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“無理はしないように” 雪山に ギランバレーを想う  浮世雲

“如何ですか?”

主治医は 呟く

ここは回復期リハビリテーション病棟

回復期リハビリテーションの森

“先生 二日旅に出ましたら
戻ってから しっかり いつもの
ように 寝込みました 二日半”

いつもの事ながら….
体力気力は 
以前の千分の一にも満たない



“こんなに長期に ギランバレーの患者さん看た事無いけど あそこまで基礎筋肉落ちると
なかなか 回復しないんですね”

文献には書いてあるけど

“先生 誰も筋肉痛起こす リハビリとか
毎日毎日 川の中トレーニングとか
ジムで リハビリとか やった患者さんは居ませんからねー”と呟く

二人で 笑う

回復期リハビリテーションでの
診察は そんな感じである。

“そうそう 先生 
スキーに 招かれて
せっかくだから 行ってみようかと”

引き攣る主治医

“無 無理は しないように”

誰もが 言う。
私も そう思う

スキーから戻って 暫く寝込むは
ありえる。

“では 無理しない範囲で リハビリに行って来ます”


森のテラスは心地よい
明日は 大寒


今日の言語リハビリテーションは
取り調べ室(言語聴覚室)へ

やっと あいうえおの “お”の口が
上手く出来だしたと

声優セラピストさんと 手を叩いて
喜んでいる。

まだまだ 先は長い長い


スキーには 狂っていた。
何日もスキー旅をする新人サラリーマンは
前例が無いと….
なら 前例をつくりますと
狂ったように 滑りまくっていた。


ただ 2014年12月31日
ボーダーに突っ込まれ大怪我を負い
スキー板を履く事は 無かった。

先日 新しい板を買った
飛んだり 跳ねたりは出来ないから
大人しい 板を

ストックは カーボン
時代は変わる

ワクワクしている

久々に ブーツを履いて
調整してみる

骨と皮に痩せこけた 足に
良く筋肉が付いたものだ

馴染ませる為に
履いたまま 歩いてみる

パタンパタンと 廊下を歩く
猫主人は 寝ているから大丈夫⁉️

何処かで 覚えのある
この感覚

そう 目が覚めたら
立ち上がれなくて 
日に日に 歩け無くなって
でも 歩いて 歩いて

寝たきりに なって….

ギランバレー発症の日の朝
2021年7月31日
まさに こんな感じ

何が起きているのかわからず
仕事に出かけた

なんだか とても 懐かしい感覚
歩けるように なって 忘れていた感覚

重心移動すると 転けるか 壁に
頭突きするから

思えば 激流の中を 歩く感覚も
同じ

スキーを履いて 足を上げてみる
まさに 悪化していく時の足の重さ

理学療法士さんに この感覚を
伝えれば わかりやすかったんだなと

廊下を ウロウロ
どう考えても おかしな歩き方

良くこれで 仕事に出ていたなって
パタンパタンって

そら 
主治医に 怒られるわけだ
“なんで 一秒でも 早く
来なかったんだ”って...

結果
重力に逆らえない身体になって
寝たきりに....


そんな 身体は 重力で
雪面を 滑走することを
夢にみて
ワクワクしている

ただ ただ 無理はしないように

小学一年生
手習いから 始める

くれぐれも 御安全に

ギランバレーに恋をして
回復期リハビリテーション
無理はしないように

追記

あちこちから 大寒波の声に
週末の雪山は 延期になったそうで….


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