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旅と映画と本と。

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訪れた街とお気に入りの映画と本のお話。
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2019年10月の記事一覧

『JOKER』

『JOKER』

ー本当の悪は、笑顔の中にある。

アメコミファンではない私は、バッドマンにジョーカーという悪役が出てくるぐらいの知識しかなかったので、もちろんジョーカーがどんなキャラクター設定で、どんな残虐な悪役なのかも良く知らない。

ただ現代社会においてジョーカーになってしまった人間は少なからずいるのではないのだろうかと、先週末この映画を観たときに思った。

そもそも本邦公開前からアメリカではこの映画が物議を

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『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

前回ニューヨークについて書いたので、私が好きな映画でニューヨークが舞台となっているものをひとつ紹介。

“Extremely Loud, Incredibly Close”

好きな映画を挙げるときに、この映画のタイトルを口にすると大抵聞き返される。原題も邦題も長いこの映画は、9.11に係る話である。
とはいえ9.11の様子が直接的描かれているシーンは殆どなく、
ストーリーとしては9.11で父親を

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夢と挫折と欲望と成功の街。

夢と挫折と欲望と成功の街。

私がはじめてひとり旅をした街、ニューヨーク。
その後2回、旅行で訪れた。

ギラギラと光るネオンと、高く聳える摩天楼。
この街ではいつも何かが『満たされない』ように感じる。
実際は美術館やお洒落なカフェ、セントラルパークでの散歩や、ルーフトップバーでお酒を飲むなど、
十分過ぎるほどニューヨークを楽しんでいるわけなのだけれど。
それはニューヨークという街のせいなのかもしれない。

街はいつも人で溢れ

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『神様のボート』

『神様のボート』

夏の午後が似合う小説だと思った。

私が江國香織の小説を手にしたのは、これが初めてだったと思う。
たくさん本を読む性分ではないけれど、長距離の旅行の前や、しばらく時間に余裕がある時は本屋さんで気になったものを手に入れる。
この小説もそのひとつだ。

夏の午後が似合うって何だかおかしな表現かもしれないけれど、そう感じたのだ。
夏の特に暑い日は人の姿も疎らで、世界はとても静かになる。
茹だるような暑さ

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