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印鑑に負けた【日記4/22】

今だ就活生の身であるのにどういうわけか国民年金を払うことにしている。なので日々の生活は金銭的に厳しい。確か院生でも猶予してもらおうと思えばできるはずだ。しかし同期が社会人として立派に働き税金を納めている中、自分だけ待ってくださいというのもなんだか癪だなと思った。

当初はなんだかんだで税金の支払いが嫌いじゃなかった。大人の仲間入りをしたような感覚で面白かった。少ないアルバイト代から税金を抜き取り、近所のコンビニに払いに行くのも新鮮だった。

けれど、毎月それを繰り返していれば流石に面倒臭くなる。税金も安くない。そのお金で焼き肉に行けばうまい肉が食えるのだ。ATMからお金をおろすときの虚しさたるや。毎回コンビニへ行って支払うのも億劫になってきた。店員が押すスタンプの音が好きだったので ノコノコと行っていたが、それももう慣れてしまった。

まあそんなこんなで、手動で税金を払うのはもうやめて、自動的に納めさせて頂こうということになった。口座振替を申請すれば、勝手に引き落としてもらえる。もう労力をかけずに済むのだ。



年金を管理している偉い機関から届いた口座振替依頼書を持ち、近くの銀行へ行った。途中駅の近くを通ったが人通りは少ない。ただどこぞの宗教団体は布教活動に精を出していたので流石だなと思った。ある意味チャンスなのだろう、今の危機的な状況は。

銀行に行くと、遊園地ばりに入場制限をかけていたので笑った。密な状況を避けるために窓口を2か所に限定していた。カウンター越しに社員さんたちが見えたが、業務が減ったのか暇そうだった。

整理券を配っていた男性が近づいてきて「ご用件は何でしょうか」と声をかけてきた。素直に税金の口座振替を申請しに来たと言えばよかったのだが、途端にテンパってしまい「あの、これ」と言って申請書を突き出してしまった。コミュニケーションが下手過ぎて怖い。銀行の人は大人だったので、「あぁ申請ですね、順番にお呼びします」とさらっと対応してくれた。素晴らしい人である。きっと来世は人間よりも高尚なものに生まれ変わるに違いない。

38番の入場券を渡されてから10秒ほどで受付に呼ばれた。これなら入場券いらないのではと思ったがぐっと堪えた。受付の女性の方に「これ申し込みたいんですけど…」と申請書を出すと、なんだか気乗りしないような声で「あぁ、、わっかりました…」みたいな反応をされた。まぁ別に楽しい仕事ではないだろうし全然気にしてない。

「確認するのでかけてお待ちください」と言われ、カウンターの後ろにあるソファに座った。コロナ対策で、4人掛けのソファは両端にしか座れないよう真ん中に「座るな」と書かれた紙が貼ってあった。徹底しているなーと思っていると「38番の方~」と声が掛かった。はやーと思って受付に向かうと「これ、印鑑が登録されているものと違います」とあっけなく突き返された。

全く気にせず印鑑を押していたので、全然気が付かなった。印鑑ヤメテやと思ったが、どうしようもできなかったのですごすごと引き換えしてきた。早く印鑑文化なんて無くなればいいのに。気合を入れて銀行に行ったにもかかわらず、あっけなく退散する羽目になった。悔しかったのでATMに寄り、いつもより多めにお金をおろしてから帰ってやった。


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