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ジェンダーギャップ / 語られるものと語られないものの間に横たわる真実

よくよく考えてみるとちゃんとは知らなかった、そんなことってありませんか?情報っていろいろな切り口から送られてきます。そんなものをお構いなしに受け取っていると、ちょっとした勘違いがおこります

「女性の活躍」もその一つ。「女性活躍推進法」から5年。気づけば、働く女性や働くママがやけに目につくようになり、日本は変わった、そんな気がするのですが、でもなんだかおかしいのです。わたしの周りはいまもパートで働く主婦ばかり。そんなことが気になってるの、わたしだけ?



異なる情報が同じに思える

たとえこの禍中でも、この国は少子高齢社会。労働力不足はどうしたって深刻です。だから「女性」にスポットライトが当たります

ならば女性の働く環境は整ったのでしょうか?。それがなかなか。2019年に公表された日本のジェンダーギャップ指数は153カ国中121位。この国にはすでに「均等法」に「育児介護休業法」、「次世代育成支援対策推進法」だってありますが、それでも男女格差は開いたままです

ところが、2012年以降、女性の就業者数は330万人もふえて、民間企業の役職の女性比率もあがり女性は既に外に出て日本は変わった※、そんな話しも耳に届くのです

そう、向きの異なる情報が、わたしたちに同じ速さで届く、だからわからなくなるのです。女性が活躍できているのか…できていないのか

※日本経済新聞2020年6月29日「男性や組織にも利点」




もうみんな変わった?

そんなわけで、「女性の活躍」の進捗状況をマクロな視点でチェックしてみると、この国の現在の労働力人口(労働力調査2020※)は男女あわせて6,365万人。その中で「雇用されて働く人」は5,605万人なのです。そう、この国は今もサラリーマン社会だったのでした!

ちかごろ、テレビやネットで若い起業家が新時代をグイグイ引っ張っていて、「働き方」が変わった、そう思い込んではいませんか?でも現実は、この国で働く人の9割弱は今でも勤め人なのです。そう、この国は今もサラリーマン社会なのです!

※総務省統計局 労働力調査 就業状態別15歳以上人口、産業別就業者数、完全失業者数



で、気になるのが被雇用者の給与です。労働力調査(2020)※によれば、男性=100とした場合の女性の給与額は

1976年が58.8

1989年が60.2

2019年が74.2

凡そ半世紀の間で、男女間の賃金格差はかなり縮まりましたが、2019年でも、男性が100万円稼ぐ時に女性は74万円しか稼げていないということ。これが目に見える格差です

※総務省統計局 労働力調査 賃金構造基本統計調査  




雇用形態で生まれるギャップ

でも、この賃金格差、どうして生まれるのでしょう?もちろん、ここはサラリーマン社会、雇用の違いがあるわけです。労働力調査(2020)※によれば、被雇用者の働き方は

正規で働く男女、63.5%
非正規で働く男女、36.5%

となります。それを男女別にみると

正規で働く男性、65.9%
正規で働く女性、34.1%

女性の正規の割合の低さに驚きませんか?さらに、

非正規で働く男性、32.3%
非正規で働く女性、67.7%

正規・非正規の男女比って、みごとにひっくり返ります



非正規間のジェンダーギャップ

それから、非正規の中身※はといえば、

パートで働く男性、5.9%
パートで働く女性、42.4%

バイトで働く男性、10.6%
バイトで働く女性、10.4%

派遣で働く男性、2.8%
派遣で働く女性、4.1%

非正規は圧倒的に女性です。しかも女性パートの比率の高さはちょっと異常。そう、わたしの周りにはパートしかいない理由はここにありました

2012年以降、女性就業者数は330万人を増えたといわれ、それが女性の活躍の象徴のようにいわれますが、蓋をあけてみるとこんな感じなのです。ですから働く女性がどんどん増えるということは、非正規で働く女性の厚みが増していっているということなのです。わたしたちが暮らす社会はそんな社会

※総務省統計局 労働力調査 就業状態別15歳以上人口、産業別就業者数、完全失業者数



まとめ

情報が溢れるいま、何が本当なのかわからなくなることがあります。そう、メディアから流れてくる情報を受け取る際には注意が必要です。もしも自分の周りの現実とズレのある情報を受け取ったなら、それはスルーしないでください。なぜって、その違和感こそが、隠された真実へたどり着く近道なのですから

発信されている真実と、発信されていない真実、どちらにも一見嘘はありません。けれど、表に出る真実と表に出ない真実、この2つを上手に使い分けると、受け手には全く違う世界が見えるのです

今でもこの国の大半は勤め人で、男女間には給与格差があって、正規で働く女性は4割にも満たない、それが真実です。企業を支えるすそ野は非正規で溢れ、それを「働く人が増えてよかった」で喜べるはずがないのです

ですから、裾野へ追いやられた当事者が考えてみなければと思うのです。機会の平等について。なぜって、他に誰も考えてはくれないのですから

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#機会の平等

#ジェンダーギャップ

#主婦のパート


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