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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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2019年9月の記事一覧

「“きゃりあ”って何それ、おいしいの?」な女子中学生は、アラサーでワーキングマザーになった

「“きゃりあ”って何それ、おいしいの?」な女子中学生は、アラサーでワーキングマザーになった

「卯岡さんはさ、将来キャリアウーマンになるんやろなあ」

滑り止め用の私立高校受験の帰り道、受験したメンバーで駅まで連れ立って歩いている最中に、Sくんが言った。会話の流れは憶えていない。ただ、あまりにもわたしに不似合いなその言葉に、

「ええっ? ないない。あり得へん。いつも思ってるけど、うちのこと買いかぶりすぎやねんて」

と即座に反応した。

彼は、なぜだかいつもわたしのことを「頭がいい」「エ

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“want”は、決めつけの現実をかき分けた先に

“want”は、決めつけの現実をかき分けた先に

さまざまなことが重なって、重なって、重なりつづけて、気づいたら心身が悲鳴をあげていた。そんな折、兼ねてより約束していた長野県根羽村へ行く日がやってきた。

東京から移住したご夫婦が運営している古民家・まつや邸で過ごす2泊。2度目の訪問の今回は、現地集合で同じ埼玉に住まうご夫婦と共に宿泊した。

いわゆるホテルや旅館での宿泊とは違い、まつや邸では村ぐらしの体験もできる。運営しているご夫婦と語り合うこ

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メンタルリバープールに障害物を投げよ

子どもと暮らしていると、いつでもニコニコ平穏無事に日々を過ごせるわけではない。

赤子のときはいざ知らず、幼児、児童と成長を遂げるにしたがって、「いつでも自分の好きにしていていいよ」とは言えない。それなりに躾なければいけないことはあるし、野放しはそれはそれで虐待だ。

社会で生きていけるように育てなければならず、ただし相手は自我のある人間。それが子育ての難しさのひとつなのだろう。



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帰属恐怖症人間、オンラインサロンに入る

帰属恐怖症人間、オンラインサロンに入る

どこかに属するのが苦手だ。どこにも居場所がなければないで不安になるくせに、じゃあどこかに属していたいのかといわれると、答えはNO。どこかに属することは自分に首輪をつけることではないと思っているのに、どこか逃げ場のなさと不快感、違和感……いや、不安感があるのだと思う。

学生時代から積極的に仲良しグループを作ったり属しに行ったりするタイプではなかったけれど、年頃の女子は何やかんや緩くも固くもグループ

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思考の足跡、という名の下書き

思考の足跡、という名の下書き

何のために生きているんだろう。10代で希死念慮真っ只中にいたわたしは、ぼんやりと、時に深刻に考えていた。死にたいのだと思い切って母に明かしたとき、彼女はそんな娘に「なぜ生きているのかと考え始めたら、哲学的になってしまって答えが出ないし、どんどん暗くなってしまうから考えないようにしているよ」という言葉を含めた手紙を寄越した。

生きる意味に限らず、答えの出ない問いはたくさんある。すべてに明快に白や黒

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“素敵”は足元に落ちている

“素敵”は足元に落ちている

人の話を聴くのが好きだ。新しい知識や価値観に触れられるのは刺激があるし、自分の思考を深めるきっかけにもなる。「え、それってこういうこと?」「なぜそう思うに至ったの?」と尋ねるわたしに、考えながら言葉にしてくれた答えを聴くのが楽しい。

とある取材を終えたあと、「この分野の専門家なのですか?」と訊かれた。もちろんそんなことはない。確かに近しい分野の方から話を聴く機会はあったけれど、でもその程度。専門

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