金魚に魅せられたある夏の日
本を読むのは好きなのだけど、新しい本を次々に読み進められるタイプの人間ではないと最近わかった。好きな作家やお気に入りの物語を何度も読み返す方が好きらしい。その世界に入り込んでいたいだけなのかもしれない。現実的すぎる話よりも、どこかSFっぽさやファンタジーさのある話の方が良い。学生時代、森見登美彦の作品に没頭したのは一種の現実逃避だったような気もする。
繰り返し読んだ森見作品の1つに、『宵山万華鏡』という連作短編小説がある。京都の夏を彩る祇園祭の先祭、宵山を舞台にした話が6話