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雨上がりの公園に、紫陽花とカエルなんてベタすぎる

降り続いていた雨がやんだ。休憩の合間に公園に立ち寄ると、紫陽花の葉にちょこんと座るカエル。梅雨が戻ってきたようだった。


一昨日は散々な一日だった。
前日の休みに仕事の問い合わせがきた関係で、朝から外出しなければならなかった。といっても、会社から十数分歩いた先に事務所を構える先方と会うだけだったのだけど。

8時ごろ、貴重品と車の鍵を持ってのこのこ歩いて行き、用事を済ませ、その足で駐車場に向かった。喫茶店で優雅に朝ご飯でも食べようと思ったのだ。

ところが、その短時間の間に車の鍵を無くした。エレガントさのかけらもない失態だった。

その日は朝から雨が降っていて、傘を片手に歩いていた。途中で一度、車の鍵を落とし拾った記憶がある。だから間違いなく手に持っていた。

用事といっても、人と会って軽く確認作業をする程度。建物の中に入ってゆっくりしていた訳でもない。ポケットに入っていると思った。

しかし、いくらポケットに手を突っ込んでも、それらしきものは一向に出てこなかった。

泣きそうになりながら半日探したが、見つからなかった。車の解錠と作成で、2万5千円が飛んだ。

数日前、Amazonで3万円の買い物を躊躇してやめたのに、こんな簡単にお金が飛んで行くなんて。

当分、ひもじい食生活を送らざるを得ない。


というわけで、気分転換(現実逃避)に花でも見に行くことにした。本当であれば海に行きたかったが、ここ数日、大雨警報が出ていたのでやめた。

インターネットでそれとなく景色の良い場所を探していると、まだ紫陽花が見頃だと知った。

仕事の合間を縫って公園に入り、順路に沿って歩いて行くと、青、紫に咲き乱れる紫陽花に囲まれた。

しばらく花に見入っていたが、ふと、緑色の物体がモソモソ動く気配に気がついた。

最初は葉っぱが揺れているのかと思ったが、よく目を凝らすと、それは小さなカエルだった。


記録的な速さで梅雨が明けたことなんて知らないのだろう。雨上がりの公園に咲く紫陽花は、カエルたちの楽園だった。


「雨」「紫陽花」「カエル」

あまりにもベタな光景だったので、思わず笑いそうになったが、カエルの顔が満足げだったので何もいうことはないなと思った。

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