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見えてきた、女性の変化!

さて、唐突ですが、あなたは〇井〇友銀行に行かれたことがありますか?

日本のメガバンクのひとつの、あの銀行です。

わたしはここ数年で2回程訪れています。で、感じたのです。何かがオカシイゾと。行内が白で統一され完全予約制。さらには私服を身にまとった女性がコンサルのような対応をしてくれます。以前のメガバンクとはどこか違うのです。何かがオカシイのです。それは単なる一メガバンクの変化です。

けれど、その変化こそが、実は日本の女性の働き方が変わる予兆なのです。

というわけで、日本の女性の働き方が変わりはじめたことについてお話しさせてください。もちろん、わたしは〇井〇友銀行さんとは何の関係もありません笑。



世界の社交界へ

先日、日本の企業は変わるという記事を書いています。どんな内容なのかといいますと、来春から東京証券取引所(以後、東証)が変わることで上場企業が変わり、つられて女性の働き方が変わるといった内容です。詳しくは下の記事をご覧ください。


これまで曖昧になっていた基準をクリアにし、東証は装いを新たにします。それは、世界に向けて日本企業を発信するため。そして、日本の上場企業をより魅力的に見せるため。

そこで東証が用意したのが「コーポレートガバナンスコード」(以下CGコード)です。このCGコード、たとえるならドレスコードのようなものです。

つまり、東証で最も格付けの高いプライム市場へ行くためには、このCGコードに沿う服が必要なのです。そう、プライム市場へはジーンズでは入れないのです。なぜなら、そこは世界の社交界の入り口なのですから。

企業は世界標準になれたとき、プライム市場へ行ける、ということ。

では、日本企業が世界標準化すると、なぜ日本女性の働き方が変わるのか。そのことについて、お話ししたいと思います。



もやは利益だけを追えない企業    

企業が世界標準化すると、日本企業は女性を従来の働き方に閉じ込めておけなくなります。その流れは少し複雑ですので、ここからはマクロな視点でそのことについて説明させて下さい。


近頃はやりのSDGs、これはサステナビリティー※の先にあるものです。

で、女性の働き方を考える時、わたしたちが知っておきたいのは、企業にとってのサステナビリティーとはいったい何なのかということ。


あなたは1987年に公開された、マイケルダグラス主演の映画、「ウオール街」をご覧になりましたか?

その映画では、繰り返し、”企業は誰のもの?”が問われ、”企業は株主のもの”、といわれていました。

ところが、ある時から潮目が変わります。

その始まりは1992年のリオデジャネイロ国連環境開発会議でした。

それ以降、世界ではサステナビリティー、持続可能な発展(以後サステナビリティ)が議論されるようになりました。

と同時に、グローバル企業は、利益のみを追求できなくなりました。なぜなら、サステナビリティーを追求していくと、経済活動が環境と社会と切っても切り離せないという現実が見えてきたのですから。


そんなサステナビリティーを達成するための目標として設定されたのがSDGsです。ご存じのように、そこには17の目標があります。つまり、今や世界はこのサスティナビリティを中心に回り始めたのです。

企業は株主だけのもの、そんな時代にはもう戻れません。だからこそ、日本女性にも変化が起こるのです。

※参考:日本経済新聞20210927谷本寛治「トップは明確な哲学を持て」p16


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企業の社会的責任、CSR

サスティナビリティを軸に回り始めた世界。この新しい世界は、企業に利益のみの追及を許しません。さらに、企業にその役割や責任を問い始めるのです。なぜなら企業は社会の一部だから。つまり、企業は経済中心の”株主”から、”ステークホルダー”のものへと変わったのです。

そのステークホルダーとは、

従業員・投資家・消費者

のこと。もちろん、そこには取引先も含まれます。加えてNGOとの建設的な対話も求められます。

企業は、社会と共に成長していく必要がある、だから近年、企業には企業の社会的責任CSR(以後CSR)が問われているのです。

企業は、J-sox等で社内で起こる不正を防ぎ、正しい決算書を作るための基準を設けています。その目的は、企業が適切な財務状況であることを株主に開示するため。

けれどここ数十年、企業は財務状況だけではステークホルダーへの説明責任が果たせなくなりました。なぜなら、今、企業にはESG環境・社会・企業統治(以後ESG)が求められているのですから。

