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【読書ノート】52「中村哲特集」

私が今まで読んだり観たりしてきて中村哲医師に関する書籍やドキュメンタリー作品を簡単にまとめてみました。どれも中村氏の活動を理解する手助けになる素晴らしい内容なのでお勧め致します。

1.「アフガニスタンの診療所から」 (2005年) 

もともと1993年に出版されたもので、題名とは異なり全体の3分の2ほどはパキスタンのペシャワールを拠点したアフガニスタン難民に対する医療活動の話で、その後国境を越えて移動して、アフガン内のダラエ・ヌールに医療拠点を立ち上げる過程が描かれている。中村氏の国際協力の意義とアフガン現地での各国際協力機関の活動に対する意見が随所にみられるが、どれも正鵠を得たものばかりで、現地に適切に溶け込み長年にわたり真摯に活動してきた者だけが述べることの出来る内容である。特に国際協力に興味のある方は一読に値する。

2.「天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い」(2013年)

2013年に刊行された中村哲氏の自伝。最初の1/3ほどは「アフガニスタンの診療所から」(1993年)と内容が重なるが、それ以降の、邦人ワーカーの受け入れ、2011年のテロ以後の爆撃、井戸・用水路建設などの話などが記録されている。初めて知ったが中村氏はキリスト教に影響を受けていたようで、聖書だけでなくカール・バルトなども読んでいる。用水路建設などの話は「荒野に希望の灯をともす」などのドキュメンタリー映像で内容は知っていたが、この著作ではその紆余曲折・試行錯誤のプロセスの詳細が記載されており、一読に値する。

3. 「わたしは「セロ弾きのゴーシュ」 中村哲が本当に伝えたかったこと」 (2021年)

中村哲氏が生前にラジオ深夜便で語った内容を本にまとめたもの。最初医療に携わっていた氏が、清潔な水の必要性から井戸掘り活動に参加、それから用水路を建設するようになる経緯等が述べられている。

「水と医療というのは切っても切れない関係にありまして、わたしたちが水のプロジェクトに手をつけたのも、病気になった人を高い薬を使って治すよりも、病気にならない方がはるかに経済的でもあるし、患者さんも助かるからです。清潔な飲料水を確保すれば、下痢で次々と死んでいく子どもたちはいなくなるだろうということでこの仕事は始まった。」

4. ETV特集 「アフガニスタン 永久支援のために 中村哲 次世代へのプロジェクト」 (2010年)

2010年に放映されたETV特集。この中で江戸文化研究の第一人者の田中優子さんと対談。用水路建設を可能にした江戸時代の水利技術や、共同体を維持する村落の知恵などを語っている。

5. ETV特集 「武器ではなく 命の水を ~医師・中村哲とアフガニスタン~」(2016年) 

アフガニスタンにおける15年にわたる歩みを描いた記録。

6. 劇場版「荒野に希望の灯をともす」予告編 ~中村哲医師 ドキュメンタリーの完全版~ (2022年) 

劇場公開時に観に行きました。NHKの「武器ではなく 命の水を」などを中心に再編集した内容で、中村哲氏の活動を描くドキュメンタリーの決定版。

7. 「医師中村哲の仕事・働くということ」(2022年)

先日、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団が自主上映したものを初めて鑑賞した。今までの氏の活動をまとめています。

(2024年2月5日)


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