がやんだ。休憩の合間に公園に立ち寄ると、紫陽花の葉にちょこんと座るカエル。梅雨が戻ってきたようだった。 ◇ 一昨日は散々な一日だった。 前日の休みに仕事の問い合わせがきた関係で、朝から外出しなければならなかった。といっても、会社から十数分歩いた先に事務所を構える先方と会うだけだったのだけど。 8時ごろ、貴重品と車の鍵を持ってのこのこ歩いて行き、用事を済ませ、その足で駐車場に向かった。喫茶店で優雅に朝ご飯でも食べようと思ったのだ。 ところが、その短時間の間

        桃源郷は福島にあるってみんな言ってた。

        • 「何もない」と言わないために

        • 金魚に魅せられたある夏の日

        • 雨上がりの公園に、紫陽花とカエルなんてベタすぎる

          新天地に咲く桜

          引越しの片付けも落ち着いたので、ぶらぶら街歩きに出掛けた。 新居の近くには小高い山があり、その麓に護国神社が鎮座する。前を歩く参拝客の後ろについてのこのこ坂道を登っていけば、見晴らしの良い境内と出店の数々。辺りは家族連れやカップルであふれ、麗かな春の賑わいが広がっていた。 新天地に戸惑ってばかりの日々がどうでもよく思える風光明媚な景色。 ようやく東北にも桜が咲いた。

          新天地に咲く桜

          大人になっていく人達と停滞気味の自分~美容師になった友人の話~

          梅雨が明けた8月のころ。 傘が手放せない日々も終わりを告げ、一歩家の外に出れば強い日差しが降り注いでいた。少し歩いただけで背中に汗が滲む。 僕は汗っかきの人間なので、逃げ場のない暑さに閉じ込められるこの季節が苦手だった。無論、夏が嫌いというわけではない。海水浴もBBQも花火も大好き。 しかし、如何せん汗をかく。Tシャツはびっしゃり濡れ、ベトベト肌にまとわりつく。その状態で過ごすのがこの上なく嫌なのである。なるたけクーラーの利いた涼しい部屋にこもっていたい。 とはいえ、

          大人になっていく人達と停滞気味の自分~美容師になった友人の話~

          カラオケのキーを3つ下げるのに5年かかった話

          「くだらないプライドなどさっさと捨ててしまえ」と洋の東西を問わず偉い人たちは言った。 博識高い哲学者も、世の中の仕組みを変えた経営者も、世界中に愛読者がいる作家も。「裸になった人間はそれだけ強くなれるんだ」といったのは金八先生だったっけ。 確かに。 人の目など気にせず、後ろ指を指されたとしても自分の好きなことをやる方が格好良いし楽しいに違いない。 それなのに、僕らは変な意地を張って、得られるはずのオモチロイ経験を無駄にして、後で後悔と書かれた重石の下敷きになってしまう

          カラオケのキーを3つ下げるのに5年かかった話

          自由な場所ほど独特な文化があり、馴染めるかどうかはそれぞれ

          大学の課題をやるかバイトをするか、時々お酒を飲むか。そんな他愛もない日常を過ごしている。同級生が社会に出て世の喧騒にもまれている中、限りある時間をダボダボ垂れ流すように生きているのだからどうしようもないが、将来への不安以外に悩まされることがないのは素晴らしいことではないか。 まぁ4か月後には論文の提出に追われて瀕死状態であることは言うまでもなく、きっと教授からのダメ出しと容赦ない追求の嵐にあって虚ろな目をした僕には世界が灰色に見えているだろう。たとえ論文が提出できたとしても

          自由な場所ほど独特な文化があり、馴染めるかどうかはそれぞれ

          「白」への憧れと疑問

          掃除嫌いの自分が部屋の片づけにハマっている。最近断捨離を始め、ものを減らしていく快感を覚えてしまったのだ。今日も洋服を整理して、三段の衣装ケースを空にしてやった。おかげで部屋は一段とすっきりした。 不思議なもので、このすっきり感はやがて次なる欲望を誘うように働いた。部屋の模様替えなどに全く興味のなかった男に「自分の部屋を快適な空間にしたい」という欲がフツフツ湧き出てきたのである。もともと大学の講義がオンラインになったことで自宅学習が増え、集中しやすい環境が必要になったことも

