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「ネット情報の海に溺れないための学び方入門」

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世間やネット上の常識や通説も、一度立ち止まり、ひと手間かけて調べてみると、その真偽や新たな事実がわかります。筆者は、大学図書館の司書として、また別の大学では教員として「学ぶ技術」…
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2020年9月の記事一覧

「ネット情報の海に溺れないための学び方入門」第7回:「鬼に金棒」の図書館活用術(その5)統計と公的データベース

課題の解決策を提案するにあたり、個人的な意見だけでは説得力が弱いので、裏付けとして統計等の数値データを使うことがあります。
このため、図書館には年鑑や白書等の統計資料もあります。さらに、最近は政府や自治体が公開している統計データベースも、重要な情報源となっています。

ネットのニュースでは「最近、少年犯罪が増加している」等と報じられ、根拠らしき数値が示されていると真実味があり、あたかも世間の常識の

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「ネット情報の海に溺れないための学び方入門」第8回:「鬼に金棒」の図書館活用術(その6)地域・郷土資料とレファレンス(調べごと相談)

最近は、本や雑誌に加えて電子版やオンライン版の資料も増えています。さらに、図書館が介在しなくても無料で誰でも利用できる「オープンアクセス化」が進んでいることにもふれてきました。
それでは、もしも未来において「お金で買える情報」がすべてオープンアクセス化したら、果たして図書館やその専門的職員(ここでは「司書」と呼びます)の存在意義は残るのでしょうか?

今回は、その問いに答える形で「地域・郷土資料」

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「ネット情報の海に溺れないための学び方入門」第9回:ネット&図書館の複合的活用術

「ネットがあれば、図書館は不要では?」と問われるように、両者は対照的に捉えられがちです。しかし、それぞれ長所と短所のある「情報の集合体」であり、相反する存在ではなく、互いに代替できるものでもありません。
それぞれの特性を知ったうえで使い分け、「良いところ取り」をすべきであり、そこに情報収集の醍醐味があります。

まず、ネット情報は刻々と変わる「動的」な特性があり、その主な長所として「即時性」と「双

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「ネット情報の海に溺れないための学び方入門」<最終回>第10回:「学ぶ」知識から「使う」教養へ(アウトプット)

本連載では、これまで図書館やオンライン情報源を使った学び方(インプット)が中心でしたが、今回は最終回なので視点を変え、自分の考えを発信すること(アウトプット)がテーマです。
どれほど多く知識を集めても、そこから自分ならではの知見を生み出し、言葉や文章にしてみなければ、未来には何も残せません。しかし、ほんの小さな思い付きのアイデアでも、発信さえすれば、どこかの誰かに活用される可能性が生まれます。その

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