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逢花打花 逢月打月 旅の出逢い…浮世雲

雨が降り出し 宿に籠る
宿の玄関にかかる書に魅せられる

宿のコンセプトが 描かれている

咲いている花を美しいと思い、月を見上げて月の灯りを思う。
出会ったことをそのまま受取り、あるがままの私であること。
あれがどうだとか、これがどうだとかではなく、そこにある世界を感じる事こと。

もの事はいつも変化し、この私もいつも「新しい私」を生きているのです。

禅語

何が言いたいか
余計に わからない…,
ならば

“その瞬間 生きて
その瞬間 死んでいる
今を 生きる”

浮世雲


玄関横 
屏風で仕切られ 立礼台が置いてある

年末 震える手を 見た坊は呟く

“それでは 初釜は 無理だ”

残酷だが 現実だ
初釜の お招きを 辞退した

“手習いは 無いのですが”と 
おねーさんは 見様見真似で覚えられた
であろうお手前で 茶を点ててくれる

今の私にはこれぐらいが丁度いい
一生懸命なお茶だった。

部屋の中に 棗が 飾られる

お茶が コンセプトの宿か?

お茶屋の二代目としては 
なんだか 嬉しい

目の前の景色を愉しむ
大雨になって来た

露天風呂は 屋根からの雨で
まるで 滝行のよう

ふと 外の景色に目を遣ると

“逢雨打雨 逢花打花”

美しい

でも 寒い.....

屋根を探し 隣の貸切風呂へ

滝行を 続ける 体力気力は
今は 無い

風呂上がり 
“浴びたいだけ 
ビールをどうぞどうぞと”
サーバは 呟く

ほどほどにして

花を 愛でつつ

また 風呂へ

兎に角

時間があったら 
湯に浸る

のぼせたら 庭に出て…. 

ほろ酔いの 厳つい顔のおっさんは
カメラマンを やっている

携帯のインカメラとは
構図が 違うから 
皆さん 喜んでいる

それでいい 

せっかく 遥々日本に来られたんだから..
美しい 景色を…。


遅めの宴の始まり

茶事をイメージしてか
されずか 
次から次へ 宴は すすむ

“蟹喰ってないなー”って
呟きながら 蟹を喰う

蟹には 助けてもらったなって…

勝手なものである。

酒も ほどほどに….

外は 深い深い霧に包まれる

眼下を眺めると

風呂の椿

滝行を受けながら
生き生きと 
輝く

“逢雨打雨 逢椿打椿”


平安な暮らしをする縄文人
浦島太郎な浮世雲

ギランバレーに恋をして
禅語に出逢い 花に酔う

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