          「白」への憧れと疑問

          スターがいなくなった【6/15日記】

          コービーブライアントの死を追悼する式典で、シャッキー・オニールがスピーチをした。僕はその動画を見てスターの死がもたらした悲しみに打ちひしがれた。それからシャックの格好良さに惚れた。二人の間にある物語がシャックの言葉を通して鮮やかに蘇り、その記憶が悲しみと少しのユーモアと共に世界中に共有されたからである。これはコービーと深く関わり合ったシャックにしかできない、最高に粋な追悼であった。 https://www.youtube.com/watch?v=b0qbXx5OsyI 二

          スターがいなくなった【6/15日記】

          ブックスタンドは必要か?【日記4/23】

          ブックスタンドが欲しい。机の家に置けるくらいの手ごろなサイズがあったら便利だし使いたい。 コロナコロナの世の中だから、家でできる趣味でも探そうとインターネットを漁っていた。まとめサイトの中に読書を勧めするブログがあったので開いてみると、内容こそ普通だったがその記事に貼られていたブックスタンドのアフィリエイト広告に目が留まった。白い木製のお洒落なスタンドが紹介されていた。いや格好いい、これ。めっちゃいい。大人に憧れる高校生ばりにときめいてしまった。 ブックスタンドを欲しがる

          ブックスタンドは必要か?【日記4/23】

          印鑑に負けた【日記4/22】

          今だ就活生の身であるのにどういうわけか国民年金を払うことにしている。なので日々の生活は金銭的に厳しい。確か院生でも猶予してもらおうと思えばできるはずだ。しかし同期が社会人として立派に働き税金を納めている中、自分だけ待ってくださいというのもなんだか癪だなと思った。 当初はなんだかんだで税金の支払いが嫌いじゃなかった。大人の仲間入りをしたような感覚で面白かった。少ないアルバイト代から税金を抜き取り、近所のコンビニに払いに行くのも新鮮だった。 けれど、毎月それを繰り返していれば

          印鑑に負けた【日記4/22】

          家での過ごし方【日記4/20】

          リモートワーク中の父がリビングで仕事をしている。普段家では陽気で軽口ばかり叩く父なので、パソコンと向き合い資料作りをしている姿はなかなか新鮮だ。 僕は自分の部屋にこもることが多いのだけど、流石に飽きてきたこともあり父と同じテーブルで作業してみることにした。やってみると思いのほか効率よく進む。これはいい。 同じ職場で仕事をしているような雰囲気なのかもしれない。新入社員として仕事場に行けば父と同年代の人たちもいるだろう。別に成果が出せてないから詰められるなんてこともない。快適

          家での過ごし方【日記4/20】

          父の不思議な生態【日記4/19】

          在宅ワークの指示が出てほとんど家にいるようになった父が、このところお茶を淹れることにハマりだした。仕事といっても今できることは限られているため時間に余裕があるらしい。食事のたびに急須を取り出し、緑茶か煎茶どちらを飲むか尋ねてくる。 なぜ急にお茶にハマったのか。その理由を聞くと、スーパーに行ったら茶葉が売っていたので買って淹れてみたら、思いのほか美味しかったからとのことだった。お茶なんて何度も飲んできただろうに、なぜ今になって魅了されたりするのだろうか。全く意味が分からない。

          父の不思議な生態【日記4/19】

          コロナは悪夢を生むらしい【日記4/17 】

          朝布団から起き上がると、普段より気だるくなんとなく体が重かった。もしやこれはコロナかと思って少し焦り、ごまかすように二度寝を決めた。しかしこれが失敗だった。悪い夢を見てしまったのである。 見覚えのない駐車場で、幼い子供が殺されてしまう夢だった。僕の隣に車を止めていた若い夫婦の旦那の犯行だった。彼が駐車して車を降りてきたときは優しそうな人だと思っていたが、その笑顔の裏に狂気じみたものを抱えていたらしい。突然ナイフを取り出すと、子供に突き刺した。 びっくりして慌てて止めに入っ

          コロナは悪夢を生むらしい【日記4/17 】

          本屋大賞を読む【日記4/14 】

          思うように進まない就職活動から目を背け、Instagramのストーリーを流し見していた。リモートワークに勤しむ先輩たちやzoomでオンライン飲み会を楽しむ同期たちが投稿している。各々が非常事態との向き合い方に工夫をしているようだった。 そんな中に紛れて、凪良ゆうの『流浪の月』の書評がUPされていた。数日前、駅前の書店で見かけて気になっていた本だった。Instagramにどんな感想が投稿されていたのかは特別見なかったが、これも何かの縁だと思って読んでみることにした。 凪良ゆ

          本屋大賞を読む【日記4/14 】