こうした変化は、一見複雑な流れにみえますが、この変化の本流はサステナビリティです。

つまり、企業は、国際的な議論や国の規制、働く人や市井の意識によって下される評価に敏感でなければならない時代の中に居る、ということ。

そしてこの企業の社会的責任を考える時、忘れてならないのが日本女性の働き方です。日本女性は国際社会から大きく取り残されています。企業はそのことについてもまた、責任を負わなければなりません。


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責任あるビジネスの構築に必要なもの!

世界から大きく取り残された日本女性。サラリーマン社会といわれるこの国で、女性だけが世界に大きく後れを取っている。それは取りも直さず、企業にその責任があるということ。

現在、EUでは、環境や人権、ダイバーシティ(多様性)、情報開示に関する取り組みを法制化※する動きが強まっています。それは、責任あるビジネスを構築し、新しい経済的・社会的価値を作り出すことが求められているということ。

こうした動きは、企業にとって見逃せない変化です。一度法制化されると、裁判等で大きな変化がおこるからです。

このような世界の状況から日本の現状を考えると、その特異性が際立ちます。日本企業にあるコース別雇用制度は、男性を中心にした制度です。そして、この制度は作り出された制度でもあります。このコース制は、均等法施行の少し前から始まり、この国の働く環境に強い影響を与え続けてきました。その内容は下の記事で説明しています。


均等法が施行されると、ほんのわずかな女性が”総合職”として平等の内側に入れられ、残りは”雑用さん”として働く道を与えられました。それが1980年代以降の日本の企業の歴史です。

その結果、結婚や出産で賃金の安い女性が仕事を辞め家庭に入るという、お膳立て通りの社会が生まれました。


では、なぜそのスタイルが変わらなかったのか。それはこの雇用管理制度が成功し、世界から高い評価を得た時期があったから。だからこそ、その成功体験が足かせとなり、この雇用制度は定着したのです。

そして、その男は外、女は家という社会の枠組みを維持するために、会社は妻や子ども手当てを支給し、国も補償や年金無償という特典を付けたのです。だからこそ、コース制は今もこの国の当たり前の一つとして残り続けています。

結果、日本の男女間の賃金格差は大きく開き、現在では、日本女性はデジタル化社会で技術的失業リスクが最も高い国※※と言われています。

つまり、日本女性は社会で活躍し成長する機会を奪われ、世界から置いてけぼりをくったのです。

※参考:日本経済新聞20210927谷本寛治「トップは明確な哲学を持て」p16
※※参考:日本経済新聞20210813「少子化日本の成長左右 失業リスク、女性は3倍」 (IMF国際通貨基金2018 技術的失業リスクの男女差より)




世界基準の企業であるということは

というわけで、世界から置いて行かれた日本女性にとって、サスティナビリティの潮流は棚ぼたのような話しです。なぜなら、世界標準の企業には、ESGが求められるのですから。

東証のプライム市場に上場する企業は世界基準になる、その基準がCGコード※。5つの原則で構成されるこのコードには、【原則2-4.女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保】のように、女性に関する内容が含まれています。

加えて、”男女平等”サステナビリティを達成するための目標のSDGsの一つです。

コース別雇用という制度によって作り出されたこの国の男女差別は大問題です。どこの先進諸国より男女の賃金格差が大きなこの国に、不平等な制度があるのはもはや明らかです。

だからこそ、日本のメガバンクの一つである〇井〇友銀行は変わった。これは、単にデジタル化社会への対応だけではありません。

そもそもコース別雇用管理制度を日本に取り入れたのは銀行と商社。それがこの国のスタンダードとなり、女性たちは働く機会を損なわれてきました。

こうした女性差別のある企業は問題です。世界標準企業であるのなら、企業はステークホルダー、つまり、従業員に対しても不平等である制度が今も社内に存在していることを説明する責任があるのです。

ですから今始まっているメガバンクの変化は、プライム市場へ行くための変化だと捉えることができます。

※参考:JPX日本取引所グループ 東京証券取引所 コーポレートガバナンスコード https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/nlsgeu000005lnul.pdf

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結びに

東証が変わると企業が変わり、日本の女性が変わります。企業の男女差別をチェックするのは株主や物言う株主だけではありません。企業はステークホルダーのものなのです。

それはつまり、企業で働く労働者は企業に不平等の改善を求めることができるということ。さらに、そうした問いに対して企業は説明する義務と責任があります。

わたしたちが自覚したいのは、棚ぼたの変化は本物の変化ではないということ。本来は当事者であるわたしたちが声をあげて変えるべき不平等です。日本女性は選挙権も均等法も、ある意味棚ぼた式で手に入れてきました。

これから日本企業も世界の目にさらされます。だからこそ、当事者であるわたしたちは、この国の働き方のおかしいさに敏感でなくてはならないのです。誰も声をあげなければ、差別は無いことになってしまう、それを忘れてはならないと思っています。



#サステナビリティ
#プライム市場  
#男女平等


【企画】女性の働き方と生き方に関する記事を書いています。その一覧!(2021年11月24日現在。過去記事一部含む)

☆育児編
ママを悩ます子育ての常識 / 三歳児神話はやっぱり神話なのでした

☆介護編
Long-term care。「一人でも大丈夫」なら、それはさいごの自由
介護にも上り坂⤴があるのです

☆教育編
見えないものを取り出して。教育は女性を教育は女性を救える?そしてそこからSDGsへ

☆日本の主婦編
日本の主婦って…駄目ですか?
しっぽを掴む、それがはじまり! / ところで主婦ってなんだろう?

☆結婚・長時間労働問題編
自分で選んで決める。未来の自分のために

☆意識編
永遠に手放してしまいたいもの
モノローグ「遺品整理士」
言葉は現実になる

☆家族編
noteでエアハグしよう💖💖 家族から、そしてまた家族へ
「ハンサード」イギリス人夫妻とわたしたち
「結婚」が教えてくれた『北風と太陽』

☆法律編
「同一労働同一賃金」 57年前、他国でできた法律を取り入れる…ってこと
「均等法」 / 誕生の裏側
創り出されたものに、気付いてしまったのなら
わたしの記憶は時代に無頓着/ 男女平等&ルース・ベイダー・キンズバーグ

☆企業編
見えてきた、女性の変化!
次は女性 企業は変わります
あなたは、そしてあなたのパートナーは「勤め先の文化」から逃げられますか?
勤め先のすすむ先 会社は投資家に選ばれる時代

☆ジェンダーギャップ編
2021年、あなたはイエの内側?それとも外側?
日本のFACTFULNESS きえない分断
女性の賃金が上がらない理由
ジェンダーギャップ / 語られるものと語られないものの間に横たわる真実

☆女性が働くこと編
20年ぶりの再会 「働く」がその人を輝かせていて
女性の道はどんどん狭くなる / 齢と属性というしばり
Re:たとえ働かなくてもいい時代になったとしても、それでも「働くことは生きること」だと思う
「働く人」をカテゴライズするその前に / 働く女性に垣根はいらない
「気働き」できる人

☆音声配信 スタエフ編
東証が変われば日本が、女性の働き方がきっと変わる!!
企業が目指すのは成長! 企業は日本文化に縛られているわけでは…ないから
どうやって使うんでしょう、この法律 #同一労働同一賃金
その人がいなかったら…世界を変えた人
誰かがバリアを築いたのなら もう一度考えてみたい女子の就職活動
創り出されたものからそろそろ自由になりませんか?
見えなくなったのはいつ頃だったのだろう…わたしたちはそれほど違わなかったはずなのに
いろいろな角度から発信!ようやく走り出しました!


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